O Canada! Eh?

Filed under: Professional Development — Chiyo Benjamin at 3:43 pm on Monday, May 14, 2012

皆さんこんにちは。今回で私のブログも今年度最後となりました。今までハワイ、カリフォルニア、日本の通訳資格等について書いてきたので、今回は私がモントレーに来るまで住んでいたカナダの資格試験について少しご紹介したいと思います。

 

まず、カナダの西海岸に位置するブリティッシュ・コロンビア州について少しご紹介します。ブリティッシュ・コロンビア州は山、川、海の大自然に囲まれた緑豊かなところで、最大の街は最近冬期オリンピックが開催されたバンクーバーです。バンクーバーは人口の約7割が英語を第二言語として話すといわれ、街で会う人の多くが英語のノンネイティブ・スピーカーです。北米大陸西海岸の都市のなかでも特に国際色豊かな街で、世界トップクラスのスキーリゾート、ウィスラーのあるところ、といえばすぐにわかる方もいるかもしれません。州都ビクトリアは、バンクーバーからフェリーで1時間ちょっとのところに浮かぶバンクーバー島の南端にあり、こじんまりとした英国風の美しい街並みが印象的です。パシフィック・グローブやペブル・ビーチの落ち着いた雰囲気によく似ています。バンクーバー島は一年を通してカナダで最も温暖な気候と、中央部にある世界的に有名なブッチャート・ガーデン、北部の手つかずの大自然で知られています。

 

カナダはアメリカに比べて就労ビザが取得しやすく、ワーキングホリデービザの他、学生ビザで留学している配偶者がいれば無制限で仕事ができ、カナダの大学(特に博士号など専門技術や知識、資格を持っている場合)には、ケースにもよりますが早い場合は申請後半年位で永住権がとれる場合もあります。ですから、卒業後の仕事を探している方(そしてアウトドアが何より好き!という方)はアメリカだけに限らず、カナダも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

さてカナダ、あるいはブリティッシュ・コロンビア州で通訳、翻訳の仕事をするにはどんな資格が必要か調べてみると、カナダ全国の翻訳者、通訳者、ターミノロジストからなるCTTIC (Canadian Translators, Terminologists and Interpreters Council)、そしてそのブリティッシュ・コロンビア州の支部であるSTIBC (Society of Translators and Interpreters of British Columbia)が実施している資格試験が中心になっているようです。

 

まずSTIBCの法廷通訳資格試験は毎年2月に行われ、団体に加盟しているメンバーで、カナダ国内の裁判所でプロとして2年以上経験がある人に受験資格が与えられます。試験の形式は、筆記試験と口頭試験に分かれており、筆記試験に合格した場合のみ口頭試験に進むことができます。筆記試験には法律関係の文書の翻訳技術、専門用語の知識、法律に関する知識、そして倫理の4つの分野が含まれます。口頭試験はサイトと逐次を両方向へ、同通は英日で行われます。筆記試験、口頭試験ともに全てのセクションを最低70パーセント以上で通過しなければなりません。

 

次はカナダ全国レベルの資格試験ですが、これはSTIBCなど全国の地方支部ですでにメンバーになっているプロの翻訳者、通訳者対象にCTTICが実施する試験です。CTTICも筆記試験と口頭試験に分かれていますが、筆記試験を受けるには4年以上フルタイムのプロ翻訳者+倫理試験に合格している、あるいは、言語学、翻訳、通訳の学位をすでに取得している+1年以上フルタイムの翻訳者であることなどが受験の際の条件になります。1年間の仕事量の具体的な目安としては英語の場合11万ワード、日本語なら3万ワードを翻訳していることが条件だそうです。私も早速これまでの仕事をカウントしてみようと思いますが、MIISで学生をしながらこれだけのノルマをクリアするのはなかなか難しいと思います。

 

CTTICが実施している試験は翻訳、会議通訳、法廷通訳、ターミノロジストに分かれています。それぞれの試験の詳細については団体ホームページにてご確認下さい。この団体のメンバーになるには資格試験を受けて会員登録をする他に、仕事を探す目的で試験は受けずに会費だけを払ってアソシエートメンバーとして団体を利用している人もいるようです。これはアメリカのATA (American Translators Association)と似たようなシステムになっており、ATAは学生の場合だと80ドルの会費を払うと様々なキャリア情報にアクセスすることができます。こちらも詳しくはATAのホームページをご覧下さい。

 

MIISを卒業後、どこかの会社の専属翻訳者や通訳者になる場合をのぞいて、フリーランスで働いて行こうと思ったら、自分の腕一本で小さな会社経営をしているのと同じことです。CTTICやATAのようなプロの翻訳者、通訳者から構成される団体の会員登録をしてキャリアを積み上げて行くことが大切になってくるそうです。またこのような資格試験に合格していることは、自分の実力を客観的に示す目安として役に立つばかりでなく、巷に溢れる翻訳者・通訳者との「差別化」にもなるのではないでしょうか。ただでさえ忙しいMIISの勉強の合間にどうやってこのような資格試験勉強の時間と体力をひねりだすか、まずそこが一番のチャレンジになりそうですが、努力の積み重ねがいつかきっと実を結ぶ時が来ると信じてがんばりましょう!

 



1 Comment »

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   Michiko Walraven

July 27, 2012 @ 2:17 pm   Reply

そうやってSTIBCの認可翻訳者としてキャリアを積んだあとMIISに行ったのが私です。(ちょっと逆コースですね)

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