One Week Diary of a 2nd-Year Conference Interpretation Student

Filed under: Life in Monterey,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Keitaro Morita at 8:12 pm on Saturday, March 10, 2012

過酷で寝る暇もないのか、試験だらけで常にプレッシャーを感じているのか、それとも意外に楽なのか……私はモントレー国際大学院(MIIS)に来る前に、日本語プログラムの学生がどんな1週間を過ごしているのか気になって仕方がありませんでした。 残念ながらそれを知る術がないままMIISの学業を始めたのですが、知っていればもう少し楽に学業に軟着陸soft landingできたのでは、と振り返って思います。潜在的な後輩のみなさんにはそんな経験はして欲しくない、という思いから、今回は2年次で会議通訳コースを専攻する森田がこの春学期にどんな1週間を送っているのかご紹介したいと思います。 まずは月曜日。新たな1週間はこの最もハードな日から始まります。10:00~11:50は英日の逐次通訳。続けて12:00~13:50は日英の逐次通訳。両クラスともにスピーチを2分ほどに区切り、そこで当てられた学生が取ったノートをみながら逐次通訳を披露します。その後、パフォーマンスに対して教授およびクラスメートからのコメントが飛び交います。トピックは秋学期が経済・金融、そしてこの春学期は技術と政治。毎回、いつ当てられるか分からない緊張感で教室が満たされますが、貴重なコメントは自分の通訳力を伸ばすよいきっかけとなります。「プロとしてお金をもらうようになったら誰も注意してくれず知らぬ間にクビになるだけ」。このフレーズは日本語プログラムでよく耳にする金言です。 14:00~15:50は週2回ある日英の翻訳の授業です。教室が離れているため、前の授業が終わると駆け足で2ブロック離れた建物へ移動。MIISは教室が1つのビルにまとまっているのではなく、3つのストリートを跨ってこぢんまりとした建物・教室が点在しているのです。急ぐあまり交差点でまで行かずにjaywalkする学生もいますが、取り締まりがあることもあるので要注意。 火曜日の授業は10:00~11:50の英日の同時通訳のみ。トピックやその日の体調によってうまくいったりいかなかったりします。ですので、背景知識と体調管理は通訳者には欠かせません。通訳者がアスリートに例えられることが多いのもこの辺りから来ているのでしょう。ガラガラ声の通訳なんて聞きたくないですもんね。またフリーランス通訳者が体調を崩した場合、代わりはおらず、穴を開けたら次回から仕事が来なくなり、死活問題にもつながります。 火曜日の授業終了後はクラスメートと「サイトラ」の練習をしています。「サイトラ」と聞いて動物の「サイ」と「虎」を思い浮かべた、という笑い話がありますが、「サイトラ」は「サイトトランスレーションsight translation」の略語。最新号の『The Economist』などから記事を1つ選び出し、大体4~6段落を2分間で速読します。その後、〈「最初はグー、じゃんけんぽん」で勝った人〉(これがMIISの伝統になっています)が半分に当たる2~3段落を目で追いながら前から訳出していきます。前から訳していくため同時通訳の訓練になるとともに、最新の経済動向を把握し、また簡潔で無駄のない上質の英語に触れるよい機会となります。訳出が終わったらもう1人がそれについてコメントし、その後、役割を交代します。 水曜日の授業は14:00~15:50の日英の翻訳の授業だけなので、朝はゆっくりできます。大抵は授業の予習、たまっているEメールや新聞の処理で終わってしまいます。授業ではまず課題が配布されます。そして制限時間内に学生が翻訳に取り組み、ネット経由で披露された翻訳を教授が評価し、またクラスメートがコメントします。1人で取り組みがちな翻訳の作業に〈他者の目〉を入れることができるので、自分の翻訳を異なる視点から見つめ直し、またクラスメートの訳出と比較することのできる又とない機会です。英語のネイティブ話者ではない私にとって、この授業は英語力アップにも直結しています。 授業後はクラスメートと1時間ほど逐次通訳の練習。練習場所は食堂が併設されているSamson Student Center(写真参照)。練習の内容は授業の予習か試験準備が中心で、英日なのか日英なのかはその日に決めています。1人でもできる作業かも知れませんが、友人との共同作業で学ぶことは多く、また彼/女からもらうコメントは有難いものばかり。「翻訳通訳学部の授業を1人で乗り越えるのは難しい」と最初のオリエンテーションで釘を刺されましたが、まさに的を射ていました。時に厳しいコメントをもらうこともありますが、「学び合う姿勢」、これが学業を乗り越えるコツの1つです。   木曜日は授業がないので、クラスメート3人とそれぞれ1時間ずつ午後に練習しています。この日は日英のサイトラ、そして英日・日英の逐次通訳を練習しました。逐次の練習教材としてはYouTubeやTEDxの映像を使って行います。特に、ボランティアの手による日本語翻訳プロジェクトが進行中のTEDxの動画には世界を賑わせている「有名人」が登場し、専門とする分野の最新動向をプレゼンしてくれるため、練習ツールとして手放しがたいものになっています。 そしてやっと金曜日。月曜と同様、金曜日にも3つの授業があります。1つ目は朝8時にスタートするTranslation & Interpretation as a Profession。現在進行形の授業なのですが、これまで学んだ内容としては「フリーの翻訳者・通訳者になった際の仕事の請け負い方、見積もりの方法」「顧客関係の構築方法」などが挙げられます。実務に即した形で授業内容が構成されています。 2時限目は日英の同時通訳の授業。ブースに入り、日本語の音声を聞きながら英語に通訳していきます。またウィスパリング通訳やビデオ通訳、機器を使った通訳など、実際の現場を想定した訓練も行われます。訓練はすべて、卒業時点で完成されたプロの卵になっていることを目指して行われます。 ランチブレークをはさんで1週間最後の授業は14:00~15:50のInterpretation Practicum。この授業は会議通訳を専攻する各言語プログラム(日本語・韓国語・中国語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語)の仲間が一堂に会し、実践経験が豊富な2人の優れた教授陣を中心にプロの通訳者としての育成が行われます。実際の通訳の手法のみならず、3言語以上の通訳が発生するリレー通訳の方法、また通訳があるイベントをどう組織するのかということまで学びます。毎週、Practicumの学生のうち2人がCI(Chief Interpreter;通訳責任者)となり、その週に開かれるイベント・授業に通訳者を割り当てて通訳を組織化するとともに、会場や機器の手配など事前・当日の準備に従事します。前回のブログ(http://sites.miis.edu/tijapanese/2012/02/17/fall-forum-2011/)でお伝えしたFall ForumもPracticumの学生が組織運営したものです。このPracticumの授業は基本的に会議通訳コースの学生しか受講することができません。このブログを読んでPracticumに興味を持たれた方はぜひ会議通訳コースへ! そして週末の土日は学会で通訳のボランティアをしたりPracticumの一部としてイベントで通訳演習を行ったりすることもありますが、原則はお休み。大抵は課題や次週の授業の予習、また日本から持ってきている翻訳の仕事に追われて終わってしまいますが、友人と食事をしたり、ジムで汗を流したり、テニスをしてストレスを発散したりすることもあります。うまく気分転換をし、心と体のバランスを取ることができることも学業を乗り切る1つの秘訣です。 と、このようなスケジュールの繰り返しで学期の約15週間が過ぎていきます。 ここまで読んでいただいた皆さんはMIISの学業の様子を垣間見ることができたと思いますが、いかがでしたでしょうか。これを読んで同大学院への関心がさらに高まっていれば、と思います。

モルダウ捜査官とヨロヨロハイヒール

Filed under: T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chiyo Benjamin at 6:28 pm on Saturday, March 3, 2012

会場の片隅で薄汚い灰色のパンプスからシャープな黒のハイヒールに履き替えていざ出陣。目はFBIブースに釘付け、しかし果たして転ばずにあそこまで行けるだろうか、、。   モントレー大学院では毎年春に就職フェアが開催されます。このフェアでは、キャンパスからほど近いホテルのイベントホールを借り切って、MIISの学生専用の就職活動の場が提供されます。これはもちろん5月に卒業を控えた二年生の就活の場になるだけでなく、私たち一年生にとっても夏のインターンシップを探したり、フリーランスの仕事のきっかけ作りや登録をしたり、就職先の目安をつけたりと、とても意義深いイベントです。 2月24日に行われた今年のフェアの参加企業は翻訳・通訳・ローカライゼーション関係だけでも47団体、そのうち日本語関連の仕事のオファーがある団体が30以上。主な参加企業は、ホンダ、スタンフォード大学病院、国連の知的財産管理団体であるWIPO (World Intellectual Property Organization) の他、Apple、Facebook、FBI、CIA、楽天、そして多数の翻訳・通訳のエージェントが来ていました。朝9時の開会から参加企業の代表の方たちに履歴書を渡したり、仕事の内容を詳しく聞いたりしているうちに、あっという間に閉会の時間になってしまいました。 その後カリフォルニア州裁判所の法廷通訳試験の説明会、授業二つ、プレゼン発表、授業の後更にインターンシップ説明会に参加、翌朝提出期限の課題を終わらせ、帰宅した時には着替える気力もないくらい疲労困憊。来年のフェアの日は、授業を振り替えていただけるように先生方にお願いしてみよう、などと考えつつベッドまでよたよたと這って行き、力尽きました。   就職フェアに向けた準備として私がしたことは、まず過去にインターンをしたことのある先輩や先生方に体験談を伺いました。学校の勉強が一段落した冬休み中に自分の履歴書とカバーレターを練り直し、それらを経験豊富なアドバイザーに添削してもらいながら更に内容に磨きをかけました。1月は冬休みでモントレーに残っている学生がほとんどいないので、普段は多忙なアドバイザーにゆっくり会ってアドバイスをいただくチャンスでした。フェアの開催日の前にインターンシップの募集を締切る団体もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。 またフェアに臨むにあたり、学校主催で数週間前から複数のワークショップが用意され、面接の練習や、心構え、服装、持ち物まで、かなり詳細なアドバイスをもらえるので、授業スケジュールが許す限り参加しておくといいと思います。また、参加企業の中でも特に興味のある団体については下調べをきちんとしておけば、担当者に的確な質問をして第一印象アップ!その上、当日会場での短い時間を有効に使うことができます。 フェア前日に心優しいクラスメートにスーツ、シャツ、ハイヒールなど何から何まで貸してもらい、当日は早く起きて、シャワーを浴び、朝食をとり、すっかり忘れていた課題二つを締め切り時間ギリギリで提出し(良い子の皆さんはなるべく前の日までに終わらせましょう!)、大急ぎで着替えをすませて会場へ。 実はこの日一番のワクワクと言えば、生でFBI、CIA、Department of State(米国務省)のスタッフを見たこと!日本人むけの募集はしていなかったものの、「今ここでテロが起きてもいざとなったらきっとこの地味なおじさんたちがトミー・リー・ジョーンズばりのかっこよさで救ってくれるに違いない」という確信をもって心ゆくまでフェアを回ることができました。皆さん「モルダウ捜査官あれから10年後」くらいの渋い年齢層の方で素敵でした。あぁ麗しのFBI捜査官様。ずっと昔福島県の小さな八百屋さんで小さな日本人のおばあさんの変装をしていたけど、うっかり背中に大きくFBIとかいてあるジャケットを着てしまっていたあなたを見かけた日以来の再会でしたね。   何はともあれ、今回の就職フェアは私にとってとても有意義であり、翻訳・通訳がうまくなりたい、という気持ちがますます強くなりました。プロとして仕事をするのは遥かな夢ではなく、がんばれば近い将来実現するかもしれない、とも感じた一日でした。普段履かないハイヒールと普段着ないスーツでヨロヨロと歩き回ったこの日の成果やいかに。その結末はまたいつか。  

English Preparation for Translation & Interpretation (EPTI)

Filed under: 翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chikako Tanada at 8:44 pm on Thursday, February 23, 2012

English Preparation for Translation & Interpretationは毎年7月上旬から8月上旬まで開講する6週間の英語集中プログラムです。 このコースはエプティ(EPTI)と呼ばれ、 通訳・翻訳専攻予定の学生のためにカリキュラムが組まれています。午前8時半から12時までのクラスにはWritten/Oral skillsとCultural Contentがあり、Written/Oral skillsでは通訳・翻訳についての理論や基礎を学びます。Cultural Contentでは通訳・翻訳には欠かせない経済、金融、法、国際機関などをテーマに、ニュースや新聞等を教材にしてプレゼンテーションやディスカッションを行い、総合的な英語力を強化します。午後1時から2時半までは、隔日で発音のクラスと経験豊富なMIISの教授によるT&I(Translation & Interpretation) ワークショップがあります。 出願時の早期診断テスト(Early Diagnostic Test)の結果が若干基準に満たなかったか、英語圏での留学等の経験がほとんどない場合、EPTI受講を条件にMIISに合格した学生がこのプログラムに参加します。EPTIに試験はありませんが、秋学期からの大学院に進むためには合格点以上の成績を修める必要があります。 私自身、昨年7/5~8/12まで EPTIを受講しました。MIISに来るまで英語圏への留学経験が全くなく、大学を卒業してから5年近く経っていたので、EPTIでの6週間は大学院生活に備えるための貴重な時間となりました。クラスメイトは中国人10名、台湾人2名、韓国人と日本人各1名の計14名でした。実際のT&Iプログラム同様、中国勢に押され気味でしたが、彼らのガッツに頭が下がる毎日でした。幼稚園~大学まで純日本の教育を受けた私は、とにかく人前で話したり意見を言うことが苦手で、ほぼ毎日あったディベート、ディスカッション、そしてプレゼンテーションに緊張の日々でした。毎日の課題も決して少ないとは言えず、土日も宿題に追われていましたが、EPTIで学んだ通訳・翻訳理論や国際機関等についての背景知識がT&Iでの実際の授業で非常に役に立っています。 2012年秋入学のMIIS独自の奨学金選考対象となる出願締め切りは3月12日です。英語力に自信がなく、MIISのT&Iへの出願を迷っている方がいましたら、まずはアプリケーションを提出し、早期診断テストを受験されることをお勧めします。テスト結果が若干基準に満たない場合でも、受験者の英語力以外(職務経験等)で合否を判断し、英語力の向上を条件に合格する可能性もあります。また、毎年優秀な通訳者・翻訳者を輩出する学校として、MIISではEPTIだけでなく、T&I以外の学科専攻予定の学生のためのEnglish Preparation for Graduate Studies や英語集中プログラム(ESL) など定評ある様々な語学プログラムを提供しております。ですので、T&Iに出願する前に英語力を高めたい方にもぴったりなプログラムが見つかるかと思います。 今年のEPTIは7月2日~8月10日に開講予定です。費用・受講方法などの詳細についてはMIISのホームページをご確認ください。

Fall Forum 2011

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Keitaro Morita at 7:07 pm on Friday, February 17, 2012

こんにちは、森田系太郎と申します。ここモントレー国際大学院のT&I(Translation & Interpretation)日本語プログラムの2年次に在籍しており、CI(Conference Interpretation;同時通訳)を専攻しています。 このブログ上では繰り返しになるかも知れませんが、T&Iのプログラムはさらに4つの専攻に分かれています。TLM(Translation Localization Management;翻訳ローカライゼーション管理)、T(Translation;翻訳)、T&I(Translation & Interpretation;翻訳と通訳)、そしてCIです。 このCIまたT&Iの学生のうち希望者が2年次の秋に経験するのが Fall Forumです(ウェブサイトはこちら:http://sites.miis.edu/fallforum2011/)。希望者は、100人以上の収容空間を有すると思われるIrvine講堂で2分程度の逐次通訳を行うことになります。したがって当大学院ではプロの通訳者になるための一種の「通過儀礼rite of passage」の1つとみなされています。または「度胸試し」と言って もよいでしょう。 僕も参加した2011年のFall Forumは11月18日(金)の14時から18時にかけて開催されました。昨年のテーマは「性教育」と刺激的でしたが、今年のテーマも刺激的で “Are You Really Free . . . ?”でした。つまり「あなたは今、本当に自由ですか・・・?」。Forumの紹介文には次のようにありました。 “Many of us take freedom for granted as a universal right, but the struggle for freedom has caused countless conflicts, and even war.”(私たちの多くは自由が1つの普遍的権利であると当然のことのように考えています。しかしこれまで自由を獲得するための闘争によって数知れぬ紛争、時には戦争まで生じています。) 日常生活を何気なく送っていれば問いかけることを忘れてしまうような、虚を突くようなこの命題。これをめぐって3つのセッションが開かれました。 3つのセッションとは「第1セッション:移民」「第2セッション:新しいテクノロジー」「第3セッション:ジェンダー(性)役割」です。当大学院に在籍する様々 な経歴・職歴を持った教員・学生にスピーカーとなってもらい、各テーマについて自国の言語で語ってもらいます。そして参加を決めた通訳を学ぶ学生は通訳者としてスピーチを聞き、ノートを取り、聴衆の前で通訳を披露します。 日本語話者のスピーカーが登場したのは第2、3セッションでした。第2セッションのスピーカーは本校MBAコースに在籍中の日本人留学生で、約1年前に発生した未曾有の災害「東日本大震災」の際にFacebookやTwitter といった新テクノロジーがいかに役立ったのかを、震災当日を振り返りながら話してくださいました。それを日本語プログラムのT&IとCIの学生1人ずつが逐次通訳を行いました。 一方、第3セッションのスピーカーはT&I在籍の日本人留学生で、日本のメディアにおいて同性愛がどのように扱われているのかについて意見を述べました。その後、CIの学生2人が逐次通訳を行いました。この学生2人のうちの1人が僕でした。 当日、自分の出番になるまでは「演台では緊張するかな・・・」と不安を抱えていました。しかし実際始まってみるとノート取りに夢中になり、その結果、それほど緊張しなくても済みました。しかし授業や友人との練習とは異なる大舞台での通訳ということでうまくノートが取れず、最後の方では一時、間が空いてしまってヒヤッとした場面も。ですが最後は何とか無事終わらせることができました。 […]

入学までにしておいた方が良いこと

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chikako Tanada at 10:01 pm on Wednesday, November 30, 2011

みなさん、こんにちは。T&I一年の棚田周子と申します。私は日本の大学を卒業後、東京で3年、ワシントンD.C.で2年、計5年働いてからモントレー国際大学院に来ました。このブログを読んでいる方は、MIISの通訳・翻訳プログラムに興味があり、すでに出願した、もしくは将来出願を考えている方が多いかと思います。今回は、日本語T&Iプログラムを志望している方のために、入学までにしておいた方が良いことについて書こうと思います。 ●母国語の強化 英語ネイティブは日本語、日本語ネイティブは英語の勉強にどうしても重点を置きがちですが、母国語が最も大事であることを忘れてはいけません。外国語を勉強している方であれば、一度は聞いたことがあるかも知れませんが、母国語以上に外国語が上達することはありません。英語も日本語も中途半端なままでは、プロの通訳者・翻訳家としては話になりません。特に日本人の留学生は、出願前はTOEFLやIELTSの勉強に集中してしまいがちですが、日本語の新聞の音読やテレビニュースを見るなどして、日本語力の強化に励みましょう。お勧めの勉強方法の一つとしては、朝日新聞の天声人語を毎日書き写すことです。ご存知の方も多いかと思いますが、天声人語は知識・文章力の向上に役立つとよく言われています。私も大学受験の時や、就職活動のときに天声人語を書き写すようにと言われた覚えがありますが、結局モントレーに来てから、天声人語の書き写しを始めました。課題で忙しい時もあるので全文写すのは大変ですが、 出来るだけ毎日全文書き写し、音読するようにしています。 全文でなくても、毎日5分間、1年続けると効果があるそうです。これは英語ネイティブの日本語力強化にもお勧めです。 MIISのホームページには、入学までの語学力の高め方について書かれたページ(「10 Ways to Prepare」)がありますので、そちらも参考までにご覧下さい。 ●背景知識 通訳者・翻訳家にとって背景知識は非常に重要です。世界情勢を知っておくことはもちろんのこと、政治、経済、テクノロジー、医療など、ここでは挙げきれないくらい多くのトピックを取り扱います。私自身、MIISに入学してから実際の授業で「もっと背景知識があれば…」と痛感することが多々あります。自分の好きな分野はもちろんのこと、苦手な分野についても雑誌や本、ウェブサイトなのでパラレルリーディング(日本語英語の両方で同じ内容のものを読んでみる)すると非常に勉強になると思います。実際、入学後は課題で忙しく、課題以外の勉強時間を見つけるのが非常に大変です。余裕のある入学前に色々な分野の背景知識を身につけておくと、入学後に役立つかと思います。また、日本語と英語では単位換算や数字の表現が違うため、特に通訳の際には苦労します。早いうちに温度や長さ、距離などの単位換算をマスターし、数字表現を自由自在に言えるようにしておくと楽です。さらに、各国首脳・首都や大洋の名前を覚えることと、国際機関などについて勉強しておくこともお勧めします。 ●職務経験 必ずしも職務経験は必要ではありませんが、今年の日本語T&Iの1年生を見ると、大学卒業後2〜3年以上の職務経験がある学生がほとんどです。私は、大学卒業前に「将来通訳・翻訳を勉強する」と決めていたのですが、多くの方から色々な経験があった方が通訳者・翻訳者としての幅が広がるとアドバイスを頂きました。そこで、日本の企業に就職し、転職して海外で働き、大学院に留学するという計画を立てました。実際、大学卒業後は東京にある企業で1年半働き、その後アメリカのワシントンDCにある日本政府機関で2年働き、帰国後は東京の特許法律事務所で1年半働いてからモントレーに来ました。ワシントンD.C.と特許法律事務所では、専門知識や通訳・翻訳業務に通じるスキルを身につけることができましたが、それ以上に、一番最初の会社で日本のビジネスマナーを叩き込まれたことが本当に役立っていると思います。MIISに入学した時点で、先生方は学生のことを「将来の同僚」として見ています。将来の通訳・翻訳のプロとして、時間に正確であることはもちろんのこと、言葉遣いであったり、メールのマナーであったり、些細なことが重要視されています。特に、日本のビジネスマナーは他国に比べて厳しいですが、通訳・翻訳の世界では好まれるマナーだと思います。本で読むよりも、チャンスがあれば実際に働いて、経験してみる方が色々な意味で勉強になると思います。 ここにあるアドバイスはほんの一部にしか過ぎませんが、参考になれば幸いです。すでに出願した方も、これから出願する方も、将来MIISの一員として、みなさんにどこかでお会いできるのを楽しみにしています。

Localization(ローカリゼーション)とは一体なに?

Filed under: 翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Yee Lam Cook at 9:41 pm on Tuesday, November 15, 2011

こんにちは。私は翻訳・ローカリゼーション管理専攻一年のイーラムです。 香港出身で、アメリカ生活はちょうど8年目を迎えました。日本語学習歴は約12年です。、時々、自分が英語・日本語の翻訳・ローカリゼーションプログラムにいることを考えると、不思議に感じています。。。 さてさて、翻訳と通訳はよく耳にしますが、「ローカリゼーション」とは何でしょう? MIISに受かった後、よくあったパターンはこんな感じでした。 イーラム:「やった!念願の大学院に受かった!」 家族/友人/上司/取引先:「おめでとう!で、イーラムは何を勉強するの?」 「翻訳とローカリゼーション管理」 「。。。。え?何それ?」 全然知られていなくてとても寂しいです。。。 ローカリゼーションとは、単純な「翻訳」ではなく、対象となる市場の言葉と文化を考えながら「地域化」することです。例えば、自転車(bicycle)を中国語に翻訳すると言っても、地域によって少し違う言葉が使われています。 例えば… 中国:自行車 香港:単車(漢字は少し違いますが) 香港の人は「自行車」でも分かりますが、違和感を感じます。「自分の言葉ではない」と感じ、その翻訳された言葉にあまり共感できません。意味が通じても、「共感」がないと、いくら「自行車」をプロモーションし、売ろうとしても、成功は難しいかと思います。世界中に、このようなケースは実は多くあります。例えば、スペイン、メキシコ、アルゼンチンで使うスペイン語、それぞれ少し違います。 「ローカリゼーション」は「言葉の適切さ」だけではなく、色々な配慮も必要です。例えば、ウェブサイトなら文字の配列、長さ、読みやすさ、単位の変換(日本円から米ドルなど)、デザイン、文字の色なども考えなければいけません。もちろん、まず根本的翻訳される言語のマーケットに合う商品を作らなければならないケースも多いでしょう。日経ビジネスで結構興味深い記事がいくつありましたので、ご紹介します。 1.「マルちゃんする」とメキシコで独自解釈されたカップ麺 (http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20101013/216622/) 2.世界各地で何が売れるか、“目的地”を示す「地図」が必要だ (http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20101013/216615/) MIISでは、翻訳とウェブサイトやソフトウェア等のローカリゼーションがメインですが、ビジネスクラスのコース(会計、マーケティングなど)も必修です。さらに、3年で翻訳・ローカリゼーション管理修士号とMBAを取得することも可能です。2年しか時間がない場合、MBAの代りにBusiness Foundation Certificateを取るのもいいアイデアかもしれません。 さて、期末試験はもうすぐです。無事に乗り越えるように、日々翻訳と論文を頑張っています。。。ではでは!

MIISで何を専攻しますか?TLMはいかがですか?

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Matthew Chen at 8:04 am on Tuesday, October 25, 2011

モントレー国際大学院を考えると、翻訳と通訳が思い浮かびませんか。だが、翻訳・ローカリゼーション管理(TLM)という専攻もあると知っていますか。翻訳、テクノロジー、ビジネス管理という三つの科目はTLMで重視しています。 モントレー国際大学院ではどんな授業を取るかを教えます。まず、TLMを専攻している人は普段、第二言語(B言語)から母語(A言語)に翻訳しますが、B言語能力を上達させたい人は幾つかの選択があります。選択科目でA言語からB言語への翻訳の授業も取ることができるし、いわゆるコンテント・コースではB言語で様々なトピックについて勉強することもできます。私は今学期B-A翻訳とコンテント・コースを両方とも取っています。 テクノロジーというと、翻訳メモリー(Trados, Wordfastなど)、機械翻訳、ターミノロジー管理など、翻訳プロセスを効率的にするソフトや技術について学んで、使えるようになります。自分はまだ一年生なのでまだ初心者ですが、そのテクノロジーは翻訳産業に働く人の役に立つということがはっきり分かります。 ビジネス管理に関連している授業は会計学、プロジェクト管理、マーケティングなどです。モントレーに来る前に、ビジネスに対する関心がなかったが、実際に勉強し始めてから面白いと思うようになりました。 TLMを専攻すれば、翻訳者、プロジェクトマネジャーなど、様々な仕事ができます。おまけに、TLMの学位を持っている人は雇用者にとって非常に優先されています。

モントレー国際大学院までの道

Filed under: 翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Steven Rohn at 3:22 pm on Wednesday, October 12, 2011

私は2年ほど札幌で外国語指導助手として英語を教えていましたが、二年目の契約更新のところで、仕事を変えようと決めました。今でも、その時のことを忘れられません。吹く風が冷たく、初雪が舞い始めてから数日しか経っていない冬の日でした。窓から静かに降る雪を眺めながら、将来のことを考えていました。ここまで積んできた知識や経験を仕事で活用したいという希望があり、そのために適切な道は何かということを考えたり、情報を集めたりし、結局理想の職は翻訳だと感じました。翻訳ならば、モントレー国際大学院より優れた学校はアメリカにないということが色々な方法で分かりました。早速、モントレー国際大学院に申し込みました。 あの日から、約一年半たった今、太平洋の暖かい風を感じながら、モントレー国際大学院の翻訳・ローカリゼーション管理(TLM)プログラムで、翻訳やビジネスを勉強しています。授業では、様々な興味深いトピックが出てきます。例えば、翻訳とは何か、コンピューターのプログラムを使った翻訳(CAT)の方法や、言葉だけではなく、意味で翻訳することなどが挙げられます。ビジネスの授業では、会計学やローカリゼーション管理の役に立つ知識を身につけています。 モントレー国際大学院に来るまでは、翻訳の概要を何となく知っていると思っていましたが、実際に授業に参加してみたら、まだまだ、たくさん知らないことがあることに気づきました。だから、これからも、美しいモントレー市に住みながら、翻訳やビジネスの勉強を楽しみながらがんばりたいと思います。

翻訳・通訳プログラムの魅力

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Nami Hijikata at 9:11 pm on Tuesday, September 27, 2011

モントレー国際大学院(Monterey Institute of International Studies, MIIS)の翻訳・通訳プログラムは、世界有数の翻訳・通訳者育成機関として知られ、“MIISマフィア”と呼ばれる数多くの卒業生が世界各国の第一線で活躍しています。 翻訳・通訳プログラムでは、翻訳・通訳(T&I)、会議通訳(CI)、翻訳(T)、翻訳・ローカリゼーション管理(TLM)の4種類の修士号を取得することができます。英語と組み合わせる言語は、日本語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語の中から1~2言語を選択します。 筆者は日本でフリーランス翻訳者として3年ほどの実務経験があったので、Advanced Entry(AE)という制度を使い、2年生に編入しました。あまり長く実務を離れることには不安があったので、AE制度を使うと1年で修士号を取得できることは、MIISを選択するうえで大きな決め手になりました。 1985年に開設された日本語コースは、現在1学年10人強の小所帯です。伸張著しい中国語コース(1学年60人ほど)に押され気味の感もありますが、実習が少人数で行われ、学生同士の仲も良く、勉強しやすい環境です。 日本語を母国語とする学生と、英語を母国語とする学生が一緒に勉強する、というのもMIISの特色です。今年の日本語コースの2年生13人のうち、7人は日本人、5人は米国人、そして1人は英日仏3カ国語を自在に操るフランス人です。1年生は多少米国人が多めですが、どの学年も英語ネイティブと日本語ネイティブのバランスがとれています。 翻訳者として働いていると、どうしても意味のつかめない表現に出くわすことが少なくありません。ネイティブスピーカーに確認しようにも、翻訳者に求められる緻密さをもって、微妙なニュアンスの違いまで説明してくれる相手はなかなかいないものです。 優れた翻訳・通訳者になる、という同じ志を持ち、在学中はもちろん卒業後もサポートしあえる仲間とめぐりあえること――それはMIISで翻訳・通訳を学ぶことの大きな魅力の1つといえるでしょう。 (文責:土方奈美)

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