卒業生インタビュー【ダニエル・ドラモンドさん】

今回は、今年MIISの翻訳修士課程を卒業されたあと、翻訳者としてご活躍中のダニエル・ドラモンドさんにお話を伺いました。

―はじめに、MIIS を選ばれた理由を教えていただけますか。

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MIISキャンパスで

MIISの名前を初めて聞いたのはJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)に参加していたころです。その後もMIISのことは常に頭の片隅にありました。でも翻訳を仕事として本格的にやってみたいと思ったのは、アメリカに帰国してから数年経ったころです。日本語と英語の翻訳プログラムがある学校をいろいろと探して、最終的にMIISとケント大学に絞り込みました。どちらも素晴らしいですが、MIISの国際性を重視した姿勢や雰囲気が自分には一番合っていると感じました。

―卒業後はどのようなお仕事をされていらっしゃいますか。

カリフォルニア州サンタクララにあるチェン・ヨシムラ法律事務所で特許翻訳者として働いています。肩書きの通り、仕事のほとんどは日本語から英語への特許翻訳です。私たちの仕事の最終的なゴールは、クライアントが申請している特許出願が許可されることですので、時には単なる翻訳の範ちゅうを超えたサポートを提供することがあります。特許申請が通る可能性が高まるように、基準に照らしあわせて申請書を多少調整しなくてはならないことがよくあります。

―MIIS で学んだことで現在の仕事に活かせていることを教えてください。

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クラスメイトと

特に役立ったと実感している点が3つあります。私は翻訳専攻でしたが、ローカリゼーションのクラスをたくさん取りました。いまの職場で翻訳ソフトウェアを使っているので、特に翻訳支援ツールの実習ができたことに、感謝しています。それから、ラッセル秀子先生の翻訳のクラスで長めの文書を翻訳する機会に恵まれて良かったと思っています。翻訳で使用する用語、スタイルなどを長い文書の翻訳で統一を図りながら取り組んだことは、20ページ以上に及ぶことが多い特許翻訳をするのに役立っているからです。そして、ターニャ・パウンド先生の特許翻訳クラスですね。特許の長い文章をどのように読解して、うまく区切りながら翻訳するかを学んだことは、いま仕事で特に一文が長くて理解が難しいような文章を訳さなくてはならないときに、当然のことですが役立っています。

―学生時代はどんなことに力を入れて過ごしていましたか。

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WIPOインターンシップの初日

一人で勉強やリサーチをして過ごす時間も長かったですが、クラスメイトともよく一緒に勉強しました。特に翻訳の宿題についていろいろ意見を交わしたことはとても役に立ちました。議論を通して他の人の解釈を聞いたり、あるフレーズが何を意味し、どのように訳すか、といったことを話し合ったりしたのは、とてもいい経験でした。

―学生生活のなかで一番思い出に残っていることは何でしょうか。

一番記憶に残っているのはクラスメイトと過ごした時間です。サムソンセンター(カフェテリア)などキャンパスで一緒に勉強した時間だけでなく、ハイキングに行ったりランチを一緒に食べたりといった、自由時間があまりないなかで一緒に楽しく過ごした貴重な時間が印象に残っています。MIISで過ごした2年間の間に築いた友情をとても大事にしていますし、これからも機会があればMIISでできた友人と交友を温めるのを楽しみにしています。

―入学希望者にアドバイスがあればお願いします。

同期の神野裕史さんもこのブログのインタビューでお話しされていたと思いますが、入学を検討されている方は、MIISを実際に訪れてみて翻訳や通訳のクラスを見学することをおすすめします。自分が願書を出しているときにそういった機会があればよかったと思います。そうしていたら、クラスがどんな感じであるとか、入学前に何を準備しておけばいいかもっとよく分かっていただろうと思います。2番目のアドバイスとしては、当たり前に聞こえるかもしれませんが、実際の仕事と同じように厳しい締め切りのある翻訳の経験を積むことです。そうすることで翻訳者の仕事がどういったものか理解できると思いますし、自分が実際に翻訳者に向いているか見極めるのにも役立つと思います。