モノリンガル環境からMIISへ

Filed under: Path to MIIS — Lexi Whitmore at 10:19 pm on Monday, October 29, 2012

アイダホ州ボイシ市

MIISでの日本語翻訳・通訳の学生を想像してみるとどのようなイメージが思い浮かぶでしょうか。バイリンガルの人、帰国子女、日系アメリカ人などのイメージかもしれません。もちろん、そのような学生もいます。しかし、私のように日本語と全く接触できないところで育った学生もいます。

私の出身地はジャガイモで有名なアイダホ州です。人口60万人の州都であるボイシ市で育ちましたが、ボイシ以外は完全に田舎だと言えます。ヨーロッパ系アメリカ人やヒスパニック系アメリカ人がほとんどであり、日本人と会う機会は多くの場合ありません。ボイシの場合は、日本人や日系アメリカ人が人口の0.4パーセントを占めるのみです。

この状況はアイダホ州だけではなく、「田舎国家」とも言えるアメリカでは一般的ではないかと思います。2010年の米国国勢調査によりますと、全米に76万3325人の日本人と日系アメリカ人が住んでいます。しかし、そのうち39万4869人はカリフォルニア州、29万6674人はハワイ州に住んでいます。つまり、この二州以外に住む日本人・日系人は10万人にもならず、多くのアメリカ人は、日本人と、日本の文化や言語と接触できないところで住んでいるということです。

アメリカに住んでいる日本人

それでは、地元の文化や家族と全くつながっていない翻訳・通訳になれるようなレベルまで 日本語を習得するには、何が必要なのでしょうか。まず、母語がしっかりとしていることです。当たり前だと思う方もいるかもしれませんが、母語できれいに書かれている文章の魅力を理解できなければ、日英通訳・翻訳でもアウトプットが分かりづらくなるでしょう。そして、日本語に対する熱心さが必要です。熱心さというか、楽しくなくても苦労が多くても、「これを諦めたままではいられない」という気持ちです。この気持ちがあれば、自然に努力するようになって、モノリンガル環境を乗り越えられるでしょう。最後に不可欠なのは、クリエイティブであることです。私の地元のようなところでは日本語を習う機会がないので、自分で作らないといけません。日本語をマスターするのは不可能だと思わずに、独学用の資料、日本でのインターンシップや留学など、あらゆる手法を使って機会を見つける必要があります。

以上はあくまでも私の経験からのお話ですが、アメリカの片田舎でまわりのサポートがない環境で日本語を習っている人たちに何より言いたいのは、「私のような人が日英通訳・翻訳になれるはずがない」なんて思わないで下さい、ということです。出身地がどこであれ、粘り強く賢い人に、不可能なことはないのです。



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