Author Archives: Shinichiro Tanaka

モントレーでの一年を振り返る

今回は、期末試験も始まり、もうすぐ二年生ということで、一年を振り返る回にしたいと思います。また、これから一年生がMIISに入学されるということもあり、事前にモントレーで何が出来るのか、お話しすることにします。

 

まずは勉強面。一学期目は様々なトピックに関して翻訳や通訳の練習をし、手広く浅く、翻訳とは何か、通訳とは何かを学ぶ、習うより慣れる日々でした。カバーした分野は観光、レシピ、政治、文化、経済などなど。僕は他にもTLM(翻訳ローカライゼーションマネージメント)のクラスを二つ(翻訳支援ツールとローカライゼーションマネージメントの授業)選択科目として取りました。元々はCI(会議通訳)の修士を考えていたので、これらの授業は必修ではなかったのですが、とても興味のあるトピックでしたので、履修しました。TLMの授業の良いところは、他の言語を学んでいる学生と一緒に授業を履修できることです。他の言語の通訳や翻訳のビジネス環境などを知る良い機会でもあるので、オススメです。また、将来授業で知り合った学生から仕事をいただくこともあるかもしれません。TLMの学生は翻訳マネジメントを学んでいるので、将来のクライアント候補なのです。

 

二学期目は翻訳と通訳のコースを全て履修すると、それだけで16単位に達してしまいます。僕もTLMの授業は一つも取れませんでした。また、二学期目は経済や金融関係にフォーカスした授業構成となるため、最近の出来事などの背景知識が大事になってきます。普段からニュースを読み聞きしている必要があります。池上彰さんの本や、柴田真一さんの『図解式金融英語の基礎知識』などを読んでおくと良いと思います。僕は週刊誌や本など比較的よく書けているものを写経すると表現力の向上に役立つと言われたので、数分だけでも日々ニューズウィークなどの文章を書き写すようにしています。

 

生活面の話もしたいと思います。とても苦労したのは、家探しです。僕は最終的にはルームメイトを見つけてふたり暮らしをしています。それも、3日で家は見つかるだろうと思って泊まっていたホステルから出ていかなくてはならない日にフェイスブックを通して出会ったルームメイトと住んでいます。ひとりで部屋を探すよりも気の合う友だちをまず探したほうが良いかもしれません。たとえ好条件の物件を見つけたとしても、ルームメイトと上手くいかないと生活は大変です。僕とルームメイトはお互い日本人で家のものは共通口座で買っています。まずは、先輩を見つけて部屋の空きがないかを聞くなどすると良いかもしれません。きっと親身になって助けてくれるでしょう。

 

あとは、健康管理ですね。日本食が食べたい場合は車を持っている人に頼んでサンノゼのミツワに連れて行ってもらうと良いでしょう。ミツワは日本の食品が買えるスーパーです。ジムやスポーツ施設は日本よりずっと安く、豊富なので、心配ありません。モントレーペニンシュラカレッジでは無料でジムやテニスコート等が一般に開放されています。テニスラケットも日本の半額程度で手に入ります。学校には卓球台もありますし、ズンバなども無料で出来ます。

 

これから二年生になる僕たちは新入生が入学されるのを楽しみにしていますし、内心自分たちが先輩でいいのだろうかなどと心配したりしています。一緒に切磋琢磨出来ればと思います。

一年生とラッセル先生

先輩方とも同級生ともしばらくお別れです。皆さんが実り多き夏を過ごされることを心より祈っています。

「待てといふにとまらぬものと知りながらしひてぞ惜しき春の別れは」

読人しらず

休みの過ごし方

忙しい二学期目もいよいよ後半へと突入し、もうすぐ私達一年生も二年生になります。せっかくアメリカに居るので、アメリカの文化を体いっぱい感じたいものです。そういう観点から、先週の投稿と多少被ってしまいますが、私の休みの過ごし方について少し書いてみたいと思います。

bikes 1冬休みはサンフランシスコまで自転車で旅をしました。往復一週間の旅です。片道200 km以上ありました。ルームメイトとの二人旅です。道中あちらこちらにモーテルがあり、足がとても疲れたり、おしりがすごく痛くなったりした以外は特に不自由などはありませんでした。ゴールデンゲートブリッジでタイヤがパンクして痛い思いなどはしましたが、概ね楽しい旅でした。携帯用の空気入れは持っておいた方がよさそうです。ちなみに、この話をすると大抵の人が驚きます。というよりも、安い自転車(90ドル程度)で何をやっているのだとあきれられることもしばしばありました。ハイリスク、ハイリターン、ローコストです。しかし、ワトソンビルからサンノゼへ向かう道中の山を登るとき、おばさんが危ないからと言ってトラックに僕たちと自転車を一緒に乗せてくれたのは良い思い出です。ワインの試飲中にアメリカンフットボールの49ers関連の話を店の人達が話し合っているのを聞きながらのんびりと休むことも出来ました。bikes 2途中ダブリンで翻訳会社におじゃまし、アメリカに住む日本人のことや翻訳ビジネスに関する様々な話を聞くことも出来ました。しかし、オークランドで自転車のライトを盗られたので、気をつけないといけません。美味しいラーメンも食べました。少し冒険すれば、外には面白いことが沢山あります。危ないので、自転車での長距離の旅は誰にでもオススメできることではありませんが、体力に自信のある方であれば、やってみる価値はあると思います。勉強ばかりでなく、遊びにも本気で挑んでこそ、留学は実り多いものになるのではないでしょうか。

それから、春休みもWBCの準決勝(日本対プエルトリコ戦)を見たり、大学のカリフォルニア同窓会に参加したり、テニスラケットを買ってテニスをしたり、ナパ・ヴァレーに行ってワインテイスティングをしたりと存分に楽しみました。baseballモントレーには無料でテニスやジムを利用できるMPC(モントレーペニンシュラカレッジ)もありますし、太鼓教室もあります。また、スポーツセンターもランニングに適した浜辺などもあります。それから、テニスラケットなどは日本の半額程度で手に入ります。

日々の勉強としては、日本語と英語で書かれたものを10分ずつ書き写す写経を続けています。また、最近ルームメイトと話すときは5分でも良いから敬語で話す練習や英語で話す練習をしようと決めました。

これからも、留学経験を充実させ、心身ともに鍛えて行きたいと思います。

東京裁判に関する講演の逐次通訳

先週の予告通り、今回のブログは講演の逐次通訳について書きたいと思います。

2月22日、武田珂代子先生による東京裁判に関する講演の逐次通訳を同級生と担当させていただきました。内容は武田先生のご著書『東京裁判における通訳』に沿ったもので、中でも通訳の三層構造にフォーカスが当てられました。ご著書自体が非常に面白かったので、内容を楽しみながら準備をすることができました。東京裁判では、日本人、日系人、白人といった異なるグループの人々が、通訳、通訳を監視するモニター、言語の専門家全体を統括する言語裁定官として、通訳作業をそれぞれ担当していました。これには社会的、文化的背景が絡んでおり、敗戦国の日本人に頼ることを避けるため、アメリカ国民の白人が、たとえ日本語がおぼつかなくても言語裁定官として居なくてはならなかったといった点など、非常に興味深い話が書かれていますので、通訳を目指している方や、東京裁判についてご興味のある方は、ぜひ武田先生のご著書をお読みください。

今回は事前にパワーポイント資料をいただくこともでき、十分に準備することができたので、当日はそれなりにスムーズに通訳をさせていただくことができました。いただいたフィードバックは好意的で、大変嬉しく思いましたが、一年生なので少し手加減していただいたのかなと思います。それでも、個人的にはとりあえず出来るだけのことはしたと手応えを感じています。ご著書も何度も日本語と英語で読みましたし、東京裁判に関する動画などを見たりもしました。パワーポイント資料のサイトラも何回かして、自分だけでもプレゼンできるようにしました。やってみてわかったことは、他の授業の予習や復習ももっとやれることがあるはずだという点です。ただ、健康などを害してしまうと元も子もないので、程よいバランスを見出していきたいです。

今日は先生方並びに先輩方がいらっしゃっていたため、通訳を判断していただくという点では、素晴らしいオーディエンスの方々に恵まれました。一応大学時代も人前で通訳する機会はあったので、緊張しすぎることはなかったのですが、人に伝えるという意識をしっかり持つ余裕がもう少しあればよかったなと思います。観客を見るということや、落ち着いてフィラーなどをなくすということに意識を向けることができたらと思います。しかし、普段小さなクラスで通訳をするのと比べ、より大きなオーディエンスに向けて話す場合は視線のあり方や声の張り方などが違うということを改めて実感できたのは良かったです。クラス内の仲間内で練習するだけですと、何のために通訳をするのかという意識がでてこないので、こういう機会があるというのは素晴らしいことだと思います。

今回の企画を可能にしてくださった武田先生ならびにMIISの先生方、先輩方、同級生に改めて感謝の意を述べたいと思います。みなさま、本当にありがとうございました。

Shinblog1

ちなみに、講演の当日、MIISの図書館で行われているブックセールが全品無料になりました。通訳者、翻訳者の勉強は永遠に終わりません。これだけ本が手に入ると嬉しいですね。