ATA(米国翻訳者協会) 年次会議について

今回は、現在MIISで翻訳を専攻している2年生のワインストック美智代さんにATA(米国翻訳者協会)の年次会議に出席した感想を書いていただきました。

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unnamed今回は初回の参加ということで、名札に「First Time Attendee 」とシールが貼られていたので、長年会員をされているメンバーの方々から、レセプション、セッション、その他のイベントで声をかけていただきました。今はベテランの方々も、かつては未経験の翻訳者や通訳者の卵だった時代を経験しています。そこからいかにして仕事を得て、クライアントを増やし、経験を積んでいったか、一人ひとりそれぞれのストーリーがあり、皆さん喜んで気さくに教えてくださいました。こういったお話が非常におもしろくてためになり、これだけでも会議に来た甲斐があったと思いました。また翻訳エージェンシーの方も何社かいらしていて、名刺交換させていただきました。私は2月に地元モントレーであったMIIS主催のキャリアフェアのために学校のロゴ入りの名刺をたくさん作っておいたので、それがとても役に立ちました。また、MIISの先輩方にもお会いする機会があり、親睦を深めることができました。michiyo3

ATA認定試験対策のワークショップも非常に役に立ちました。採点基準に関して詳しく説明していただいた上で、実際に私が翻訳してみたサンプル問題の訳出に具体的なアドバイスをしていただきました。どうすればもっと良い訳になる、といった内容ではなく、減点になり得る箇所について、なぜ減点になったか、減点されるとすれば何点くらいマイナスになるか、といったことをアドバイスしてくださいました。

MIISの授業で鍛えられていて本当に良かったと思うのは、授業の課題や宿題でも、同じような減点方法でフィードバックをいただることです。まるで毎週認定試験の模擬試験を受けているようなもので、真剣に翻訳に取り組み、フィードバックを素直に受け止めて、自分の翻訳の癖やよくある間違いを軌道修正していくことにより、知らず知らずのうちにスキルが上がっていると確信しています。ATAの評点者の方もおっしゃっていましたが、訳出が一見きれいな日本語でも、原文と意味がずれていたり、過不足や、余計なニュアンスが入っmichiyo4ていると、翻訳としては優れたものではありません。アウトプットに悦に入り原文のメッセージから離れてはいけないのです。忠実で正確でありながら、直訳調にならず自然で読みやすい翻訳をする、非常に重要なことですが、このバランスを会得するのはたやすいことではありません。プロになったとき、翻訳の質が良くなければ仕事がこなくなるだけで、フィードバックをいただける機会もほとんどないと聞きます。批評をいただけるのはとてもありがたいことなのだ、それがATAを通してMIISでの学習について改めて思いを巡らせた感想です。