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在学生インタビュー【小松原奈那子さん、ニック・コンチーさん、直美・ストックさん ダイキン社インターンシップについて】

今回は、昨年のインターシップについて、当時2年生の金千雪さんがまとめてくださった記事です。

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皆さんこんにちは!2年生の金千雪です。日本語プログラムで翻訳・通訳 (TI) を専攻しています。
今回は、2021年春学期終了後の夏休みに、テキサス州のウォーラーにあるダイキン・テキサス・テクノロジーパーク(DTTP)にてインターンシップをされた小松原奈那子さん (CI専攻2年生)、ニック・コンチーさん (CI専攻2年生)、直美・ストックさん (TLM専攻2年生) にお話しを伺いました。

—本日はお忙しい中ありがとうございます。はじめに、このインターンシップに応募した理由を教えてください。

奈那子さん: 私は大学院に入学した時点では翻訳・通訳の経験がなく、夏休みの間に実際の職場などを体験し、卒業後にむけて経験値を積んで視野を広げたいと思っていました。そこでダイキンの募集を見つけました。アメリカでの通訳は製造業が多いとも聞いていたので、ここでインターンができれば、通訳の現場としてどのようなものが多いのか知ることもできるのではないかと思い、応募しました。
ニックさん: 日本は製造業でよく知られており、英語圏で経営している会社もたくさんあるため、通訳・翻訳に対しての需要はこれからも変わらないはずです。私は将来、社内通訳またはフリーランスを目指していますが、どちらにしても製造業に関連した仕事をする可能性がかなり高いので、現場で製造業を勉強できたらもっともスキルアップにつながるのではと思って応募しました。
直美さん: 私はニックさんと違い、通訳・翻訳者を目指していませんが、このインターンシップを通してアメリカを拠点とする日本企業の視点を知りたいと思っていました。そして、日本語を使って通訳を学び、将来を切り開いていきたいと思い、このインターンシップに応募しました。

—具体的にどんなお仕事をしましたか?ニックさんはインターンシップの間テキサスに引っ越したそうですが、コロナ禍の影響で奈那子さんと直美さんはリモートからの参加だったと聞いています。その点何か違いはありましたか?

奈那子さん: 私はリモートでの参加でした。リモートで参加した理由はいろいろありますが、主な理由は私自身が日本からモントレーに来て一ヶ月ほどしか経っておらず、まだモントレーに慣れておらず、引越し作業も終わったばかりだったので、可能ならしばらくは移動したくなかったというものです。リモートだったのでニックさんとは違い、対面での通訳などができなかったので、やれることが比較的限られてしまったというのが素直な感想です。ですが、それでも役員の方が出席するZoom会議に定期的に立ち会わせていただいて、ダイキンの通訳チームの通訳を聞いたりすることで、実際の職場で求められるスキルについて学ぶことができました。また、会議の後には必ず通訳チームが質疑応答の時間を設けてくださったので、会議に立ち会って気になった通訳のやり方や、会議の内容について存分に聞いて学ぶことができました。
ニックさん: 私が今回テキサスに引っ越した主な理由は、対面式の通訳を試したかったからです。私たち1年生は昨年コロナ禍の影響でZoom上の通訳しかできなかったのですが、ウォーラーにある巨大なDTTP(ダイキン・テキサス・テクノロジー・パーク)では、初めて人の前に立って通訳することを体験できて、非常に嬉しかったです。
私たちは3人でZoomで行われた幹部ミーティングを見学したり、オンライン勉強会に参加していましたが、現場で大勢の作業者やうるさい機械に囲まれて通訳を体験できたのは私だけです。
ダイキンのインターンシップには毎年数十人もの参加者がいますが、そのほとんどがエンジニアリングを専攻にしている大学生です。インターンたちはDTTPの近くにあるアパートに住むこととなっているので、常に顔を合わせて情報交換やネットワーキングができたのも大きな利点の一つです。
直美さん: 私もリモートでの参加でしたので、私が経験できる仕事の種類は限られていました。しかし、私たちの見学が許可された会議が全てオンラインであったことや、上司との練習セッションがあったことは幸運でした。そうは言っても、テキサスに行っていたらダイキンでもっと有意義な体験ができたと思います。

—そこでニックさんへの質問ですが、テキサス州での生活はどうでしたか?

ニックさん: ヒューストンはテキサスの南東にあり、日本と似たような蒸し暑い夏が印象的です。そしてテキサスの大きな利点は、ガソリンや買い物など物価が基本的にカリフォルニアより全然安いということです。ただ、ウォーラーは田舎にあるため、車がないとなかなか生活ができない場所です。車でテキサスに引っ越したのは大正解でした!

ーインターンシップでの学びを聞かせてください。実際に働いてみて、普段の授業での通訳と何か違いはありましたか? また、直美さんはこのインターンシップ以前は通訳経験がなかったそうですが、今回を通してどう感じましたか?

奈那子さん: 一つ確実にこの先覚えておくべきだなと思ったのは、実際に喋る人は必ずしも正しい喋り方をするわけではないということです。当然のことですが、普通に喋っていると、人は基本的に話がそれたり、方言を使ったり、正しい文法ではなかったりと、教科書にはない喋り方をしてきます。普段の授業では、練られ、練習を重ねたスピーチなどが多いので、このような形の通訳はあまり経験してきませんでした。ただ実際にはこのように様々な喋り方に対応する必要性があると思うので、それに気付けたのはよかったです。
ニックさん: 授業では、全ての情報を正確に伝えることが重要とされますが、実際に現場で通訳してみたら、情報を伝えることだけではなく、コミュニケーションを支援することも通訳の大切な仕事だなと思いました。スピーカーが本当に言いたいことを捉えて、そしてこれを相手にわかってもらえるように伝えることには、人間関係に対しての観察力や柔軟性が求められます。
このような知識やスキルは授業で教えにくいので、やはり実際に現場での通訳に挑戦してみないとなかなか身につかないと思います。
直美さん: インターンシップの前は通訳の経験がなかったので、練習セッションを続けるのに苦労しました。経験不足にもかかわらず、私は新しい、価値のある知識を多く学びました。たとえば、通訳のためにメモを取る方法や、記憶の仕方を学びました。

—私もダイキンのインターンシップに興味があったので、オリエンテーションに参加したのですが、通訳者の育成に力を入れているとういう話が印象的でした。実際はいかがでしたか?

奈那子さん: 実際このインターンシップは、職務経験を積むというよりは、将来通訳者になるための育成をするという要素の方が強かったと感じます。特に序盤は現場にインターンを出したりはせず、通訳の練習会や業界の知識を教える説明会などが多かったです。また、インターンシップ中は通訳スキルを向上させるための目標を設定し、それの達成に向けて練習していました。なのでその目標に向けての進捗報告も度々行っていました。後半になるにつれて、翻訳などに携わらせていただくことも増えてきましたが、全体的に見るとやはり、育成するという方が全面に出ていた気がします。
ニックさん: そうですね、ダイキンは通訳者のための育成が充実しています。インターンの担当者の方は週に1〜2回、勉強会や説明回を行い、空調業界や日本の製造業について色々教えてくださいました。現場で通訳をしている時に、分からない単語やより深く知りたいコンセプトなどが出た場合、次の説明会でそれについて確認ができたのでとても便利でした。
また、このミーティングにはインターンだけではなく、正社員の通訳者も参加するので、その方々と話すことで社内通訳の仕事について色々学ぶことができました。
直美さん: 確かに、経験を積むことよりも、主にトレーニングに焦点を合わせていました。 そのため、企業で働くことにおいてのスキルはあまり学びませんでしたが、通訳の知識や職場環境の理解を深めることができました。

—これからダイキン社のインターンシップに応募する学生へのアドバイスや、読者へのコメントがあれば教えてください。

奈那子さん: ダイキンは通訳チームの方々がとても親切で、とても親身になってくださいながら通訳スキルの向上に向けていろいろと助けてくださいますので、とてもいい職場だと思います。また、ダイキンの施設は通訳ブースなども含め最新式なので、もし状況が許すのであればぜひ実際にテキサスに滞在してその場を体験してみて欲しいです。実際私はリモートでしたが、ダイキンの機材などに触れたり、通訳インターンとしてあまり多くに関われなかったのが心残りです。ですが、もしリモートでもなるべく参加できるようにダイキンの方々は最善を尽くしてくださるので、機会があれば無理のない範囲で頑張って欲しいです。
ニックさん: もし今後もリモート・インターンシップが提供されていても、できればテキサスに引っ越したほうがいいと思います。コロナ禍からの正常化が進むなか、対面式通訳の機会が増えると思われますし、現場を自分の目で見学することも非常に勉強になるので、対面式のインターンシップがおすすめです。
直美さん: ダイキンでの経験にとても満足しており、将来は喜んでダイキンに就職したいと思います。 現場で行われた学習体験の多くを逃したので、バーチャルではなく直接現地に行くことをお勧めします。

東京オリンピックの通訳現場から 2

今回は、日本語通訳チームのメンバー6人から寄せられたメッセージをご紹介します。

左上段から、エリカ・エグナー、ニコラス・コンチー、森千代、丹羽つくも、大社理恵、金千雪、小松原奈那子

★金 千雪(T専攻1年)

この夏、東京オリンピックのジュニア通訳を務めることができ、嬉しく思います。初めての逐次通訳の仕事で非常に不安でしたが、それ以上に多くのことを学べました。語彙力や知識を増やせたのはもちろんですが、一番大きな収穫は通訳者として「伝える」こととその責任を意識できたことだと思います。今までは動画を使って勉強してきたので、スピーカーが意思のある個体だという実感が薄かったのですが、色んな選手と監督の思いや覚悟、考えを現場で聞くことができ、それを伝える責任の重さと自分の未熟さを深く感じました。当たり前のことではありますが、初めて本当の意味でスピーカーの言葉を尊重できたと思います。また、応募を渋っていた時に背中を押してくれたり、シフトが少ない私に仕事を譲ってくれたり、自分の担当ではないスポーツでも練習に付き合ってくれたりと、素晴らしい仲間と先生に恵まれていることを改めて実感した1か月でした。

エリカ・エグナー(T専攻2019年卒)

東京オリンピックでジュニア通訳として働く機会を得たことを大変光栄に思っています。昔から大好きだったオリンピックへの愛情とMIISで身につけた技術をこの形で組み合わせられるとは、想像もしていませんでした。柔軟性も責任感も求められた今回のチャレンジを通して、ほとんど何も知らなかったスポーツのことをたくさん学び、長年尊敬してきた選手たちの言葉を世界に伝えることができました。ときには喜びで興奮した、ときには落ち込んだ監督や選手の言葉を適切に訳出する大きな責任を感じました。2年前にMIISを卒業してからほとんど通訳していない私は、緊張感を覚えることもありましたが、MIISの在校生・卒業生の応援と激励を受けて頑張ることができて、ありがたかったです。日本のスポーツの魅力を世界に伝えられる一生忘れられない素晴らしい体験でした。

小松原奈那子(TI専攻年)

今回、オリンピック記者会見の通訳をする機会を頂けてとてもいい経験になりました。私自身、翻訳通訳の経験がないまま大学院へ入学したため、練習ではない、授業でもない、しかもお金をいただいて披露する通訳というのはこのオリンピックの舞台が初めてでとても緊張しました。ですが、自分が練習してきたことを自信を持って思いっきり出せる場に立てた、一生に一度のような大イベントに携わる機会をいただけたこと、自分が幼い頃から見ていた選手・スポーツに対して通訳として関われた事実から緊張を余裕で上回るほど楽しかったです。また、今回のオリンピックはリモートでの通訳、しかも逐次通訳という初の試みで、私たちも会場側も手探りから始まり、お互いに連携して会見を成功へ導くという経験・プロセスはとても貴重なものだったと思います。普段からも運営側と連携を取ること、柔軟な対応が出来ることの重要性が深く身に染みました。この経験を通して自分にとって様々なものが見えてきたと思いますので、ここで感じたことを忘れずにしっかりと次へ繋げていきたいと思います。

ニコラス・コンチー(TI専攻1年)

今回リモート通訳としてオリンピックに参加できたことを本当に光栄に思っています。通訳を勉強し始めてから一年も経っていない未熟な私が、この歴史的な大会に通訳として参加して本当に大丈夫なのか不安もありましたが、それと同時に、通訳を必要とする記者会見参加者の皆さん、採用してくださった担当者の皆さん、そして通訳チームメンバーからの期待に応え、恩返しをしたい気持ちも強く感じていました。本番の環境で感じたやりがいと責任感は、今後の通訳キャリアにとって大きなモチベーションにつながると確信しています。監督や選手たちの言葉を借りれば、今回はチーム一丸で取り組み、最高の結果を残すことができたと思います。通訳チームの皆さん、本当にお疲れ様でした。3年後のパリ・オリンピックを目指して頑張りましょう!

大社理恵(CI専攻2021年卒)

今回はオリンピック史上初のリモート逐次通訳をするということで大変貴重かつ記憶に残る体験をすることができました。通訳者だけでなく、開催者側も、通訳ユーザー側も初めての試みということから通常のリモート通訳をするよりも会場にいる開催側のスタッフとの連携や不測の事態に備えての柔軟性と冷静な判断が必要となり、自身の通訳者としての質を試される良い経験になったと思います。監督や選手たちの試合の感想や想いを通訳することは普段通訳するビジネス会議とは異なり、とても新鮮で、刺激にもなりました。きまぐれから今回のオリンピックの通訳案件に応募しましたが、普通ならば聞くこと、見ることができない監督や選手の話やメディアとのやりとりを、聞くだけでなく通訳することができ本当に良かったです。

丹羽つくも(CI専攻1年)

ある会場にて、私たちリモート通訳は「天の声」と呼ばれていたそうです。実際の記者会見場にて、選手や監督のコメント、記者の方達の質問などを、リモート通訳の私たちがMicrosoft Teamsを介して逐次通訳をし、それが会場のスピーカーで流れることから、そのあだ名(異名?)が付きました。「天の声」。それは栄誉でもあり、責任でもありました。今まで全く手の届かない存在だった日本代表の監督や選手たちが私の声を聞いていると考えると、夢のようで、鳥肌が立ちました。その一方で、世界中の強豪チームと戦う人たちの言葉は全て重くて、同等の経験が全く無い素人の私にとって、彼らの発言の意味合いを汲み取って適切に訳出することは簡単ではありませんでした。また、通訳を必要とする記者の皆さんには私たちの訳出=スピーカーの言葉となるため、スピーカーの印象を天から操ることが出来るという重大な責任を感じました。日本中、世界中が注目する舞台で活躍するアスリートやコーチの言葉からインスピレーションを受け、他の通訳者や会場担当者の方々からも多くを学ぶことができ、大変貴重な機会だったことは言うまでもありません。

東京オリンピックの通訳現場から 1

皆様こんにちは。MIIS2013年卒(CI専攻)、現在は母校で日英通訳を教えている森千代と申します。今回は東京2020オリンピック競技大会で日本語通訳を担当させていただいた6人のチームメンバーと一緒に、私たちのオリンピック通訳体験談を備忘録、回想録のような形でお届したいと思います。多少長くなるかと思いますがお時間のある方はぜひ参考にしてみてください。

7月23日の開会式を待たずに20日から始まったオリンピック競技。8月6日までの17日間、私たち日本語通訳チームは野球(男子)、ソフトボール(女子)、サッカー(男女)、バスケットボール(男女)、ホッケー(男女)、ハンドボール(男女)の6つの競技に参加した日本代表チームの記者会見で、日英・英日逐次通訳を担当しました。

1)準備

まず準備ですが、各自の通訳シフトが決まった直後から約3週間、各競技のルールや選手について様々な動画素材を用いて、毎日2時間チームで逐次通訳の練習をしました。今回はオリンピック史上初めてMS Teamsで記者会見の会場とつなげて通訳をリモートで行うことになり、いつも本学の授業で使っているZoomとは勝手の違うプラットフォームに慣れるため、毎日の練習もTeamsを使って行いました。

資料としては、競技ごとのルールや団体名などを網羅したワードリスト、各競技に参加する各国の選手・監督・コーチの情報リスト、記者会見に参加する各国の主要メディアのリスト、7人の通訳全員のシフト時間や会場の詳細がわかるマスタースケジュール等を作成して、すべてGoogle Driveでリアルタイムで共有しました。

資料を万全に準備した初回の現場。Photo Credit: Nick Kontje

2)記者会見当日

私たちが担当した記者会見は、数回を除いて殆どが試合後記者会見だったため、質疑応答の内容を正確に訳出するには実際の試合を観る必要がありました。ところが競技によっては日本やアメリカの主要テレビ局で放映されていないものもあり、各自が担当するすべての競技をライブ中継で見ることができるようにチーム内で情報交換し、有料アカウントに申し込むなど複数の方法で競技を開始からすべてライブで観戦できるようにしました。試合が始まるとLINEを使って、どの国でどのチャンネルでライブ中継をしているか情報交換をしました。

試合中は各国代表チームで活躍した選手、試合経過や得点の方法、試合のハイライト場面などを手元で記録したり、各メディアが報道する試合速報や東京オリンピック公式ウェブサイトにリアルタイムでアップデートされる結果の詳細を読みながら、試合を追っていきます。経験を重ねるごとに、試合を観ていると記者会見ではおそらくこんなことが質問されるだろうとか、今日の記者会見に登場するのはこの選手だろうというような予測がつくようになりました。

試合終了15分前くらいには記者会見場にログインして、接続確認や音声チェックをします。その後、各会場のVMM (Venue Media Manager) と呼ばれる担当者にその日の記者会見に登場する代表チームの順番や選手・監督の名前、どの代表チームに対してどの言語通訳が必要になるかなどを確認します。その間も試合の最後の場面や最終結果を見逃さないように、手元の別デバイスで中継を見たり速報を読んだりしました。

試合終了後20分(それ以上のことも多々ありました)ほどで記者会見場に各国代表チームの選手や監督が到着し、記者会見が始まります。オリンピック記者会見の共通言語は基本英語ですが、メディアからの質問が代表チームの言語と異なる場合や、代表チームの回答が英語ではない場合には、チーム言語と英語との両方向をそれぞれの言語の通訳チームが逐次通訳しました。記者会見は短い場合で20分程度、長い場合は50分ほどだったと思います。

メディアからの質問が代表チームの言語と異なる場合や、代表チームの回答が記者会見の共通言語である英語ではない場合などには、リレー通訳をしました。記者会見は短い場合で20分程度、長い場合は50分ほどだったと思います。

通訳に慣れ資料が減った終盤の現場。Photo Credit: Nick Kontje

今回私にオリンピック通訳の依頼、そして通訳の数が足りないのでMIISの学生さんに声をかけてほしいという依頼が舞い込んだのは本番まであと6週間というタイミングでした。そこから急遽帰国を決め、帰国準備、PCR検査、帰国後2週間の自主隔離などバタバタしながらあっという間にオリンピック当日がやってきました。しかし、それよりも、今回のメンバーの中には日中フルタイムで社内通訳やインターンの仕事をし、その後にアメリカ時間の夜中や明け方に記者会見を担当するという、かなりのハードスケジュールをこなしたメンバーもいました。寝不足の続いた17日間だったと思います。本当にお疲れさまでした。

東京2020オリンピックはコロナ禍でのオリンピックということで、初めてリモート通訳を試みた、ある意味で歴史に残るオリンピックとなりました。コロナ禍という苦しい時間を世界中の人たちと共有し、一年間延期の後開催されたオリンピックだったこと、そして自分たちが通訳として各国代表チームの選手たちの声として世界へ向けてメッセージを伝えたことが相まって、かつて感じたことのないような深い感動を覚えた大会でした。選手や監督たちの通訳をしながら心が震え、涙が出そうになるのを必死に我慢しながら訳出したのは、私だけではないはずです。

このような貴重な大会に7人でチームワークを発揮することができたことは、素晴らしい夏の思い出になりました。また、毎日の練習や準備、そしてたくさんの記者会見の現場を通して、これからMIISの名を背負って立つプロ通訳を目指す学生さんたちの底力と可能性を垣間見ることができて、本当に頼もしく感じました。3年後のパリ2024オリンピックでまたチームを組むことができるように、これからも一緒に頑張っていきましょう!

次回は、日本語通訳チームのメンバー6人から寄せられたメッセージをご紹介します。

活躍するMIIS卒業生

今回は、MIIS卒業生が紹介されたブログや記事などをいくつかシェアします。

★まずは、今年度卒業したエリカ・エグナーさんについての記事です。エグナーさんはJETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme)を経て、MIISで翻訳通訳、ローカリゼーション管理を学ばれました。(リンク先記事は英語です。)

http://sites.miis.edu/…/wisconsin-tokyo-kumamoto-monterey-…/

★同じく、今回卒業されたチェルシー・イナバさんについての記事です。イナバさんも本学で翻訳通訳、ローカリゼーション管理を学ばれました。

★次は、2017年の卒業生、土居可弥さん(翻訳通訳専攻)のインタビューです!土居さんは現在、テスラ・ギガファクトリーのパナソニックで翻訳・通訳のお仕事をされています。

日本語版: http://jp.vo1ss.com/2019/05/19/kaya-doi/
English Ver.: http://en.vo1ss.com/2019/05/19/kaya-doi/

★そして、通訳翻訳ジャーナル』最新号にMIIS卒業生の森田系太郎さん(会議通訳専攻)と加藤智子さん(翻訳通訳専攻)のインタビュー記事が載りました。MIISでの留学生活についての対談です。ぜひご覧ください!

★5月の米大統領夫妻の来日で通訳を担当されたのは、MIIS卒業生のレフテリ・カファトさん(大統領通訳)とウッド佳世さん(メラニア夫人通訳)です。下記に朝日新聞デジタルのリンクを載せていますので、ご覧ください。素晴らしいご活躍ですね!

https://www.asahi.com/articles/ASM5S4H7TM5SUTIL01F.html

卒業生インタビュー【加藤智子さん】

今回は、2015年にMIISの翻訳通訳修士課程(MA in Translation and Interpretation)を卒業されたあと、アメリカでご活躍中の加藤智子さんにお話を伺いました。

―はじめに、MIISの修士課程で学ぼうと思ったきっかけを教えていただけますか。

もともと翻訳を志していて、イギリスで文芸翻訳の修士号を取得したあと7年間ほどフリーランスとして翻訳のお仕事をしていました。ただ、イギリスの大学院では理論が中心で具体的な翻訳の訓練はほぼ皆無だったこともあり、どこかでしっかりと翻訳のスキルをつけ直したいという思いがずっとありました。それに加えて、通訳者として活躍している友人の影響もあって、通訳にもずっと憧れのような気持ちを持っていました。

MIISで学ぶことを本気で考え始めたのは、実際に出願を決心する半年ほど前です。MIISについては方々で耳にしてずっと気になっていたのですが、とてもレベルが高く厳しいプログラムという評判だったので、自分にはとうてい無理だろうと最初からほぼ諦めていました。それが、たまたま帰省中に再会した高校時代の恩師と話していた時に、あくまで世間話としてMIISの話題を出したところ、先生に「なんだかすごくその学校に行きたそうに聞こえるけど」とあっさり言われてしまい、そのおかげで自分が自信はなくとも通訳・翻訳を本格的に学びたいと思っていることに気付くことができました。その後すぐ、実際にモントレーを訪れて逐次通訳の授業を見学させていただいて、とにかくここで2年間挑戦してみようと決心しました。

―卒業後は、主にどのようなお仕事をされていらっしゃいますか。

卒業後は、まず3ヶ月間、スイスのジュネーブにある世界知的財産機関(WIPO)で英日翻訳のフェローシップに参加しました。WIPOのフェローシップは通常、他言語から英語への特許翻訳が中心なのですが、私の卒業時はちょうど英日翻訳のプロジェクトが進行中で、運良く機会をつかむことができました。もう一つ運が良かったのは、MIISで一緒に学んだクラスメートが同じ時期に同じプロジェクトに配属されていたことです。信頼する仲間とアイディアを出し合いながら協力して翻訳に当たる喜びは、何物にも代えがたいものでした。日々の仕事の後は、これも同時期にフェローとしてWIPOに滞在していたMIISの後輩も一緒に、湖のほとりでピクニックをしたり、無料のコンサートを聴きに行ったりと、夏のジュネーブを満喫することができました。翻訳者としての経験という意味でも、友人たちとの思い出作りという意味でも、とても良い夏を過ごすことができたと思います。

現在は、シリコンバレーのGoogle本社で翻訳・ローカライゼーション関連のお仕事をしています。国際色豊かな環境で最先端の技術に関わることができ、とても刺激的な毎日です。

このように、今のところ翻訳が中心になっていますが、長期的には翻訳と通訳、両方のお仕事を良いバランスで続けていければ理想だと思っています。

―MIIS在学中、インターンシップなどはされましたか。どんな経験だったか教えてください。

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同時通訳の実習

1年目の夏休みに、日系製薬企業で通訳インターンシップを経験しました。とにかく社内通訳の皆さんの技術の高さに圧倒され、そのお仕事ぶりを見学させていただくだけでもとても有意義な体験でした。通訳インターンとして定例の電話会議での逐次通訳を担当したのですが、最初は専門用語や社内用語の羅列に戸惑うばかりだったのが、MIIS卒業生でもある先輩通訳者の方々をはじめ多くの方に助けていただいて、なんとか最後までやり通すことができました。プロジェクト全体の流れやチームの構成が見えてくるにつれて少しずつ自分の通訳が変わっていくことを実感して、社内通訳の醍醐味を垣間見ることができた気がします。担当の会議以外にも、治験に関する専門的な会議に入らせていただいたり、後半には日本本社から来られていた40人の営業チームの皆さんを前にプレゼンを通訳する機会もいただいて、本番前の緊張や不安に始まり、通訳中の集中した状態の気持ちのよさ、やり終えた後に「ありがとう」と声をかけていただく嬉しさまで、現場でしか体験できない貴重な体験をさせていただくことができました。

―MIIS で学んだことが、いまお仕事にどう活かされているか、お聞かせください。

MIISに来る以前と比べて、仕事に向かう意識が根本的に変わったと感じます。MIISに来る前までは、どこかで翻訳という作業に対して甘さがあったと思います。それが、MIISの先生方の翻訳通訳に対する徹底した客観的な厳しさやプロ意識、そして情熱を目の当たりにして、自分もまだまだ経験が浅いとはいえ翻訳者、通訳者としてお仕事をする以上は同じような覚悟を持って仕事に当たらなくてはと自然に感じるようになりました。これは、現役かつトップクラスの翻訳者、通訳者の方々を教授陣に揃えるMIISだからこそ得られたものであり、一生の宝となる経験だったと思います。

Googleでのお仕事では、特にIT翻訳の授業で学んだことが具体的にたいへん役に立っています。訳出の正確さや読みやすさ、わかりやすさを追求することはもちろん、例えば指定されたスタイルガイドに沿って翻訳するような場合に、細かいところまで限りなく100%に近づけられるように最大限の注意を払う、という基本的な姿勢を、日々の授業や課題を通してしっかりと身につけることができたと感じます。

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プラクティカムの教授やクラスメートと

―MIIS の学生生活のなかで、一番思い出に残っていることは何ですか。

なんといっても、クラスメートや仲間と過ごした時間です。通訳の授業の準備で毎日カフェテリアで練習したり、つらい時は励ましあったりして、とてもリアルで密な人間関係を築くことができました。入学前のイメージでは、一人孤独に図書館にこもるような勉強を想像していたので、こうして思いがけず大切な財産を得ることができたことをなにより嬉しく思っています。それから、通訳のプラクティカム (実習授業) で、各言語の通訳志望の仲間たちと一緒に練習会を企画したり、時にはリレー通訳という形で一緒に通訳にあたったりしたのも、とてもいい思い出です。いつかまたあの時のみんなで、ブースを超えて一緒に通訳ができたらいいな、と思っています。

―入学希望者の方たちに、特にアドバイスがあればお願いします。

私のように、興味はあるけど自信がなくて出願を迷っている、という方がもしいたら、私を含めた卒業生に連絡を取って話を聞くなり、可能であれば実際に授業を見学するなりしてとにかく行動を起こしてみることをお勧めします。自分に合う世界であれば、必ずピンとくると思います。

MIISでは、技能や知識という意味で多くを学べることはもちろんですが、何より先生方や仲間達など、同じことに情熱を持つ多くの人に出会うことができますし、そのような出会いが不安を乗り越える大きな助けになってくれると思います。まったく自信のなかった私も、いろいろな人との出会いのおかげで、今になって振り返えれば「楽しかった!」という言葉しか出てこないぐらい、最高の2年間を過ごすことができました。前向きな興味を持って足を踏み入れるのであれば、MIISでの時間は必ずや有意義なものになると思います。

 

卒業生インタビュー【ジョナサン・マイケルズさん】

今回は、2010年の卒業生ジョナサン・マイケルズさんにお話を聞きました。ジョナサンさんは、MIISの翻訳通訳修士課程(MA in Translation and Interpretation)を卒業され、現在は日本でフリーランス翻訳者として活躍されています。

―MIISに入学する学生は文系の人が多いのですが、マイケルズさんは大学で日本語だけでなく、電子工学・コンピュータ科学を専攻されたと伺っています。大学卒業後、理系の道に進むかわりに、MIISの修士課程で日本語の通訳翻訳を勉強しようと思ったきっかけを教えていただけますか。

一つ目のきっかけは大学3年と4年の間の夏のことでした。コンピューター・アニメーション制作会社のピクサーでインターンシップをしていたのですが、ある日、同期のインターンに、暇な時間の過ごし方について聞かれました。うちに帰っても週末でもピクサーでの仕事と同じようにCGモデル作りなどに励んでいた彼とは対照的に、僕は暇の大部分を日本語の勉強に充てていると答えたのですが、そのときから悩み始めました。趣味をキャリアにしようとしていた彼にとって、コンピューター・アニメーションは明らかに天職でしたけれど、自分はどうなのかなと。その何気ない世間話的な質問がきっかけとなって、高校で勉強を始めたときからすごく楽しいと思ってやがては最大の趣味となっていた日本語を仕事にできたらいいなと思うようになりました。

「一つ目のきっかけ」と書いたのは、そのときはまだどういう形態で日本語を仕事にできるか見当もつかなかったからです。「翻訳」について考えたことはほとんどなくて、あったとしても僕よりクリエイティブな人じゃないとできなさそうな文学翻訳だけであって、それ以外の翻訳は職業として存在することさえ知らなかったと言ってもいいぐらい視野になかったのです。そこでとりあえず、日本の文科・外務・総務各省が運営している、いわゆるALT(「外国語指導助手」)やCIRと呼ばれる国際交流員を自治体などに斡旋するJETプログラム(「外国語青年招致事業」)に応募してみました。同プログラムへの参加は最高5年までとなっていて、キャリアではなく別の何かへの踏み台にしかなれないのですが、受かったところで終わった後どうするか分からないまま応募したわけです。

幸い、茨城県庁にてCIRとしての配置が決まったときとそこへの出発との間に、去年のご退職まで長い間MIISの進路相談室の中心的存在となっていたジェフ・ウッドさんによる、「International Careers」というような題名の説明会が僕の大学のキャンパスで開かれました。本当にたまたま、用事と用事の間に1、2時間つぶす必要があったときにその説明会を宣伝する張り紙が目に入って、軽い気持ちで行ってみたのですが、終わった頃にはもう将来の形が見えていました。説明会の題目はある程度名目だけで、実質的にはMIISそのものについての説明会でした。職業としての翻訳やMIISの就職サポートについての説明もあって、どう始めたらいいか分からない人が翻訳の道に進むにはMIISが最適だということがよく分かりました。つまり二つ目のきっかけも、その説明会に参加してみたという、最初は何気なかったことでした。

―卒業後は、主にどのようなお仕事をされていらっしゃいますか。大学で理系を専攻したことが、どのように役立っていますか。

在宅で翻訳をやっています。形式上はフリーランスですが、今は仕事の9割以上が、特許などを扱う国連の機関であるWIPO(World Intellectual Property Organization=世界知的所有権機関)からの翻訳なので、ほとんど専属のようなものです。具体的には、今は主に「特許性に関する報告書」という、日本の特許庁にいる特許審査官が特許の出願書を見て特許になれそうかどうかの見解を書いた文書を、日本語から英語に訳しています。

その文書の内容はみんな技術的なものですが、その技術分野は、例えば自動車用の無段変速機から、線維筋痛の治療薬や紙おむつに至るまで、本当に様々です。なので大学で勉強したコンピュータ科学を直接活かせるときもありますが、そうじゃないときのほうが多いです。でも学校で勉強していない技術分野のときでも、大学で育った(というよりもともとあったから一旦その道に進んだ?)理系の頭が役立っているような気もします。

―MIIS在学中、インターンシップなどはされましたか。どんな経験だったか教えてください。

1年目と2年目の間の夏に、上述のWIPOの拠点であるジュネーブに行って、同機関で約3ヶ月間のインターンシップをやらせていただきました。ジュネーブの公用語であるフランス語がほとんど分からなくて生活面での苦労は少しありましたが、職場では、翻訳に対する熱意を共有してくれて、そして温かく接してくれる同僚・上司や、(同じくMIISからの)仲の良い同期に囲まれて、毎日が楽しかったです。

風船

誕生日の上司のオフィスを風船で埋め尽くそうと風船を膨らませているインターンたち

今やっているのとほとんど同じ仕事をやっていましたが、インターンシップでは毎日のように細かい指導をいただいて、非常に勉強になりました。直される点が週ごとに減って、特許系の翻訳に慣れてくるのを本当に実感できました。

―MIIS で学んだことが、いまお仕事にどう活かされているか、お聞かせください。

授業中やクラスメートとの勉強会で、練習に練習を重ねたり、望まれる翻訳とは何かを議論したり、具体的な用語や構文への対処法を話し合ったりすることで育んだ翻訳脳が今役に立っているのはもちろんのこと、僕の場合はもっと直接的な意味でMIISに行かなかったら今の仕事に就くことができませんでした。というのは、現状では翻訳会社を介せずに直接WIPOから翻訳仕事を受けられるのは翻訳の修士課程を修了している人だけだと聞いたと思いますし、MIISの卒業生がそうしている人の結構大きな割合を占めている気がします。

また、翻訳そのもの以外にも、お得意先とのやり取りでの留意点や、見積書や請求書の作成の仕方など、翻訳のビジネスを運営する上で必要になる諸々の付随業務についても学んで練習したおかげで、より自信を持って卒業直後にフリーランスに踏み切ることができました。

―MIIS の学生生活のなかで、一番思い出に残っていることは何ですか。

これは難しいなー。やっぱり濃い2年間だったので、思い出はいっぱいあります。お好み焼きパーティーや天ぷらアイスパーティーなど、クラスメートのアパートでの数々のパーティーや、追い出しコンパでジャスミン役になってアラジン役の女性のクラスメートと一緒に『ホール・ニュー・ワールド』を披露したとき、数人でATA(American Translators Association=米国翻訳者協会)の年次会議に出席するためニューヨークに行ったとき、ブースメートの都合が急に悪くなった先生から大きな会議での通訳の補欠を頼まれて、緊張のあまり、代わりが見つかったからいいという旨の電話が来るまでの半日間食べ物を一切口にできなかったとき、ドイツ語プログラムの学生との合同通訳練習など……

お好み焼き

T&IJ ’10のクラスメートと

でも敢えて一番思い出に残っているエピソードを選ぶとしたら、ちょいダメな学生みたいに聞こえるかもしれませんが、日本語プログラムの学生だけじゃなくて翻訳通訳の学生全員(かな?)で受講する講義があって、ある日のその講義の直前にクラスメートの一人が少し体調を崩して休むことにしたから、全員一致で一緒に休むことにして、1時間だけ多忙のなかのゆったりとした時間を一緒に過ごしたときです。もちろんサボりはいけない、とここで書いておきますが、今も健在な、クラスメート同士の絆の強さを実感できたひとときでした。

―入学希望者の方たちに、特にアドバイスがあればお願いします。

入学までの道のりは人それぞれ過ぎて広く当てはまるアドバイスができる自信がないので、もう入学した前提でのアドバイスです。

翻訳はある程度一人で集中してやる必要があるかもしれませんが、お互いの草稿の校正や改善提案ができますし、何よりも通訳やサイトラ(サイト・トランスレーション=紙や画面上の文章を読んで口頭で訳すこと)は、2年間の間なるべく沢山クラスメートと一緒に練習したほうがいいです。お互いから学べることがたくさんあるはずですし、そして一生の友達になるかもしれません。

以上です!ここまで読んでくださって、お疲れ様でした!そしてありがとうございました。

新学期に向けて

冬休みが終わり、来週から春学期が始まります。今日は1年生の土居可弥 さんに、秋学期を振り返った感想を書いていただきました。

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皆さま、こんにちは。 もうすぐ春学期が始まろうとしていますが、1年生の秋学期について振り返りたいと思います。

まずは勉強面です。MIISに来る前、授業は職業訓練をイメージしていましたが、実際に1学期終えてみると、通訳と翻訳を通して教養をつけるアカデミックな部分も大きかったように感じています。それぞれのクラスであらゆるトピックが出てくるので、そのためにリサーチをし、クラスメイトとも話し合う中で、そのトピックに対して共感が強まる瞬間がありました。特に、秋学期は安全保障問題や沖縄の基地問題も大きく取り上げられていた時期です。このようなニュースについて話し合えるのは海外にいながら、日本とのつながりを感じる時間でもあり、遠く離れている分、それだけ強く感じたものがありました。通訳・翻訳を軸に、今まで知らなかったことをより身近に感じ、学べることは大きな気づきでした。

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キャンパス近くのカフェ

またクラスメイトとはもちろん、学年や学部を超えた交流があることにも感謝しています。MIISはプロフェッショナルなイメージが強かったので、職務経験が浅い私が、上手く馴染めるか不安でした。MIISに来てみると、自分のような人もいれば、様々なところでボランティアや職務経験を積んできた人が多く、どの人も気さくにいろんなお話を聞かせてくれます。特にクラスメイトは、モントレーにいる家族のような存在です。たいてい、授業で通訳の実技をする時には、誰かが「頑張って!」と声をかけてくれて、そのおかげで緊張がほぐれます。2年生の先輩も、私たち以上に忙しいのにもかかわらず、授業外で練習を一緒にしてくださったり、ブランチやホームパーティに呼んでくださったりします。一人一人のMIISに来るまでの道のりや思いを聞くと、自然と自分が一緒にこのタイミングで入学できたことをありがたく思えます。

このような恵まれた環境にいながらも、やはり新しいライフスタイルに慣れる上でのストレスもたくさんありました。身体と心の健康管理をするための息抜き探しも秋学期の大きなテーマでした。そのような中、今学期初挑戦したヨガとメディテーションは大きな支えになりました。

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海辺のアザラシ

例えば、“Mindfulness for Interpreters”というクラスで、メディテーションを実践しながら、通訳者のメンタル・ケアについて理解を深めていきました。もともと通訳と感情移入について興味があった私にとって、このクラスはぴったりでした。メディテーションはとても落ち着き、また他の言語の通訳の学生と日々のストレスについて一緒に振り返り、クラスや生活での気づきについて率直に話し合えたのは大きな励みになりました。

また、ヨガの免許を持つMIISの学生が週2回教えているヨガのクラスもリラックスできるひとときになりました。身体が温かくなり、気分が落ち着き、再び頑張る意欲も出てきました。特にメディテーションでもヨガでも「呼吸」を意識するきっかけになり、リラックスしたい時はもちろん、通訳をする前に集中したい時にも重要なのが肌身でわかりました。ヨガ、メディテーション、また他にMIISで開講されているズンバ・レッスンなど、私のような初心者でも大歓迎なので、ぜひMIISにいる間にとることをおすすめします!

あっという間に、新学期がもうじき始まります。MIISに入学してからはもちろん、入学するまで様々な面で支えてくださり、背中を押してくださった皆様に心より感謝しています。その感謝を忘れずに、今後も精一杯努力しながら、学生生活を充実させていきたいと思います。

 

 

 

 

卒業生インタビュー【森田系太郎さん】

今回は、2012年に会議通訳修士課程を卒業された、森田系太郎さんにお話を伺いました。

―森田さんはアドバンスエントリー制度を利用してMIISに2年目から入学されましたが、まず、MIISに留学しようと思ったきっかけを教えていただけますか。

MIISには2011年の8月に入学しました。遡ること同年3月、立教大学で博士論文を提出し、9月に博士号取得予定でした。卒業後にそのまま環境社会学者としてアカデミアに残るべきか、それとも新たなキャリアとして関心を抱いていた通訳者になるべきか、岐路に立たされました。“To be or not to be an interpreter”ですね。そして、結局、後者を選択しました。

理由は2つ。1つ目は、もちろん、プロの通訳者になるための訓練を受けたかったことがあります。立教大学には修士・博士課程を通じて6年半在籍しましたが、ともに社会人向けコースで授業が夜間に開講されていたため、昼間はフリーランス翻訳者として働いていました。その際、短期間ですが通訳学校に通っていたこともあり、たまに通訳のご依頼もいただいていました。しかし、付け焼刃では太刀打ちできず。いつか、十分な時間を確保して体系的に通訳訓練を受けてみたいと思っていました。

2つ目は、博士論文を提出した2011年3月に生じた東日本大震災です。当時、私の故郷である仙台に母親が1人で住んでおり、水道・電気・ガス・食糧供給がストップするなかで、母を故郷の鳥取に避難させなければならない状態になりました。このような経験のなかで、「人生一度きり、だから常にやり残したことはないようにすべきだ」「アカデミアはとりあえず経験したから次は通訳を勉強してみたい」という思いが芽生えてきたのです。

「MIIS時代にブースで同時通訳を練習中の筆者」

MIIS時代。ブースで同時通訳を練習中

思い立ったら吉日。早速、通っていた通訳学校「土曜学校」の校長で、元MIIS教員でもある中山貴子先生に相談したところ、MIISを勧められ、すぐに願書を提出。その際にアドバンスエントリー制度という2年次に編入できる制度があることを知り、受験することにしました。受験に当たってはTIコース(Translation & Interpretation[翻訳通訳]コース:逐次通訳と翻訳がコア科目。同時通訳も履修可能)を考えていましたが、当時、日本語学科主任でいらっしゃった武田珂代子先生(現・立教大学教授)にCIコース(Conference Interpreting[会議通訳]コース:同時通訳と逐次通訳がコア科目。翻訳も履修可能)を勧められ、後者で受験することに。予期せぬ航路変更でしたが、結果として合格に至りました。武田先生に勧められて偶然、CIコースに進んだわけですが、そこで同時通訳のスキルを学べたことは現在の職場でとても役立っているので、その偶然は必然だったのかも知れません。ということで、中山先生、武田先生には今でも足を向けて寝ることはできません(!)。

なお、アドバンスエントリー制度については、1年で修了できるため、時間・資金面でメリットがあります。ですが、アメリカ生活に慣れながら、通訳と翻訳を基礎からじっくりと学べる、という点では、2年間かけて修了することにもメリットがあると考えています。

―現在は、どのようなお仕事をされていらっしゃいますか。

アメリカ東海岸の製薬企業で通訳・翻訳の仕事に携わっています。通訳が業務の95%以上を占めており、同時通訳・逐次通訳の両方のスキルが必要とされます。職場では、医薬品開発のための臨床試験に関するトピックのみならず、その前の段階で行われる基礎研究や非臨床試験に関する会議を担当することもあります。また、臨床試験が終了し、当局から承認されるとその製品は市場に出る(「上市」)わけですが、上市後に行われる試験に係る会議や、セールス・マーケティングの会議もあります。他には、薬事や製薬系IT、ファーマコビジランス(PV)、医療機器、人事、法務関連の会議の通訳を担当することもあります。

担当する会議のトピックが多岐にわたるので、とても刺激的な毎日を過ごしています。逆に言えば、日々勉強の毎日です。MIISを卒業したから勉強はオシマイ、という訳ではなかったですね、残念ながら(笑)。半年ほど前、MIIS・1年生の日英通訳の実践練習をお手伝いする目的で、「Becoming the Interpreter」という発表をさせていただきましたが、発表の主旨は「理想の通訳者になるためには、MIISで身に付けたことを土台とし、卒業後も、現場を踏みつつ、努力し学び続ける必要がある」というものでした。

―MIIS で学んだことが、いまお仕事にどう活かされているか、お聞かせください。

逐次通訳については、ノートの取り方を学べたことは大きかったですね。また「ノート取り」と「聞き取り」とのバランス、訳出時のデリバリー(「えー」「あー」といった耳障りなfiller語を減らすなど、クライアントに聞きやすく訳出する等)についても、授業のなかで厳しく指導されました。こういったことは、今の仕事でとても生かされていると感じています。

同時通訳については、ご存知のとおり「聞きながら話す」というアクロバティックな(!)行為ですが、そのスキルを実践的に学ぶことができました。また、文を短く切って訳出する先入れ先出し法(First In First Out;FIFO)法――過剰な使用は聞きづらい――の適切な使用法や、話すスピードが速い話者を攻略する術も教わりました。

上記に加え、ノン・ネイティヴ・スピーカーの「訛り」対策や、授業にゲストを呼んでの実戦形式での練習、また1、2年生合同でのデポ(デポジション;証言録取)通訳の模擬演習なども、総合的には今の仕事に役立っていると思います。加えて、通訳者としての倫理、マナーを学ぶ授業もありましたが、そのなかで「プロの通訳者とは何者か」「プロの通訳者としてどう振舞うべきか」を現場に出る前に考える機会があったのも有難かったですね。

またMIISの2年次では、CIとTIの学生が参加資格を有する「プラクティカム」と呼ばれる通訳演習の授業があり、そこでは他言語学科(中国語・ロシア語・ドイツ語・フランス語・韓国語・スペイン語)の学生と共同で、リレー通訳(例:中国語→英語→日本語)などを経験することができました。ちなみに、プラクティカムを通じて、日本語学科以外の友人ができたことは、一生の財産となっています。今の仕事では出張で国内外に出掛けることも多いのですが、出張先にMIISの友人がいる場合は必ずコンタクトを取り、旧交を温めるようにしているんですよ。

―MIIS の学生生活のなかで、一番思い出に残っていることを教えてください。

このインタビューに登場する皆さんが口を揃えておっしゃるように、やはりクラスメートとの練習でしょうか。授BeachHSR業の時間は限られていますので、やはり学生時代に力を伸ばすためには授業外でのクラスメートとの練習が上達の鍵となります。「サムソン」と呼ばれる食堂は学生の溜まり場にもなっており、どの学科の学生も集まって勉強しているのですが、やはり一番遅くまで残っているのは通翻訳を勉強している学生ではないでしょうか。多分に漏れず、私も夜遅くまでサムソンに残ってクラスメートと練習していました。ちなみに、学期中は授業と練習に追われ、観光地として有名なモントレーを観光する時間はほぼゼロでした。卒業試験が終わったあと、ようやく観光を始めたくらいでした(笑)。

―入学希望者の方たちに、特にアドバイスがあればお願いします。

通翻訳者になりたいと真剣に望まれているのであれば、ぜひMIISの門を叩いてみてください。業界でもMIIS卒業生の評判は非常に高いものですし、MIISを通じてクラスメートのみならず、他言語学科の学生、先輩・後輩たちとのネットワークを築くことができます。また2020年には東京オリンピックが開催されます。それによって通翻訳の需要が高まると考えられているので、今後の成長産業、ということで、キャリア面でもメリットがあると思います。

冒頭でも述べましたが、人生一度きり。“To be or not to be an interpreter/translator”――ハムレット並みに迷っていらっしゃるのであれば、思い切ってMIISでチャレンジしてみませんか?

ATA(米国翻訳者協会) 年次会議について

今回は、現在MIISで翻訳を専攻している2年生のワインストック美智代さんにATA(米国翻訳者協会)の年次会議に出席した感想を書いていただきました。

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unnamed今回は初回の参加ということで、名札に「First Time Attendee 」とシールが貼られていたので、長年会員をされているメンバーの方々から、レセプション、セッション、その他のイベントで声をかけていただきました。今はベテランの方々も、かつては未経験の翻訳者や通訳者の卵だった時代を経験しています。そこからいかにして仕事を得て、クライアントを増やし、経験を積んでいったか、一人ひとりそれぞれのストーリーがあり、皆さん喜んで気さくに教えてくださいました。こういったお話が非常におもしろくてためになり、これだけでも会議に来た甲斐があったと思いました。また翻訳エージェンシーの方も何社かいらしていて、名刺交換させていただきました。私は2月に地元モントレーであったMIIS主催のキャリアフェアのために学校のロゴ入りの名刺をたくさん作っておいたので、それがとても役に立ちました。また、MIISの先輩方にもお会いする機会があり、親睦を深めることができました。michiyo3

ATA認定試験対策のワークショップも非常に役に立ちました。採点基準に関して詳しく説明していただいた上で、実際に私が翻訳してみたサンプル問題の訳出に具体的なアドバイスをしていただきました。どうすればもっと良い訳になる、といった内容ではなく、減点になり得る箇所について、なぜ減点になったか、減点されるとすれば何点くらいマイナスになるか、といったことをアドバイスしてくださいました。

MIISの授業で鍛えられていて本当に良かったと思うのは、授業の課題や宿題でも、同じような減点方法でフィードバックをいただることです。まるで毎週認定試験の模擬試験を受けているようなもので、真剣に翻訳に取り組み、フィードバックを素直に受け止めて、自分の翻訳の癖やよくある間違いを軌道修正していくことにより、知らず知らずのうちにスキルが上がっていると確信しています。ATAの評点者の方もおっしゃっていましたが、訳出が一見きれいな日本語でも、原文と意味がずれていたり、過不足や、余計なニュアンスが入っmichiyo4ていると、翻訳としては優れたものではありません。アウトプットに悦に入り原文のメッセージから離れてはいけないのです。忠実で正確でありながら、直訳調にならず自然で読みやすい翻訳をする、非常に重要なことですが、このバランスを会得するのはたやすいことではありません。プロになったとき、翻訳の質が良くなければ仕事がこなくなるだけで、フィードバックをいただける機会もほとんどないと聞きます。批評をいただけるのはとてもありがたいことなのだ、それがATAを通してMIISでの学習について改めて思いを巡らせた感想です。

 

 

 

 

 

 

卒業生インタビュー【トーマス・ホワンさん】

今回は、2010年の卒業生トーマス・ホワンさんにお話を聞きました。トーマスさんは、MIISで翻訳・ローカリゼーション管理(MA in Translation and Localization Management)を専攻され、現在は翻訳会社のプロジェクト・マネージャーとして活躍されています。

―まず、MIISの修士課程で翻訳・ローカリゼーション管理を勉強しようと思ったきっかけを教えていただけますか。

cropped-Monterey-Harbor.jpg私は高校のときに日本語の勉強を始め、大学では日本語を専攻しました。大学卒業後は専攻をぜひ活かしたいと誰でも考えると思いますが、私もまず翻訳関連の仕事を探しました。専攻といちばん直結した仕事は翻訳だと思ったからです。いろいろ調べている途中で、大学で開催されたキャリアフェアにMIISから代表が来ていたので、話を聞いてみました。さらにMIISについて資料を集め、MIISキャンパスを実際に見学したあと、家族やキャリアアドバイザーの勧めもあり、入学を申し込みました。MIISで勉強することが、将来キャリア探しに役立つはずだと考えたからです。

―ご卒業後は、翻訳・ローカリゼーションの会社でプロジェクト・マネージャーをされていると伺いました。どのようなお仕事か、教えていただけますか。

簡単にいえば、クライアントから来たファイルを受け取り、そのファイルの翻訳を責任を持って完成させてクライアントに納品する担当者、ということでしょうか。

IT時代のいま、エンドユーザーは迅速で簡単に情報を得ることを求めています。このためローカリゼーションでは、翻訳者やエディターはただワードファイルで作業するだけではすまなくなってきました。ほとんどの場合、ウェブサイトのアップデートの繰り返しや、モバイル用のアプリについても対応しなければいけません。それから、Flashバナーや動画など、マルチメディアコンテンツも激増しています。たった2分の字幕つき動画に対して、5~6人以上が関わることもあります。 翻訳対象の言語が増えれば、人数はさらに増えます。

そういったなかでプロジェクト・マネージャーは、プロジェクトで何がカバーされるか、何が期待されるかを、関係者全員に確実に理解させなければいけません。そして、クライアントとベンダーとコミュニケーションを取り、翻訳関連の問題を解決し、担当プロジェクトが必ず納期通りに完了するように、プロジェクトの各ステップの進行状況を常に管理することが必要です。

それからプロジェクト・マネージャーは、コミュニケーションをはかり、プロジェクトの進行を管理するだけでなく、何が最適な手順なのかいつも考えながら、プロセスの改善につとめなければなりません。品質を犠牲にしないでコストを削減することはできるか。要求条件がいくつか課せられているなかで、コストパフォーマンスが最適なアプローチは何か。どんな問題が起こりうるか、それを防ぐためには何をすればいいか。新規クライアントとのキックオフ・ミーティングや、既存のクライアントとの現行プロジェクトなどで、プロジェクト・マネージャーは、こういった問いに対応しなければなりません。この仕事の楽しさは、こういった新しい課題が毎日待ち受けていることですね。

―在学中はインターンシップなどはされましたか。どんな経験だったか教えてください。

MIISの1年目が終わった夏休み、東京の翻訳会社でインターンとしてつとめました。翻訳ツールmiis_campus_securityを使った作業やQA(品質管理)、プロジェクト管理などに、このときはじめて関わりました。プロジェクト・マネージャーのQA作業を手伝ったり、翻訳メモリの整理をしたり、依頼メールの送信・受信を管理したりといった業務が大半でした。

2年目は、教授から紹介されたインターンシップの仕事をさせていただきました(MIISの教授はすべて現役のプロフェッショナルです)。翻訳エージェンシーの仕事で、翻訳管理システムやプロジェクト管理について、さらに経験を積むことができました。QA や翻訳メモリのアップデートを手伝ったほか、プロジェクトの管理を最初から最後まで任されました。おかげで、学校で習ったことを活かすと同時に、実際の現場でどのようにローカリゼーションが進行するのか、学ぶことができたと思っています。

―MIIS で学んだことが、いまお仕事にどう活かされているか、お聞かせください。

ほかのTLM(翻訳・ローカリゼーション管理)専攻の仲間と、実際のクライアント案件や翻訳プロジェクトの管理作業をする機会に恵まれました。翻訳者を探し、翻訳料金を交渉する。予算のバランスを取りながら、プロジェクトがスムーズに進むよう、関係者全員とコミュニケーションを取る。どれも私にとってははじめての経験でした。新人ならではの失敗もたくさんしましたが、TLM専攻の学生としてもっとも成長した時期は、このプロジェクトを担当していたときだったという思いが強いです。このときに学んだことで、いまの仕事でも活かせていることはたくさんあります。

MIISで翻訳を学んだことも、いまの仕事に大きく役立っています。最適な国際化とは何か、クライアントに説明するときに、言語面からプロジェクトを見ることができるからです。翻訳者の立場に立たなければ、翻訳関連の問題を説明したり、予測したりすることは難しいでしょう。

―MIIS の学生生活で、いちばん思い出に残っていることは何ですか。

Samson Centerいちばん印象に残っている大切な思い出は、友だちのことです。1年目はTI(翻訳・通訳)専攻だったのですが、日本語プログラムは10人ぐらいでした。みんな、とにかくいつでも一緒にいましたね。サムソンセンター(カフェテリア)に入ると、通訳などを練習していたり、翻訳の宿題のピアフィードバックをしているクラスメートに必ず会いました。こういった時間がいちばん楽しかったですね。2年目からTLM専攻に変えたあとは、あまり会えなくなってしまったので寂しかったです。

―入学希望者の方たちに、特にアドバイスがあればお願いします。

まず、いろいろな意見を受け入れられる柔軟な心を持つことです。MIISでは、自分の翻訳や通訳などに対して、先生や仲間からたくさん批評を受けることになります。こわいな、と思うかもしれませんが、そういった率直なフィードバックをもらわなければ、あれほど多くを学ぶことはできなかったと私自身は痛感しています。クラスメートはそれぞれの得意分野に基づいたフィードバックをしてくれます。それをしっかりと受け止めることが、ずっとあとになっても活かせるような、非常に貴重な財産になると思います。

それから、ときどきはゆっくり休むことです。何時間もかけて課題をやったり、試験勉強をしたりして、ストレスを抱えることも多いでしょう。だからこそ、大事なときに実力が発揮できるよう、心も体も必ずゆっくり休憩させることが大切ですね。