Monthly Archives: September 2015

卒業生インタビュー 【神野裕史さん】

今回は、今年MIISの翻訳通訳修士課程を卒業されたあと、アメリカで通訳・翻訳者としてご活躍中の神野裕史さんにお話を伺いました。

―今日はお忙しいなか、ありがとうございます。はじめに、 海外の大学院で通訳と翻訳を学ぼうと決めた理由を教えていただけますか。

一番の理由は、通訳・翻訳技能を身につけるには時間をかけて訓練を積む必要があるだろうと思ったからです。2年間という時間を通訳・翻訳の勉強に投資して、実力をつけたいと思ったからというのが最大の理由でした。

MIISで学ぶ前は、財団法人で日本語を母語としない方を対象としたBJTビジネス日本語能力テストの普及業務を担当していました。受験者の中には東アジア・東南アジアの日本語通訳・翻訳者の方も多く、通訳・翻訳の仕事に興味を持ちました。

そこで、日本で通訳学校に1年ほど通い、非常に楽しかったのですが、会社から帰った後、夜21時くらいから同時通訳の練習をすると頭が興奮して眠れなくなるし、朝起きてから出社までの間はゆっくりしたいし、満員電車で勉強するのもつらいし…と、勉強時間の確保が大きな課題でした。仕事と学業を平行させていくのは私には合わないのだろうと気づき、しっかり勉強できる環境を探して出会ったのがMIISでした。

―神野さんは今年5月に卒業されたあと、アメリカで就職されたと伺いました。どのようなお仕事か、お聞かせください。Jinno 1

ソフトバンクが買収した携帯電話通信事業者のスプリントのネットワーク部門で、Global Communications Managerとして働いています。現在の主な業務は、ソフトバンク・スプリント役職員のコミュニケーションを通訳・翻訳業務を通じてサポートすることです。ネットワーク品質や効率を高めようとソフトバンクとスプリントが一体となってイノベーションを起こしていくビジネスの最前線に立ち会えるのは、非常に刺激的です。

―MIIS で学んだなかで、「現場で活かせている」と実感できるのは、どんなスキルでしょうか。

最も大きいのは、なんと言っても通訳・翻訳の実務能力だと思います。通訳にせよ、翻訳にせよ、意味を捉え、別の言語で伝えるのは、MIISでの訓練の量と質、両方必要だったと感じています。Jinno 2

通訳者・翻訳者としてのコアスキルは意味を捉え、別の言語で伝えられることだと思いますが、翻訳であれば「誤字脱字を見逃さない」「パソコンを使いこなす」、通訳であれば「必要な声のボリュームで話す」「座る位置、立つ位置を意識的に選ぶ」などの周辺知識、コンピテンシーも含めて学習できるのがMIISの良かった点だと思います。

―学生時代はどんなことに力を入れてすごしていましたか。Jinno 3

あまり楽しい大学院生活に聞こえないかもしれないのですが(笑)、クラスメートとの練習です。入学前に読んだマルコム・グラッドウェルの本に「何かに習熟して一流になるのに、人は1万時間の積み上げが必要」と書いてあったので、2年間で1万時間は無理にせよ、なるべく技能を積み上げるために時間を割こうと思っていました。

―学生生活で一番思い出に残っていることをお聞かせください。

1年に1度、通訳を学んでいる全言語の学生が逐次通訳をMIIS・モントレーのコミュニティ全体にお披露目するFall Forumというイベントがあります。イベントの企画・実行にかかわったことで、通訳をイベント主催者の視点から考えることができたほか、他言語の学生たちと一緒に働く機会が持て、非常に勉強になりました。Jinno 4

―それでは最後に、MIIS入学希望者にアドバイスがあればお願いします。

入学前に2点お勧めしたいことがあります。まず1つ目ですが、サイトトランスレーションと逐次通訳の授業を見学されることをお勧めします。教授だけでなく、バイリンガルのクラスメートに自分のパフォーマンスを見られ、(批判ではなく)批評を受ける環境なので、言語能力と心の両面から準備ができているか検討する良い材料になるかと思います。jinnno 5-2

2つ目ですが、通訳・翻訳という職種柄、言語の組み合わせと母語によって、また、国によって、市場が大きく異なるので、どの国にどのような仕事があるのか、どの国で働きたいのか(働けるのか)、MIISのキャリアセンターなどから情報を得て、大まかなイメージを持てるようにしておくと良いと思います。

在学生インタビュー【カトリン・ラーセンさん WIPOインターンシップについて】

MIISでは、毎年スイスの世界知的所有権機関(WIPO)でインターン翻訳者として働く学生がいます。今回は、WIPOから帰ってきたばかりのカトリン・ラーセンさん(翻訳・通訳修士課程2年生)に感想を伺いました。

―今日はお時間をいただきありがとうございます。カトリンさんはこの夏3ヶ月間、WIPOでインターン翻訳者としてご活躍されましたが、まず、MIISにいらっしゃる前はどのようなお仕事をされていましたか。

私は子供のころからアメリカで育ったのですが、日本に興味を持っていました。初めて日本語を勉強できたのはスタンフォード大学に入学してからで、その後、日本語に関わる仕事をしたいと考えました。大学を卒業してからすぐ日本に引っ越し、日本のモバイルインターネット企業DeNAで海外人材の採用を担当していました。この時に面接の通訳をする機会に恵まれて、初めて通訳という仕事を実際に体験できました。

WIPO Geneva

スイスのジュネーブにあるWIPO外観

1年半を少し過ぎた時点でアメリカに帰り、身についた日本語を使って、サンフランシスコにある同社の子会社で日本人の経営陣とIRチームのサポートなどをしていました。
IRチームの仕事関連で通訳の業務が増えて、社内全社ミーティング、社外の投資家との会議など、いろいろな場面で通訳をする機会がありました。しかし、通訳の訓練を受けたことがなく、自分の通訳はかなり未熟なものだと実感しましたので、さらにスキルを磨きたいと考え、MIISで勉強することに決めました。

―今回のWIPOのインターンシップでは、具体的にどんな翻訳のお仕事をされていらっしゃったのでしょうか。

簡単に言いますと特許の日英翻訳です。世界の多くの国から特許がWIPOに提出されて、そのすべてを英語とフランス語に翻訳する必要があり、私の場合は日本からの特許の要約と特許庁が作成している国際予備審査報告を英訳していました。かなり独特なスタイルが特徴で、慣れるのに大変でした。さらに、専門性の高い内容ばかりで、原文を理解するために当該分野の知識を身に付ける必要がありました。日本の特許は幅広い分野で申請されているので、自動車をはじめ、あらゆる製造方法、製薬、半導体など一般的な分野の発明から、ゲーム内で不法にアイテムを盗めないようにするシステムなど、様々な発明に触れることができました。特に多かった自動車と半導体の分野では、資料を引用しなくても詳しく説明できるようになったような気もしています(修理はさすがに無理ですが)。

Matterhorn

マッターホルンを背景に

プロセスとしては、まず原文を読み、わからないことや確認する必要がある箇所を関連資料で確認しながら翻訳をしました。出願書の要約のみを翻訳していましたが、WIPOでは出願書を全部見ることができましたので、請求の範囲などを見ることが理解にかなり役立ちました。書き終わったらドラフトを数回読み返し、英語で意味が通じているのか、意味がずれていないか、数字や複数形が合っているかなど確認をしてから修正担当者に提出します。修正担当者は全員WIPOの非常に優れた英日翻訳チームで、特許に大変詳しい方々です。その方々から修正箇所の指摘や全体のフィードバックをいただいて、自分の翻訳を修正してから最終提出をしました。たまには「練習」という形で、間違ってはいないけれど、よりきれいに表現できるはずという箇所の指摘を受け、いくつか可能な翻訳を考え、そのメリット・デメリットを議論しました。大変なときももちろんありましたが、そのおかげで便利な表現と文法構造を学ぶことができました。

―インターンシップでは、そのほかにどのような学びがありましたか。

私にとっての一番の気づきは、他の人にとっては目新しいことではないかもしれません。日本語を書く人はほぼ全員日本語のネイティブなので誰でも上手に書け、当然間違いなどしないものだとなぜか思い込んでいましたが、今回の経験で自分の思い込みが間違っていたことに気づきました。質の高い原文ももちろんありましたが、漢字の変換ミス、コピー・貼り付けの間違い、曖昧に書かれていて意味が通じないものもたくさんあり、そのような文章にどう対応するかで力を試されました。

また逆に、私は英語ネイティブなので、英語で書くときは言いたい意味が通じていると自分が思っていれば、それはまったく問題なく通じているのだと勝手に自信を持っていましたが、テクニカルな分野の書き方にはそれなりのコツがあることがよくわかりました。「口では通じるけれど書く場合は使えない」、「意味はわからなくはないけれど曖昧過ぎてテクニカルなものに相応しくない」というフィードバックには、少しプライドが傷つくこともありましたが、そのおかげでテクニカルな書き方を学ぶとっかかりができたと思います。まだまだですが、これからそのスキルを磨き続けたいと思っています。

―それでは最後に、MIIS で学んだことがインターンシップでどう活かされたか、お聞かせください。

UN Broken Chair

国連広場「壊れた椅子」の彫刻

私は2年目で学ぶテクニカル翻訳の授業をまだ履修していませんでしたが、毎回の翻訳の課題でわからないことをすべて調べきり、利用する表現を全部徹底的に調べるように指導してくださったMIISの先生に感謝しています。特に特許の要約は短いですが、すべての言葉に意味が込められており、その意味と意図をつかんで、そのすべてが英語で正しく反映されているかを確認するのが極めて大事です。長々と続く文章や複数形の曖昧さなどは日本語の特徴で、どの部分がどこにかかっているのか、ある部分は一つだけか複数なのかなどは、原文だけではわからない場合が多かったので、出願書や当該分野について調べる必要がありました。実際に翻訳を勉強し始める前には、翻訳というのは文章だけを見て訳すものだと思っていたのですが、特許翻訳を通じて専門知識やリサーチの必要性を痛感しました。

特に私が苦労したのは言葉が二重の意味を持つ場合です。日本語の原文を理解し、その意味に合った英訳を書き、訳自体は間違ってはいませんでしたが、英語の表現に二つの意味があったことに気づかない場合がありました。こういったケースは特許では特に問題になりますので、英語を母語としていても、テクニカルなものを書くときにはとりわけ注意しなければいけない点があることを把握して書く必要性が、よくわかりました。

在学生インタビュー【山本千鶴さん UN Womenインターンシップについて】

MIISでは、2学期終了後の夏休みにインターンシップを行い、実績を積む学生が少なくありません。今回は、国連機関「UN Women日本事務所」でインターンをされた山本千鶴さん(翻訳・通訳修士課程2年生)にお話を伺いました。

―夏休み明けのお忙しいなか、ありがとうございます。山本さんは夏休みのあいだ、UN Women日本事務所で3ヶ月間インターンをされていましたが、どんなお仕事をされていらっしゃったのでしょうか。

大きく分けて4つあります。1つ目は企業との関係構築です。女性の活躍を推進している日本企業をリサーチし、絞り込んだのちに、役員の方々とのアポイントメントを取り、企業訪問に同行しました。また、UN Womenの取り組みを知っていただくために、日本語版の簡単な説明資料を作成しました。2つ目はUN Womenの重要な報告書である “Progress of the World’s Women”の日本語版作成です。翻訳会社との調整、および翻訳チェックを担当しました。3つ目はウェブサイトの翻訳です。日本事務所の開設によって、日本語での情報がより求められるようになるため、NY本部の英語のウェブサイトを日本語に翻訳しました。4つ目は開所式の準備です。UN Women日本事務所の開所式を開催するにあたって、招待状の発出および招待客の管理、必要な印刷物の手配、開所式運営のサポート、そして報道発表の準備を行いました。記者会見では、ムランボ=ヌクカUN Women事務局長の通訳を担当する機会にも恵まれました。

IMG_3235―インターンシップでどのような学びがありましたか。

事務所が開設されてから日が浅く、また、少人数の事務所であったために、非常に多くのことを任せていただきました。より多くの方々にUN Womenの活動を知っていただくため、日本事務所長のご指導のもと、政府や民間企業、市民団体、学術界等、様々な方々に働きかけを行いました。特に、新規にコンタクトを取った企業でも快く対応してくださり、あきらめずにやってみることで新たなつながりが結べるのだと実感しました。企業訪問に同行させていただいたことで、民間企業の取り組みや働く女性が置かれている状況を外側から知ることができました。また、事務所の開所式という一度限りの大きなイベントの準備に関わり、NYのUN Women本部や、日本事務所が存在する東京都文京区役所、外務省、イベント関係会社等、様々な方々とやりとりをするなかで、タイムリーなコミュニケーションの大切さを感じました。そして、まったく新しい組織での勤務だったため、情報インフラの整備と、組織の紹介資料等のツールの確保は大変重要であると痛感しました。日本事務所の初期メンバーとして事務所の立ち上げに携われたことは大変幸運だったと思っています。

―MIIS で学んだことがインターンシップでどう活かされたか、お聞かせください。IMG_3237

“Progress of the World’s Women”やその他媒体の翻訳をした際に、読み手にとってわかりやすい文章を作るように心がけました。文字通りの翻訳や意味が伝わるだけのものではなく、読み手がストレスフリーで理解できるように全体の意味を捉えた翻訳に仕上げるよう注力しました。また、開所式の記者会見で通訳をした際は、落ち着いて相手に伝わるような通訳を心がけました。知識を蓄えておくことで少しでも緊張がほぐれるように、事前のリサーチだけでなく、ムランボ=ヌクカUN Women事務局長が日本に到着された際には成田空港までお迎えに同行させていただきました。最後に、これは同時通訳にも関連しますが、マルチタスク、つまり複数の業務を同時遂行するスキルです。開所式が迫っていた時期には、翻訳チェックやその他業務も並行して進めていたため、仕事に優先順位をつけて取り組むことで、全体の進行を遅らせることなく進めることができました。このような素晴らしいインターンの機会を与えてくださり、ご支援くださった関係者の方々に心より感謝しています。

 

卒業生インタビュー【土方奈美さん】

MIISには、2 年次に飛び級入学し 1 年間で修士号を取得できる、「アドバンス・エントリー」という制度があります。翻訳や通訳の実務経験があり、規定の試験に合格することが条件です。

今回は、この制度を利用してMIISに留学された土方奈美さん(2012年卒)にお話を伺いました。土方さんは、『How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス)私たちの働き方とマネジメント』(日本経済新聞出版社)、『世界の技術を支配する ベル研究所の興亡』(文藝春秋)、『TED驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則』(日経BP社)など、多数の訳書を手がけていらっしゃいます。

―今日はお忙しいなか、ありがとうございます。まず、土方さんが MIIS 留学を決めた理由を教えていただけますか。

忘れもしない2010年の大晦日、「来年はいよいよ40歳になるな」とぼんやり考えていました。人生のほぼ折り返し地点を迎えるにあたり、後半戦を有意義に生きるために自分をバージョンアップしたい、そうだ留学しよう、と思い立ちました。アメリカの大学院留学は学生の頃からの夢だったのですが、20~30代は仕事にかまけて忘れていました。今こそチャレンジする時期だ、と思ったのです。

では留学して何を学ぶか、と考えた自然な結論が翻訳でした。その3年前に新聞社を退社し、翻訳家として独立したのですが、きちんと翻訳を学んだことがなく我流でやっていて、これで良いのだろうかと不安がありました。また前職が経済記者だったため、書籍は経済関係の作品しか仕事の依頼がなく、もう少し間口を広げたいと思っていました。翻訳・通訳教育では高い評価を得ているMIISに留学して本格的に翻訳を学べば、仕事の機会も広がるのではないかと考えました。

―現在、主にどのようなお仕事をされていらっしゃいますか。

書籍翻訳と通訳が2本柱です。翻訳者は産業翻訳と書籍翻訳、通訳者の方は主に通訳という働き方が一般的なので、珍しいコンビネーションかもしれません。

書籍翻訳はMIIS留学前と同じように経済、ビジネス書が多いのですが、少しずつやわらかいテーマの作品も依頼されるようになっています。年間に3~4冊ペースが理想ですが、突然おもしろそうな企画が持ち込まれると無理してでも引き受けてしまうのでいつも首がまわらない状況です(笑)。

ただ翻訳だけですと、1日家族以外誰とも口をきかない生活で煮詰まってしまうので、1年ほど前にMIISのネットワークを通じて電力会社での社内通訳の仕事を見つけ、週3日働きはじめました。原子力発電の安全性を高めるために、海外から招聘されたアドバイザーの方の専属通訳をしており、毎日が新たな学びの連続で刺激を受けています。

―MIIS で学んだことが、いまお仕事にどう活かされているか、お聞かせください。

私はアナログ人間なので、ITを生かして翻訳作業をどのように効率化していくかという授業は目からウロコというか、とても勉強になりました。学んだスキルは今も仕事に活かしていますし、新たな技術を取り入れてどのように仕事の質を高めていくかという視点を常に持つようになったのもMIISの収穫だと思います。MIISの授業はどれも実践的なのですが、特に印象深いのは翻訳理論の研究者として名高いアンソニー・ピム教授の翻訳演習で、翻訳メモリを使うのとゼロから人力で翻訳するのとではどちらが速さと質の面で優れているかを実験を通じて検証するなど、仕事をしていくうえで多くのヒントをいただきました。

また授業で学んだことと同じくらい、MIISの人脈が仕事に活きています。翻Samson Center訳をしていると、どうしてもわからない表現がときどき出てくるのですが、それを同じ言語のプロとして仕事をしている元クラスメートに尋ねられるというのは心強いです。フェイスブックやリンクトインのネットワークを通じて求人情報もよくシェアされるので、今後のキャリアを考えるうえで参考にしています。

―学生時代は、どんなことに力を入れて過ごされていましたか。

一番頑張ったのは修士論文の執筆です。私が執筆した論文は、選んだ作品の一部を翻訳し、それに理論的考察を加えるというスタイルのものです。翻訳家としての芸域を広げるために留学したので、翻訳する作品にはアメリカのインディーズ作家のファンタジーを選びました。一般科目を履修するかたわら、半年程度で論文を書き上げるのは大変でしたが、担当していただいた先生から細かなご指導をいただき、自分の翻訳スキルの足りない点を自覚することにつながりました。研究成果は教授のご紹介で日本通訳翻訳学会で発表する機会もいただき、貴重な経験になりました。

―MIIS の学生生活のなかで、一番思い出に残っていることは何ですか。

言語のプロとして活躍される教授陣やプロを目指す学生仲間に囲まれている環境を活かしたいと、在学中は日経ビジネスオンラインというネットマガジンに『ニュースで読み解く英語のツボ』という連載を書きました。たとえば有名社長が解雇されたとき、英字メディアが使ったsack/ oust/ fire/ dismiss/ dump/ ditchなどの単語を比べ、日本語では同じ「解雇」でも英語ネイティブが受ける印象はどのように違うかを分析するといった企画です。連載記事を20本書くために、同級生や卒業生、先生方にたくさんのインタビューをしたのがとても勉強になりましたし、良い思い出になりました。

―土方さんは、お子さんを連れて留学されましたが、お子さんにとって、どのような経験になりましたか。

留学時、長男は9歳、次男は5歳で、それぞれ地元の公立小学校4年生と幼稚園年長に入りました。
2人とも英語力はゼロでしたが、小学校も幼稚園もESL(英語を外国語とする生徒のための補習授業)が充実しており毎日少人数の英語レッスンが受けられたうえ、雰囲気も落ち着いていてすぐになじむことができました。放課後も夕方5時まで1時間5ドル程度で子供を預かってくれる制度もあり、おかげで夫を日本に残して“シングルマザー”としての子連れ留学でも勉強に打ち込むことができました。

私がMIISに2年生から編入したため、わずか1年弱のアメリカ滞在でしたが、子供たちには日本とは違う暮らし方、価値観があることを学ぶ貴重な機会になったと思います。

―MIIS の入学希望者のなかでも、すでに翻訳や通訳の実績がある人や、お子さんと一緒に留学をしたい人に、特にアドバイスがあればお願いします。

すでに翻訳者や通訳者として活躍されている方々は、1年間現場を離れることに対して「顧客を失うのではないか」といった不安も感じられることと思います。ただ実力が認められれば「アドバンス・エントリー」という制度を使って2年生から編入し、1年で修士号を取ることもできます。また翻訳者の方は、在学中も学業と並行して多少仕事を続けることは可能だと思いますし、私も実際に日本のクライアントとの仕事を細々と続けていました。自己流の仕事のやり方を見直してレベルアップしたり、将来につながる人脈をつくるために、長いキャリアのうち1年を投じてみるのは悪くないと思います。Monterey Beach

お子さんと一緒の留学については、お子さんが性格的に海外生活になじみやすいかどうかによって、親の負担は大きく変わると思います。私の場合は2人とも能天気な性格で「学校に行きたくない」と言われることもなく、おまけに大した病気もしなかったので、ずいぶん楽をさせてもらいました。いずれにせよモントレーは治安もよく、人も穏やかで、子連れ留学をする地域としては強くお勧めできます。

 

このブログについて

本ブログは、ミドルベリー国際大学院モントレー校(MIIS)日本語通訳翻訳・ローカリゼーション管理科の公式ブログです。

MIISでは、現役の翻訳者・通訳者として第一線で働く教授陣により、基礎から実践まで徹底的な指導が行われています。卒業生は 300 名を超え、日本、北米、ヨーロッパ、アジアなど世界各地で、優秀な翻訳者・通訳者として活躍しています。

Campus

中核となるプログラムは 2 年間の修士課程で、 1 年次に翻訳・通訳の基礎訓練、 2 年次には翻訳、翻訳・ローカリゼーション管理、翻訳・通訳、会議通訳の 4 つの専攻コースに分かれて、雇用市場に即した実践的な訓練が行われます。

在学中に、企業・国際機関などでインターンシップに挑戦できる機会もあります。インターンシップの多くは、卒業後のキャリアにつながります。MIIS の卒業生は、翻訳、通訳、ローカリゼーション管理のスキルを提供することによって、今日の雇用市場で高い競合性を誇っています。

キャンパスはカリフォルニア州モントレーのダウンタウンから徒歩 3 分ほどの便利なロケーションにあります。モントレーは海と山に囲まれた風光明媚な街で、サンフランシスコや、シリコンバレーのあるサンノゼなど、近郊の都市から車で数時間のところにあります。

harbor
◆本学のホームページはこちらです。

◆過去のブログについては、下記をご覧ください。
モントレー国際大学院T&I日本語ブログ

モントレー国際大学院日本語ブログ