モルダウ捜査官とヨロヨロハイヒール

Filed under: T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chiyo Benjamin at 6:28 pm on Saturday, March 3, 2012

会場の片隅で薄汚い灰色のパンプスからシャープな黒のハイヒールに履き替えていざ出陣。目はFBIブースに釘付け、しかし果たして転ばずにあそこまで行けるだろうか、、。

 

モントレー大学院では毎年春に就職フェアが開催されます。このフェアでは、キャンパスからほど近いホテルのイベントホールを借り切って、MIISの学生専用の就職活動の場が提供されます。これはもちろん5月に卒業を控えた二年生の就活の場になるだけでなく、私たち一年生にとっても夏のインターンシップを探したり、フリーランスの仕事のきっかけ作りや登録をしたり、就職先の目安をつけたりと、とても意義深いイベントです。

2月24日に行われた今年のフェアの参加企業は翻訳・通訳・ローカライゼーション関係だけでも47団体、そのうち日本語関連の仕事のオファーがある団体が30以上。主な参加企業は、ホンダ、スタンフォード大学病院、国連の知的財産管理団体であるWIPO (World Intellectual Property Organization) の他、Apple、Facebook、FBI、CIA、楽天、そして多数の翻訳・通訳のエージェントが来ていました。朝9時の開会から参加企業の代表の方たちに履歴書を渡したり、仕事の内容を詳しく聞いたりしているうちに、あっという間に閉会の時間になってしまいました。

その後カリフォルニア州裁判所の法廷通訳試験の説明会、授業二つ、プレゼン発表、授業の後更にインターンシップ説明会に参加、翌朝提出期限の課題を終わらせ、帰宅した時には着替える気力もないくらい疲労困憊。来年のフェアの日は、授業を振り替えていただけるように先生方にお願いしてみよう、などと考えつつベッドまでよたよたと這って行き、力尽きました。

 

就職フェアに向けた準備として私がしたことは、まず過去にインターンをしたことのある先輩や先生方に体験談を伺いました。学校の勉強が一段落した冬休み中に自分の履歴書とカバーレターを練り直し、それらを経験豊富なアドバイザーに添削してもらいながら更に内容に磨きをかけました。1月は冬休みでモントレーに残っている学生がほとんどいないので、普段は多忙なアドバイザーにゆっくり会ってアドバイスをいただくチャンスでした。フェアの開催日の前にインターンシップの募集を締切る団体もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

またフェアに臨むにあたり、学校主催で数週間前から複数のワークショップが用意され、面接の練習や、心構え、服装、持ち物まで、かなり詳細なアドバイスをもらえるので、授業スケジュールが許す限り参加しておくといいと思います。また、参加企業の中でも特に興味のある団体については下調べをきちんとしておけば、担当者に的確な質問をして第一印象アップ!その上、当日会場での短い時間を有効に使うことができます。

フェア前日に心優しいクラスメートにスーツ、シャツ、ハイヒールなど何から何まで貸してもらい、当日は早く起きて、シャワーを浴び、朝食をとり、すっかり忘れていた課題二つを締め切り時間ギリギリで提出し(良い子の皆さんはなるべく前の日までに終わらせましょう!)、大急ぎで着替えをすませて会場へ。

実はこの日一番のワクワクと言えば、生でFBI、CIA、Department of State(米国務省)のスタッフを見たこと!日本人むけの募集はしていなかったものの、「今ここでテロが起きてもいざとなったらきっとこの地味なおじさんたちがトミー・リー・ジョーンズばりのかっこよさで救ってくれるに違いない」という確信をもって心ゆくまでフェアを回ることができました。皆さん「モルダウ捜査官あれから10年後」くらいの渋い年齢層の方で素敵でした。あぁ麗しのFBI捜査官様。ずっと昔福島県の小さな八百屋さんで小さな日本人のおばあさんの変装をしていたけど、うっかり背中に大きくFBIとかいてあるジャケットを着てしまっていたあなたを見かけた日以来の再会でしたね。

 

何はともあれ、今回の就職フェアは私にとってとても有意義であり、翻訳・通訳がうまくなりたい、という気持ちがますます強くなりました。プロとして仕事をするのは遥かな夢ではなく、がんばれば近い将来実現するかもしれない、とも感じた一日でした。普段履かないハイヒールと普段着ないスーツでヨロヨロと歩き回ったこの日の成果やいかに。その結末はまたいつか。

 



No Comments »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. TrackBack URI

Leave a comment

XHTML: You can use these tags: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>