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ワークショップ: Grant Proposal Writing

今回はモントレー国際大学でオファーされてるワークショップのひとつ、Grant Proposal Writing (プロポーザルライティング) について詳しく書いていこうと思います。

Grant Proposal Writing (プロポーザルライティング) ですが、日本語で簡単に言うと、「助成金獲得術」とでもなりましょうか。
これはモントレー国際大学で教えられてる数多くのワークショップのひとつです。
ワークショップは週末を使って行われることが多く、管理人が今取ってるのも金曜日の夜6時~9時、土曜日朝9時~夕方4時、日曜日は朝9時~午後2時までと、かなり強烈な日程となっています。
通常週末を使って次の週の宿題を大体やってしまうのですが、このワークショップのせいで今週末は一切ほかの宿題手をつけておりません。
現在アメリカは土曜日の夕方なのですが、通常の宿題のみならずこのワークショップの宿題も重なるため、かなり大変です。そこまでしてこのワークショップを受ける価値はあるのか?

答えは、管理人は取る価値あると思います。
なぜかというと、この助成金を獲得する術ですが、社会の中で公私共に役立つからです。
日本では財団法人・助成財団センターなどがありますが、一般の財団から研究助成金を得られるというのはそこまで盛んには行われていないイメージがあります。
フルブライト本庄奨学金など(これらは将来的にブログエントリーで紹介したいと思っていますが)でも留学する研究員のサポートなどが行われていますが、自分の勉強不足も手伝ってか、そこまで日本で研究助成金のお知らせ、というのは聞いたことがありません。
ところがどっこい、アメリカでは多くの財団が研究や奨学金のみならず、広い分野での助成金を出しています。

おそらく財団の数自体が圧倒的に多いというのもあると思います。
このリストによると、お金持ちの財団上位25団体のうち、実に17団体がアメリカの財団です。ゲイツ財団(マイクロソフト)やフォード財団(自動車会社のフォード)、パッカード財団(パソコンのHP)など、アメリカの大企業はこういった財団を通しての慈善活動にも力を入れています。
日本の財団はひとつもリストには入ってませんでした。
ただ勉強不足ではありますものの、日本でもトヨタやホンダ、三菱などの大企業がが財団をやっているみたいです。奨学金等の支援が多い模様。。面白いなと思ったのは、スラムダンクの作者である井上雄彦氏が立ち上げたスラムダンク奨学金です。アメリカでバスケを学べるみたいですね。

話がだいぶそれましたが、要はこういうプロポーザルを書けば助成金がもらえる、という知識があれば、例えば将来非営利団体やNGOなどで働くようになり、プロジェクトを立ち上げる際の準備金を獲得する際に非常に役に立ちますし、自分の研究を進めるために、例えばアフリカでリサーチを行いたいがお金がない、といったときに助成金でそれを獲得できるわけです。
もちろん、出されるプロポーザルの9割は通らないと言われるように、かなりの狭き門ではありますが、通るプロポーザルを書くためのコツを知ることは必ず自分の役に立つと思います。

このワークショップでは管理人は先日の記事で紹介したCLPの規模を大きくするプロポーザルを書いています。パッカード財団から5000万円を獲得して、CLPを海外で行おう、という壮大な計画です。実際環境保護プロジェクトのデザインに関してはどこにいてもできるわけですが、それを環境保護の場で実施する際の知識や技術は、現場で実際に体験しないとなかなか得られるものではないので、このプロポーザルはCLPのそのセクションを強調したものとなっています。
CLP担当教授とも話した結果、書き上げたら実際にこれをパッカード財団に出してみよう、という話になっています。
もしこれで5000万円獲得できたからかなりすごいですが、期待せずに提出しようと思います。

環境団体とWEB2.0

先日の記事でCLPのプログラムを様子をお伝えしましたが、先週の金曜日をもってそのクラスも無事に終わりました。あとは10ページのReflection Paperを書けばめでたくこのクラスもパスできるのではないかと思います。
そのCLPで、最後のクラスに話をしてくれたゲストがNik Strong-Cvetichという名前のモントレー国際大学院の卒業生で、現在Coastal Watershed Councilという環境団体で働いてる方なのですが、彼が非常に興味深い話をしてくれたので、この場を借りて紹介したいと思います。

もともとCLPというのはNikの修士論文をもとに作られたクラスで、その論文は、世界各国で環境保護プロジェクトを進めているエキスパートに、環境保護プロジェクトを進める上で一番必要なスキルは何か、というアンケートを行うことから始まりました。そのデータをまとめた集大成が彼の論文だったわけですが、彼はそこからもう一歩踏み込み、現在もモントレー国際大学院で教授を勤めるJeff Langholz教授とともにそれらのスキルを教えるConservation Leadership Practicum (CLP)というクラスを立ち上げたのです。ちなみにLangholz教授が現在もこのクラスを教えています。

そのように環境保護プロジェクトに必要なスキルを知り尽くしたようなNikですが、今回話をしてくれた際に、学生の一人が、「これから環境保護団体で働いていく上で大事になっていくスキルは何ですか?」という質問をしたのです。

 

Nikの答えは、これからはいかにソーシャルネットワーキングやブログ、動画などを通して自分たちのメッセージを発信していけるかが大事になっていく、といった内容でした。オバマ大統領の選挙活動でも見られたように、インターネットを駆使したPRがこれからの時代ますます大事になっていくのでしょう。オバマ大統領はヒラリー氏やマケイン氏とは違った支持層からの献金を大切にしました。金を持っている会社や資産家ではなく、普通の主婦やサラリーマン、さらには今まで選挙に興味を示さなかった若者層からも献金を受けました。これはまさにネットを利用したPR活動の賜物でしょう。

同じように、いかに自分の団体が崇高な目的や使命を持っていたとしても、それを伝えられなかったら宝の持ち腐れなわけです。Nikの洞察はまさにこれを示しているのではないかと感じました。これからは環境団体のみならず、あらゆる組織においてインターネットを通したPRというのは避けられない仕事になってくると思います。自分のやりたいことへの情熱は持っている。もう一足踏み込んで、それを正しく世界に発信していけるスキルを持っていれば、例えば就職活動をする上でも周りに大きな差がつけられるのではないでしょうか。

モントレー国際大学院でも今年から英語のみならず日本語、中国語、ドイツ語、ロシア語など複数の言語でWEB2.0マーケティングを行っています。このブログやMixi、またYoutubeで見つけられるモントレー国際大学院の動画はすべてその一環です。Facebook(アメリカ版Mixi)やiTunes Uなどで同じようなPR活動をしている大学は多いですが、現在多重言語でこういった試みを行っているのはモントレー国際大学院だけだと思います。在学中にこの仕事を通してこうしたコミュニケーションスキルを磨けるのはとても有難いことだと思っています。

1月のモントレー国際大学院

モントレー国際大学院ではセメスター制を導入しており、秋学期が9月から12月、冬休みを挟み2月から5月までが春学期となっています。

随分長い冬休みだな、と思われた方も多いと思いますが、1月はWinter TermもしくはJ-Termと呼ばれ、もちろんクラスもオファーされています。

一例を挙げると、
DPMI (Development Project Management Institute)
CLP (Conservation Leadership Practicum)
WILP (Winter Intensive Language Program)

上記のクラスはすでに学校がプランしてオファーしてるクラスですが、それ以上にJ-Termが素晴らしいのは、同じ興味を持った学生たちが集まりクラスをデザインできる点です。例えば、南米の環境保護に興味のある学生が集まり、じゃあエクアドルのアマゾン地域で2週間環境保護について学ぶ、というクラスをデザインできるわけです。今年実際にデザインされたクラスは、エルサルバドル、パレスチナ、ベトナム、チリ、カンボジア、ワシントンDCやベリーズ(カリブ海の国)などの行き、資源管理、環境教育、開発プロジェクトなどについて現場で学び、経験を積むといったものです。

これらのクラスはPracticumと呼ばれ、単なるClassやProgramよりも実践的な内容になります。

それらについては後日述べるとして、今回はCLPについて簡単な説明をしたいと思います。管理人はInternational Environmental Policy Studyというプログラムにいるため、今年はこのプログラムをとっております。

上にも書きましたが、Conservation Leadership Practicumということで、直訳すれば環境保全リーダーシップ実習科目とでもなりましょうか。簡単に言えば、環境保護プロジェクトのマネジメントスキルを学んでいます。25人ぐらいの学生がとってます。

これは2週間(実質10日)の集中講座なので、朝9時から夕方5時までクラスにいます。結構ハードです。
今2週目なのですが、先週何をしたかを要約すると、Miradiというソフトウェアを使い環境保護プロジェクトのデザインの仕方を学びました。まず保護すべき地域を選びます。皆それぞれ興味のある地域が違うので、大体同じ地域に興味がある人でグループになります。

その後、簡単にリサーチを行い、何が危険に晒されてるのか、を調べます。つまり何を保護すべきなのか、ということになります。これをターゲットと呼びます。英語でもTargetです。ターゲットは大体6~8個選びます。それはその地域全体の生態系(Ecosystem)であったり、絶滅の危機に晒されてる動植物、昆虫、などだったりします。これらのターゲットがこの地域の生物多様性(Biodiversity)をしっかりカバーできなければなりません。

次に何がこれらのターゲットを危険に晒してるのかを調べます。これを脅威と呼ぶことにしましょう。英語ではThreatです。脅威の例は、森林伐採がジャガーの生息地を減らしていっている、工場からの汚水が川の生態系を壊している、など。次に何がこれらの脅威の原因となっているか、をリサーチします。Contributing Factorsです。
工場ができたのがこの地域での人口が急激に増えたせいだ、森林伐採は地域の人が日常的なエネルギーとして使っているから+伐採した木を売ることで生計を立てているから、などになります。

こうして逆算していった上で、何をすればいいのか、ストラテジー(Strategies)を考えます。

そして2週目となった今週は、月曜と火曜はNGOやNPOでの会計や財政についてのレクチャーでした。どこからお金を得るのか、ドナーを開拓するにはどうすればいいか、など。世界銀行で働いている人や、パッカード財団からJulie Packard氏が来てレクチャーしてくれたりと、様々な分野のリーダーがレクチャーをしてくれます。また実習科目ということなので、実際に地域の自然保護公園などにいって管理されてる人の話を聞いたりもします。今日も大学の近くにある保護地域に行ってきました。

上記のようにかなり盛りだくさんの内容なのですが、2週間で1400ドルとかなり高いプログラムです。実際現在博士課程にいる方や、地元モントレーの水族館で働いてる人がこのプログラムに参加しています。

ただ、モントレー国際大学院の学生は無料でこのコースがとれるようになってます。