Author Archives: Hirofumi Jinno

Fall Forum

皆さん、こんにちは。日本語通訳翻訳(T&I)プログラム1年生の神野裕史です。

サンクスギビング休暇が明けた12月第1週は秋学期の期末試験。1年生は初めての期末試験で戦々恐々としています。クラスメイト全体の前で演台に立ち、実技を行う試験もありますので、緊張して本番で失敗しないよう、メンタル面も含めた体調管理も必須です。

Fall Forumの様子

さて、今回は先日、開催されたFall Forumについてご紹介したいと思います。MIISの通訳翻訳プログラムは英語と英語以外(仏・独・露・西・中・韓・日)がペアになっているのですが、全ての言語ペアの学生が一緒になって、本番さながらに通訳を行う経験を積むために行う大きなイベントです。学校で一番大きいホールを使い、パネリストを招いて、逐次通訳の演習を行いました。

午後をまるまる使って3つのセッション(文化と地球社会における食物、食品・健康・政治、食品と透明性)が行われたのですが、日本語プログラムからは2年生の男性陣3人が参加しました。そのうちの1人、コーリー・ブランドフォード(Cory Blandford)さんに感想を伺ってみましょう。

― 本日はお時間、ありがとうございます。早速ですが、Fall Forumはいかがでしたか?

大勢の聴衆の前での通訳演習ができ、貴重な機会となりました。また、他の言語ペアの学生が行っている通訳パフォーマンスも間近に見ることができ、そこからも将来、通訳者として活躍するために必要なことの多くを学べたと思います。特に聴衆の注意を惹きつけるデリバリーには唸らされました。

― コーリーさんのパフォーマンスも流れるようで、感動的でした。何か秘訣があったのでしょうか?

演台で通訳を行うコーリーさん

この秋学期の間、プラクティカムと呼ばれる会議通訳演習の授業を履修していたのが良かったのだと思います。Fall Forumの直前には2回に分けて大勢の観客の前でいかに落ち着いて話をするか、どうストレスをマネジメントするかについて学びました。プラクティカム直前のこういった授業やプラクティカムの他の演習で学んだテクニックが非常に効果的でした。また、直前には同じ日本語学科の学生と語彙リストを作り、勉強をしましたが、これも当日のパフォーマンスに役立ったと思います。

― そうでしたか。千里の道も一歩からと言いますが、日々の鍛錬がやはり重要なのですね。ところで、コーリーさん、Fall Forumの当日はアイドルのような1日を送られたと噂に聞いたのですが、何があったのでしょうか?

ビデオ撮影のことですね。MIISの学習環境を紹介するプロモーションの一環で、Fall Forumの当日は1日、密着取材を受けました。撮影されているというのは、やはり若干プレッシャーでしたが、同時に楽しくもありました。MIISにハリウッドスタイルの撮影スタジオがあるなんてそれまで知りもしませんでした。映像を自分の目でも確認できるのを心待ちにしています。

Fall Forum実施委員会の面々

Fall Forum実施委員会の面々

― なるほど、そうだったのですね。映像がホームページに掲載された日にはこのblogからもリンクを貼りたいと思います。本日はテスト前のお忙しいタイミングにもかかわらず、どうもありがとうございました。

いえ、こちらこそ。是非、参考になれば幸いです。

Alumnus Interview: Lynn

皆さん、こんにちは。日本語通訳翻訳(T&I)プログラム1年生の神野裕史です。

1学期ももうすぐ終わりに近づいており、期末試験に向けて、通訳翻訳学科の学生はてんやわんやの大変な時期を迎えています。テスト勉強に加えて、イベントも盛りだくさん。2年生はFall Forumと呼ばれる実践的な通訳演習の機会があります(次回、このblogでFall Forumについて取り上げます。乞うご期待です)。1年生もサイトトランスレーションのクラスで中国語学科との合同演習をしたり、通訳翻訳プログラム全体での逐次通訳演習があったりと忙しい日々を送っています。

ChenYoshimura

勤め先にて(リンさんは右端)

さて、今回はOBの特許翻訳者としてご活躍されているリン・ラーセンさんとのインタビューをご紹介したいと思います。

― 本日はお時間、ありがとうございます。ご活躍されている卒業生のお話を聞けるのは非常にありがたいです。早速ですが、MIISで得た経験の中で、キャリア上、特に有益だと感じられていることはございますか?

まずは、高い外国語能力だけでは通訳者・翻訳者として活躍するのに不十分だと気付けた点でしょうか。通訳者になるには(特に同時通訳は)しっかりした訓練が必要です。一方で翻訳者には、原稿の隅々まで注意を払うことが求められます。これは、どれだけ注意深い人であっても、専門的な教育抜きには身につきません。

また、通訳者・翻訳者に共通して言えることですが、英語・日本語での背景知識も重要です。例えば、経済・自動車・知的財産などが日英の通訳者・翻訳者にとって重要な分野ですが、専門的に勉強した経験のない人は、母語ですら知識がないことが多いでしょう。

MIISでこれらの分野について学び、翻訳ができたことは非常に貴重な経験でした。MIISのカリキュラムにはしっかりと技術的な内容が盛り込まれており、文学などが翻訳の主な対象になっている一般の外国語のプログラムとは大きく異なります。

― ありがとうございます。翻訳者としてご就職されたとお聞きしていますが、仕事探しの上で、MIISの教育はどのように役立ちましたか?

1年生と2年生の間の夏休みに国連の専門機関である世界知的所有権機関(WIPO)でフェローシップ(≒インターンシップ)を行いましたが、その応募選考の際にはキャリアセンターを中心にMIISの力を借りました。フェローシップへの参加によって、非常にニーズのある分野である日本語→英語の特許翻訳の実務経験を積むことができました。

スイスにて

スイスにて

特許文書は技術的なプロセスや機械について法律用語で書かれており、非常に複雑な描写が多いため、専門的な訓練なしに翻訳を行うのは困難です。このインターンシップでの経験とMIISでの2年間の教育のおかげで、シリコンバレーにある法律事務所で、翻訳者として働き始めることが出来ました。

特許翻訳に限らず、もう少しマーケット全体を見てみると、競争がどんどん激しくなっています。ですので、MIISのような学校の修士号を持っていることは大きなアドバンテージです。

― 企業の方とは接点がまだあまりないのですが、修士号が評価されるというのは非常に心強いです。最後に、MIISでの印象に残っていることをお聞きしてもよろしいでしょうか?

オットセイの鳴き声に耳を傾けながら、居眠りをすることでしょうか?学校自体について話すと非常に小さなクラスで切磋琢磨したことが印象的です。2年間同じ仲間と、活発にグループで勉強するのですが、仲間の成長には驚きました。

カリフォルニア モスランディング

カリフォルニア モスランディング

そして、何を学んでいても、卒業後に役に立つと感じていたことも記憶に残っています(結構な授業料を払いますので、そう感じながら勉強できるのはありがたいものです)。学科外でも、色々な言語ペアの学生と会って、ネットワーキングができたのも非常に楽しかったです。皆、卒業後、それぞれの業界でリーダーになっていきますので、いつか頼りにする機会も出てくるのではないかと思っています。

Student Interview: Satoko and Fellowship at WIPO

皆さん、こんにちは。日本語通訳翻訳(T&I)プログラム1年生の神野裕史です。今年度、新しくblogを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。

MIISに入学してから2ヶ月強が経ちます。新入生も学校が始まって初の中間テストが終わり、ようやく学生生活に馴染んできたところです。そんな学生の今の関心事項のひとつが2学期終了後の夏休みに行うインターンシップです。いったいどんなインターンシップ先があるのか、どんなお仕事ができるのか、学生の間ではよく話題になっています。そこで、blogを読んでくださっている皆さんのご参考にもなればと思い、この夏、3ヶ月、世界知的所有権機関(WIPO)でインターンシップを行った2年生の金森聰子さんに、インターンシップの感想を伺いました。

― 秋休み明けのお忙しい中、ありがとうございます。スイス・ジュネーブのWIPOで夏休みに3ヶ月間インターンされていたと聞きましたが、どんなお仕事をされていらっしゃったのでしょうか?

金森さん WIPOのエントランス前で

金森さん WIPOのエントランス前で

WIPOは国連の専門機関で、知的財産の保護を世界中で促進することを目的としています。その業務のひとつに特許の国際出願制度の運営があります。WIPOでのインターン制度はフェローシップと呼ばれていますが、私はフェローの1人として日本から出願された特許を日本語から英語に翻訳する仕事を行っていました。

フェローシップを始めた当初は要約と呼ばれる特許出願の明細書や図面などの概要をまとめた資料の翻訳を行いました。そして徐々に慣れてくると、より分量の多い「特許可能性報告書」も翻訳の対象に加わりました。どちらも翻訳後、リバイザーと呼ばれる担当者の元に原稿を持参し、校正・校閲を依頼し、修正箇所の指示を仰ぎます。

WIPO外観

WIPO外観

― フェローシップでどのような学びがありましたか?

いちばんの発見は特許翻訳が楽しかったことです。書かれている内容をリサーチして、しっかり理解して、翻訳する。間違いが許されない仕事で、精密さが求められますが、知的刺激をたくさん受けることができました。フェローシップを始める前までは、特許翻訳の経験そのものはなかったものの、MIISで学んだ経験が役立ちました。MIISの授業では、言葉を置き換えるのではなく、意味を理解して別の言語で伝えることが強調されています。その重要性を感じた局面が何回かありました。また、文章の論理展開を理解するのに必要な分析思考もMIISで鍛えられたと思います。

国際機関で働けたこと、ジュネーブに滞在できたことも貴重な経験だったと思います。職場には「世のため、人のために働いている」という雰囲気がありました。また、国際機関が集い国際会議も多く開かれるジュネーブの街には何カ国語もの言語が飛び交い、非常にコスモポリタンな空気に溢れていました。例えば、WIPOでは英語に加え、フランス語も公用語として使用されているので、フランス語でも会議が開かれ、英語に通訳されています。WIPOのフェローシップは、卒業後に実際の仕事に結びつくことも多いと聞いていますので、またご縁があるのではと楽しみにしています。

ジュネーブのレマン湖

ジュネーブのレマン湖

― 今日はお忙しい中、ありがとうございました。

いえ、こちらこそ。MIISはWIPOに長年フェロー生を送り出してきた経緯もあり、WIPOの翻訳の責任者がフェローシップの説明に来たり、キャリアアドバイザーからのアドバイスが受けられたりと、フェローシップを目指す上でも恵まれた環境だと思います。皆さんの参考になれば嬉しいです。