ICUからMIISへ

Filed under: Life in Monterey,MIISについて,Path to MIIS — Shinichiro Tanaka at 9:17 am on Monday, October 22, 2012

皆さんこんにちは、そして初めまして。会議通訳専攻1年の田中です。 幼い頃より海外で生まれ育ち、日本という国から少し距離をおいて物事を考えてきました。なので、日本で勉強や仕事をし、キャリアを積み上げていくという一般的な道筋よりも自分にとってより効果的な道程はないだろうかと考え、一年間のギャップイヤーを経て、モントレーで勉強するのが良いという考えにいたりました。理由を挙げると、アメリカで一番なら良いに違いない、院に行くなら二年間はやりたい、インターンもやってみたい、ということで決めました。 受かるも八卦、受からぬも八卦と思い、MIISに願書を送りました。受かったら行く。受からなかったら行かない(行けない)。という至ってシンプルな思考をしていました。受からなかった場合は、日英翻訳の先生に弟子入りしていたので、そのままフリーランスで翻訳を続けながら、ボランティアなどをしながら、チャンスを待つか掴みに行くか、したと思います。とはいえ、大学を卒業してからずっとフラフラしているのも良くないので、焦りはありました。 モントレーの良さは何といってもブランド力だと思っています。あと、ネットワーク。国際基督教大学(ICU)で通訳や翻訳の勉強をしていたので、何人かはその道の人とも知り合えたのですが、ICUで授業を受けている人の大半は他の道に進みます。ただ、いろんな道にみんなが進むので、将来のクライアントとしては有望な人はたくさんいると言えるでしょう。そのへんを今後活かせるかどうか…(笑)。ちなみに、通訳や翻訳の授業は良かったです。通訳サークルにも参加していたので、貴重な経験をたくさんさせていただきました。なので、MIISでこの経験を生かさねば、と思っています。 ICUの授業では、早い段階から同時通訳を習いました。これは、最終的に難しいのは逐次通訳、という考えからだと思います。おかげで僕は同時通訳に対して難しそう、とか大変だというイメージをあまり持っていません。逆に逐次通訳の方が苦手です。なので、逐次通訳をまず勉強するMIISのやり方はありがたいです。これで逐次の苦手意識を払拭できれば、と思っています。 ICUのサークルでは会議などの通訳や、大学の講義の通訳など実際の通訳と同じような環境で通訳をする機会がたくさんあったのが特に良かったです。日本の良いところは通訳や翻訳を始めるにあたってのハードルが低いところだと思います。学生の頃からバイトのような形で仕事が出来るのは、経験を積むのに便利です。まあ、あまり安く引き受けると市場にとって悪影響となりうるので、ボランティア以外は控えるようにしていましたが。また、大学自体がバイリンガルなので、寮に住んでいたのですが、月に一度の寮会の逐次通訳を2、3時間ぶっ続けでやるなど、練習の機会はそこら中に転がっていました。 モントレーへと飛び出した理由は、仕事を頼んでいただいた方にもっと自信を持って通翻訳サービスを提供したい、という思いからです。また、僕の翻訳の師匠はCATなどを使っていなかったこともあり、今の時代に合った通訳・翻訳のあり方を見極めるために、様々な通訳者や翻訳者の集まるMIISに行きたいと思うようになりました。 MIISの恵まれた環境を最大限活用し、精進し続けたいと思っております。ちなみに今年の日英通訳・翻訳一年生は僕も含め、全員10月24日から27日までのATA(American Translators Association)の会議に参加します。ATAでたくさんの翻訳者や通訳者の方々とお会いできることを楽しみにしております。今後とも、よろしくお願い申し上げます。 勉強とはあまり関係ないのですが、有名なモントレー・ジャズフェスティバルに三日連続で行ったり、ホエールウォッチングなどをしたりと、勉強以外でも素晴らしい経験をさせていただいております。観光地としてもモントレーは素晴らしい場所ですよ。

MIISでの第一学期

Filed under: MIISについて,T&I Student Life — Celine Browning at 8:17 pm on Monday, October 15, 2012

秋が深くなって参りました。皆様いかがお過ごしですか?会議通訳課程一年のブラウニングです。今回は私のモントレー国際大学院での専攻についてお話したいと思います。 私は人生のほとんどを日本で過ごしたアメリカ人です。高校での三年間と大学時代の交換留学以外は全て日本の学校で教育を受けました。私は日本で国際関係学の学位を取得し、ドイツで異文化間紛争管理論の修士を修得しました。子供の時に母親の為に通訳をしていたくらいで、それほど通訳には興味を持っていませんでした。しかし、人権や紛争問題を専攻していくうちに、これらの問題を扱う通訳になりたいという思いが芽生え、モントレー国際大学院を受験する事にしました。 会議通訳課程という事からもちろん私は日本語と英語の通訳・翻訳の授業を受講しています。本学では、第一言語(A言語)、第二言語(B言語)、第三言語(C言語)と言語が分かれており、二言語のみの場合はA言語からB言語、あるいはB言語からA言語へと通訳や翻訳をするように指導されています。しかし私はC言語で中国語も専攻しています。このように会議通訳課程で三言語を専攻する場合、C言語については、A言語方向へのみ通訳の勉強をします。これは言語能力を考慮して決められたことです。 三つの言語を勉強できる事によって本学の様々な学科の授業のあり方を比べる事ができました。やはり言葉や文化によって着目する点が異なるようです。中国語の授業では第一回目の授業から中国政治や経済についての通訳を勉強しています。新聞記事であったり、多国籍会議の資料であったり、教材は様々です。その上、中国語の場合は英語に訳する上でどのように原文の冗長さ(中国語的な表現スタイル)を改善するかにも着目します。   日本語や英語の場合は特に一つの分野に限らず、レシピや政治家のスピーチ、環境問題、祝辞や弔辞など、教材は実に多種多様です。また、各学科で教えられているノートテーキングの方法も言語や教授によりバラエティが見られます。クラスや教授によってメモ帳のページの分け方の指示が異なっていたり、記号や表記法も様々です。しかし中国語科で紹介された技や記号を別の言語でも活用出来るという事は非常に便利です。日本語と英語の場合も同じ事が言えます。どのクラスでも一貫してノートの簡潔さと解りやすさが一番強調されています。そのなかでクラスや自分のノートのほとんどが、オリジナル言語にかまわず日本語で取られている事にびっくりしました。多分平仮名が書きやすいからなのでしょう。   しかし、今まで考えた事のなかった問題にもぶつかりました。中国語を習っていた時は日中辞典を使って勉強していたので、MIISで英語に訳する時に直接英語に訳するのではなく、一旦日本語に直さなければいけない事に気がつきました。本来ならあまり気にならないのですが、サイトトランスレーションなど時間に制限のある時など、特に正確な訳を心がけなければいけない時に不便だと感じます。おかげで新しく中国語を英語で考える力が付きました。このように今まで気がつかなかった事も発見できる機会が沢山あります。 確かに三つの言語を均等に勉強するのはとても大変な事ですが、翻訳や通訳という言語が異なっていても統一性のある分野を三つの言語と文化の観点から新たに接する事が出来る機会を与えられたことを非常に嬉しく思っています。

モントレー国際大学院を選んだ理由

Filed under: MIISについて,Path to MIIS — Satoko Kanamori at 9:42 pm on Sunday, October 7, 2012

皆さんこんにちは。翻訳・通訳専攻一年の金森です。今回は、私がなぜモントレー国際大学院に来たかについてお話したいと思います。 私はいわゆる帰国子女で海外生活が長く、高校からアメリカンスクールに行き、大学もニューヨークで過ごしました。以前から翻訳者・通訳者になりたいと思い、大学を卒業した後に本格的に翻訳・通訳の勉強ができる学校を調べました。大学4年生の夏休みには、日本で様々な翻訳・通訳養成学校を訪れ、どのような勉強、研修をするのかについて調べました。この時わかったことが、日本での翻訳・通訳養成学校に通っている人たちは仕事をしていて、仕事が終わった後や週末に養成学校に通うので、一般的な「学生」とは違うということです。コースもTOEFLのスコアやレベルごとに分かれているので、大学院のように2年間で総合的にスキルを磨くのではなく、短期間で集中的にスキルを習得するということです。また、日本での養成学校は日本語が母国語前提なので、私のように英語で生活することが多い人たちや英語ネイティブの人たちにはふさわしい環境ではないかもしれません。 また、大きな違いは、モントレー国際大学院では日本語ネイティブも英語ネイティブも同じ教室で勉強するので、英語ネイティブの人に日英の翻訳・通訳の間違いを指摘してもらうことができたり、言語のニュアンスなどを話し合ったりすることもできます。養成学校と違い、2年間かけてじっくり翻訳・通訳を学ぶので、授業の外でもお互いに練習できるという点でも異なります。また、日本語だけではなく、フランス語や中国語、ドイツ語など7カ国語もの翻訳・通訳の学生がいるので、多くの言語でリレー通訳の練習ができ、異なる文化を間近で感じることができます。これは、翻訳・通訳以外にも重要なスキルだと思います。 アメリカの大学院でも翻訳・通訳、特に日本語のプログラムがあるところは限られています。モントレー国際大学院は、翻訳と通訳両方のプログラムがある他、学校としての実績も非常に高いです。就職率も高く、2年間かけてプロの翻訳者・通訳者になる研修を受けます。もし翻訳・通訳の勉強を本格的にしたいのならば、モントレー国際大学院はいかがでしょうか?

Summer Internship

Filed under: MIISについて,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Keitaro Morita at 10:55 pm on Monday, April 2, 2012

インターンシップ――1年生と2年生の間にある約3カ月の夏休みはこれに始まりこれに終わると言われます。1年次に身に付けた通訳・翻訳のスキルを実際の職場環境で試し、同時にそれを通じてさらにスキルを伸ばせる、という弁証法的な機会になっています。 モントレー国際大学院(MIIS)へ進学をお考えの皆さんは学業のみならずインターンシップにも興味をお持ちだと側聞しています。ですので、今回のブログではこのインターンシップについて書いてみたいと思います。 と言ったものの、森田はAdvanced Entryという制度を使って2年次から学業を始めたため夏休みのインターンシップを経験していません。そこで実際にインターンシップを経験した敬愛するクラスメート・津崎由佳子さんにお願いをし、インターンシップの現場についてインタビュー形式で答えてもらいました。以下、その一問一答です。 ―本日は貴重なお時間をありがとうございます。2011年の夏休みにスタンフォード大学病院でインターンシップをされたそうですが、まずはなぜインターンシップをしようと思ったのか教えていただけますか。 「アメリカで一定期間にわたって働いた経験がなかったので、卒業後にプロの通訳者・翻訳者として仕事をしていく際の第一歩になればと思って応募しました。またアメリカの職場においてコミュニケーションがどのように行われているのかは学校では学ぶことができません。現場を知る、という意味でも応募しました。同時に、英語力にさらに磨きをかけたいというのも理由の1つでした。」 ―なるほど。ではなぜスタンフォード大学病院を選んだのでしょうか。 「1つ目の理由は通訳のインターンシップができるためです。翻訳のインターンシップとは異なり、現状では通訳のインターンシップの数は限られています。2つ目の理由は国境なき医師団に関わっていたこともあって医療の現場に興味を持っていたからです。そして3つ目の理由は卒業された先輩から勧められたためです。」 ―選考過程について教えてください。 「2月中旬に履歴書、志望動機書、推薦状の3点を提出しました。2月末のMIISのキャリアフェアには毎年スタンフォード大学病院も参加していますが、その日の夕方に説明会があり、翌日に面接を受けました。その後、数週間で合格のお返事をいただきました。」 ―では同病院のインターンシップの制度の詳細を教えていただけますか。 「スタンフォード大学病院のインターンシップは4本の柱で成り立っています。全体オリエンテーションを受けた後、①シャドーイング ②通訳 ③翻訳 ④自主研究 に取り組みます。①のシャドーイングとは、通訳の練習方法としてのシャドーイング(テキストを見ずに流れてくる音声を聞きながら影のように後についてその音声を声に出す)のことではなく、〈影のように他の通訳者について回る〉ことを指します。他の通訳者に同行することで様々な現場を体験することができます。これは②の通訳の段階に入る前の事前準備としても行われます。②の通訳については、まず〈1人立ち〉する前に経験者による指導が行われます。通訳経験が豊富なスタッフがインターン生に同行し、通訳の進め方を医師にどのように説明するのか、患者が肌をさらす場面で通訳者はどのように振る舞うのか、などを教授します。また必要な場合にはフィードバックや修正が入ったりします。その後に〈1人立ち〉して通訳業務を行うことになります。③の翻訳についても実際に翻訳を行い、それに対して経験者からのチェックが入ります。④の自主研究は、その日や翌日の業務に関連した事項を大学図書館などを利用して自主的に学習することを指します。単語力や背景知識の強化が目的です。」 ―インターンシップはどのような感じでしたか。 「インターンシップを修了するためには22日間で192時間の業務をこなす必要があります。インターンシップでは給与と食事クーポンが支給されます。実際に日本人の患者さんを通訳する機会は2~3回程度でしたが、授業とは全く異なる現場において初めて通訳を体験することで自分のスキルが役立つことを実感し、やりがいを感じると同時に自信をつけることもできました。病院という特殊な場所の実情を知り、限られた時間の中での効率的な仕事の進め方を学び、加えて医療や製薬という通訳ニーズの高い分野の知識を得ることで将来に役立つスキルを獲得することができました。さらには人間として成長する機会にもなったと思います。」 ―では最後に後輩の皆さんにスタンフォード大学病院のインターンシップを勧めて(笑)ください。 「絶対にお勧めです。通訳経験がそれほど積めない、という理由で敬遠する学生もいると聞きます。しかし上述のような事柄を体験できるのみならず、MIISの卒業生が多く勤務しているのでネットワークづくりにもなりますし、MIISを卒業すればプロとしてあれだけの仕事ができるんだ、と実感することにもつながります。私自身も大変刺激を受け『もっと勉強しなくては』という気にさせられました。通訳の最中にクライアントの反応を直に目にすることができることも醍醐味です。さらには英語ネイティブではないインターン生にとっては英語力をさらに高める機会にもなります。目先のことを考えるのではなく、キャリアという大きな視点からみれば得るものは大きい、と言い切ることができます。」 ―ありがとうございました。 ところでその津崎さんからお知らせがあります。前回の森田のブログでも言及したTEDxが4月13日(金)9:00~16:00[注:カリフォルニア時間(太平洋標準時)]にMIISのあるモントレーにやってきます(http://www.tedxmonterey.org/about/)。テーマは“Sea Change”。このテーマをめぐって海と深い繋がりを持つ多様なプレゼンターたち(http://www.tedxmonterey.org/presenters/)がスピーチを行います。ウェブサイトには次のようにあります。 “TEDxMonterey ‘Sea Change’ will explore our diverse human connections with the land and the sea in order to inspire innovative conservation measures, dynamic discussions, and heightened awareness.” (TEDxモントレーのテーマは「海変」。革新性のある保全策や活発な議論、意識の高揚を目指し、人間と陸・海との多様な関係性を模索します。[森田試訳]) 津崎さんはこのTEDxMontereyの通訳責任者を務められています(http://www.tedxmonterey.org/the-sea-change-team/;下の方に津崎さんの写真あり)。そして津崎さんを中心に日本語プログラム・会議通訳専攻の学生4人(森田もその1人)がセッション2、セッション3で通訳を行うことになりました。そしてその通訳はインターネットを通じて世界中に配信されます(http://www.tedxmonterey.org/livestream/;通訳を聞くには一番下までスクロールダウン)。時間は現地時間でセッション2が13:00~14:30、セッション3が15:00~16:30の予定です(尚、時間が変更になる場合がありますのでお聞きになる前に再度ウェブサイトをご確認ください)。 最後に津崎さんからのメッセージです。「時差などで難しい方もいらっしゃるかも知れませんが、ぜひ私たちの通訳を聞いていただければ幸いです。」

Fall Forum 2011

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Keitaro Morita at 7:07 pm on Friday, February 17, 2012

こんにちは、森田系太郎と申します。ここモントレー国際大学院のT&I(Translation & Interpretation)日本語プログラムの2年次に在籍しており、CI(Conference Interpretation;同時通訳)を専攻しています。 このブログ上では繰り返しになるかも知れませんが、T&Iのプログラムはさらに4つの専攻に分かれています。TLM(Translation Localization Management;翻訳ローカライゼーション管理)、T(Translation;翻訳)、T&I(Translation & Interpretation;翻訳と通訳)、そしてCIです。 このCIまたT&Iの学生のうち希望者が2年次の秋に経験するのが Fall Forumです(ウェブサイトはこちら:http://sites.miis.edu/fallforum2011/)。希望者は、100人以上の収容空間を有すると思われるIrvine講堂で2分程度の逐次通訳を行うことになります。したがって当大学院ではプロの通訳者になるための一種の「通過儀礼rite of passage」の1つとみなされています。または「度胸試し」と言って もよいでしょう。 僕も参加した2011年のFall Forumは11月18日(金)の14時から18時にかけて開催されました。昨年のテーマは「性教育」と刺激的でしたが、今年のテーマも刺激的で “Are You Really Free . . . ?”でした。つまり「あなたは今、本当に自由ですか・・・?」。Forumの紹介文には次のようにありました。 “Many of us take freedom for granted as a universal right, but the struggle for freedom has caused countless conflicts, and even war.”(私たちの多くは自由が1つの普遍的権利であると当然のことのように考えています。しかしこれまで自由を獲得するための闘争によって数知れぬ紛争、時には戦争まで生じています。) 日常生活を何気なく送っていれば問いかけることを忘れてしまうような、虚を突くようなこの命題。これをめぐって3つのセッションが開かれました。 3つのセッションとは「第1セッション:移民」「第2セッション:新しいテクノロジー」「第3セッション:ジェンダー(性)役割」です。当大学院に在籍する様々 な経歴・職歴を持った教員・学生にスピーカーとなってもらい、各テーマについて自国の言語で語ってもらいます。そして参加を決めた通訳を学ぶ学生は通訳者としてスピーチを聞き、ノートを取り、聴衆の前で通訳を披露します。 日本語話者のスピーカーが登場したのは第2、3セッションでした。第2セッションのスピーカーは本校MBAコースに在籍中の日本人留学生で、約1年前に発生した未曾有の災害「東日本大震災」の際にFacebookやTwitter といった新テクノロジーがいかに役立ったのかを、震災当日を振り返りながら話してくださいました。それを日本語プログラムのT&IとCIの学生1人ずつが逐次通訳を行いました。 一方、第3セッションのスピーカーはT&I在籍の日本人留学生で、日本のメディアにおいて同性愛がどのように扱われているのかについて意見を述べました。その後、CIの学生2人が逐次通訳を行いました。この学生2人のうちの1人が僕でした。 当日、自分の出番になるまでは「演台では緊張するかな・・・」と不安を抱えていました。しかし実際始まってみるとノート取りに夢中になり、その結果、それほど緊張しなくても済みました。しかし授業や友人との練習とは異なる大舞台での通訳ということでうまくノートが取れず、最後の方では一時、間が空いてしまってヒヤッとした場面も。ですが最後は何とか無事終わらせることができました。 […]

入学までにしておいた方が良いこと

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chikako Tanada at 10:01 pm on Wednesday, November 30, 2011

みなさん、こんにちは。T&I一年の棚田周子と申します。私は日本の大学を卒業後、東京で3年、ワシントンD.C.で2年、計5年働いてからモントレー国際大学院に来ました。このブログを読んでいる方は、MIISの通訳・翻訳プログラムに興味があり、すでに出願した、もしくは将来出願を考えている方が多いかと思います。今回は、日本語T&Iプログラムを志望している方のために、入学までにしておいた方が良いことについて書こうと思います。 ●母国語の強化 英語ネイティブは日本語、日本語ネイティブは英語の勉強にどうしても重点を置きがちですが、母国語が最も大事であることを忘れてはいけません。外国語を勉強している方であれば、一度は聞いたことがあるかも知れませんが、母国語以上に外国語が上達することはありません。英語も日本語も中途半端なままでは、プロの通訳者・翻訳家としては話になりません。特に日本人の留学生は、出願前はTOEFLやIELTSの勉強に集中してしまいがちですが、日本語の新聞の音読やテレビニュースを見るなどして、日本語力の強化に励みましょう。お勧めの勉強方法の一つとしては、朝日新聞の天声人語を毎日書き写すことです。ご存知の方も多いかと思いますが、天声人語は知識・文章力の向上に役立つとよく言われています。私も大学受験の時や、就職活動のときに天声人語を書き写すようにと言われた覚えがありますが、結局モントレーに来てから、天声人語の書き写しを始めました。課題で忙しい時もあるので全文写すのは大変ですが、 出来るだけ毎日全文書き写し、音読するようにしています。 全文でなくても、毎日5分間、1年続けると効果があるそうです。これは英語ネイティブの日本語力強化にもお勧めです。 MIISのホームページには、入学までの語学力の高め方について書かれたページ(「10 Ways to Prepare」)がありますので、そちらも参考までにご覧下さい。 ●背景知識 通訳者・翻訳家にとって背景知識は非常に重要です。世界情勢を知っておくことはもちろんのこと、政治、経済、テクノロジー、医療など、ここでは挙げきれないくらい多くのトピックを取り扱います。私自身、MIISに入学してから実際の授業で「もっと背景知識があれば…」と痛感することが多々あります。自分の好きな分野はもちろんのこと、苦手な分野についても雑誌や本、ウェブサイトなのでパラレルリーディング(日本語英語の両方で同じ内容のものを読んでみる)すると非常に勉強になると思います。実際、入学後は課題で忙しく、課題以外の勉強時間を見つけるのが非常に大変です。余裕のある入学前に色々な分野の背景知識を身につけておくと、入学後に役立つかと思います。また、日本語と英語では単位換算や数字の表現が違うため、特に通訳の際には苦労します。早いうちに温度や長さ、距離などの単位換算をマスターし、数字表現を自由自在に言えるようにしておくと楽です。さらに、各国首脳・首都や大洋の名前を覚えることと、国際機関などについて勉強しておくこともお勧めします。 ●職務経験 必ずしも職務経験は必要ではありませんが、今年の日本語T&Iの1年生を見ると、大学卒業後2〜3年以上の職務経験がある学生がほとんどです。私は、大学卒業前に「将来通訳・翻訳を勉強する」と決めていたのですが、多くの方から色々な経験があった方が通訳者・翻訳者としての幅が広がるとアドバイスを頂きました。そこで、日本の企業に就職し、転職して海外で働き、大学院に留学するという計画を立てました。実際、大学卒業後は東京にある企業で1年半働き、その後アメリカのワシントンDCにある日本政府機関で2年働き、帰国後は東京の特許法律事務所で1年半働いてからモントレーに来ました。ワシントンD.C.と特許法律事務所では、専門知識や通訳・翻訳業務に通じるスキルを身につけることができましたが、それ以上に、一番最初の会社で日本のビジネスマナーを叩き込まれたことが本当に役立っていると思います。MIISに入学した時点で、先生方は学生のことを「将来の同僚」として見ています。将来の通訳・翻訳のプロとして、時間に正確であることはもちろんのこと、言葉遣いであったり、メールのマナーであったり、些細なことが重要視されています。特に、日本のビジネスマナーは他国に比べて厳しいですが、通訳・翻訳の世界では好まれるマナーだと思います。本で読むよりも、チャンスがあれば実際に働いて、経験してみる方が色々な意味で勉強になると思います。 ここにあるアドバイスはほんの一部にしか過ぎませんが、参考になれば幸いです。すでに出願した方も、これから出願する方も、将来MIISの一員として、みなさんにどこかでお会いできるのを楽しみにしています。

MIISで何を専攻しますか?TLMはいかがですか?

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Matthew Chen at 8:04 am on Tuesday, October 25, 2011

モントレー国際大学院を考えると、翻訳と通訳が思い浮かびませんか。だが、翻訳・ローカリゼーション管理(TLM)という専攻もあると知っていますか。翻訳、テクノロジー、ビジネス管理という三つの科目はTLMで重視しています。 モントレー国際大学院ではどんな授業を取るかを教えます。まず、TLMを専攻している人は普段、第二言語(B言語)から母語(A言語)に翻訳しますが、B言語能力を上達させたい人は幾つかの選択があります。選択科目でA言語からB言語への翻訳の授業も取ることができるし、いわゆるコンテント・コースではB言語で様々なトピックについて勉強することもできます。私は今学期B-A翻訳とコンテント・コースを両方とも取っています。 テクノロジーというと、翻訳メモリー(Trados, Wordfastなど)、機械翻訳、ターミノロジー管理など、翻訳プロセスを効率的にするソフトや技術について学んで、使えるようになります。自分はまだ一年生なのでまだ初心者ですが、そのテクノロジーは翻訳産業に働く人の役に立つということがはっきり分かります。 ビジネス管理に関連している授業は会計学、プロジェクト管理、マーケティングなどです。モントレーに来る前に、ビジネスに対する関心がなかったが、実際に勉強し始めてから面白いと思うようになりました。 TLMを専攻すれば、翻訳者、プロジェクトマネジャーなど、様々な仕事ができます。おまけに、TLMの学位を持っている人は雇用者にとって非常に優先されています。

トドとラッコと自転車

Filed under: Life in Monterey,MIISについて — Chiyo Benjamin at 9:00 pm on Thursday, October 6, 2011

初めまして。T&I一年の森千代と申します。私は日本の大学を卒業してから、ゴールドコースト、ブリスベン、ホノルル、バンクーバーと太平洋湾岸を点々と移動しながらWWFのボランティア翻訳の仕事を続けています。また留学と仕事の合間にピースボートに乗船し、通訳として地球を2周しました。専門は社会言語学で、MIISに来るまで10年近くアカデミックイングリッシュやTOEFLを指導してきましたが、せっかく美しいモントレー、今回は言語学のお話ではなくて、外に出てモントレー湾に生息するすばらしい野生動物たちに会いに行きましょう! 私が初めてモントレーという地名を知ったのは、実家の近くにある葛西水族館で「モントレー湾ジャイアント・ケルプの海」という展示をみた時でした。葛西水族館は、海洋生物学の研究施設としても有名なモントレー水族館の姉妹水族館で、展示の工夫や研究などを共同で行っています。憧れのモントレー水族館を見に来たのは今から5年前。まさか今年から水族館から歩いて5分の場所に暮らすことになるとは思っていませんでした。 朝起きてアパートのダイニングルームから静かな湾の朝焼けに見とれていると、広い空を飛ぶ水鳥、水面を跳ね回るイルカが見えます。海沿いの遊歩道を自転車で行くと、すぐそこにペリカン、アザラシ、ラッコがいます! そんな瞬間は野生動物好きにはまさに天国。うっかり学校へ行くのを忘れてしまいそうになります。 モントレー湾は、広大な水域を誇る国立海洋公園の一部で、小さなものはラッコから、大きなものはシロナガスクジラまで、30種以上の海洋性ほ乳類を観察することができます。また水鳥はペリカンなどおよそ95種。あまりに気軽に野生動物が見れるので、散歩しているだけで、まるで巨大な水族館の展示のなかにいるような錯覚を起こします。 まずなんと言っても興奮するのはラッコ!体長約1.2メートル、体重は25キロから35キロくらいになります。小学校高学年の子供くらいでしょうか?抱いたら意外と大きくて重そうですね。 低温の水中で体温を保つために、ほ乳類のなかで最も分厚い毛皮をきているラッコ。二重構造になっている毛皮は、1平方インチに約100万本の毛が生えています。ちなみに人間の頭髪は多い人でも10万本。ラッコはこの密度の高い毛と毛の間に気泡をためて、体温を暖かく保つことができます。 つやつやで暖かい毛皮を保つためには、こまめな毛繕いの他に、大量に食事をすることが不可欠。体温を保つために自分の体重の4分の1に相当する量の食事をします。これは体重が60キロの人だったら、毎日15キロ以上の食物(ご飯一膳分が約150グラムなので、一日100膳!)を食べている計算になります。ラッコの食事はカニ、ウニ、ムール貝などのグルメなメニュー。海底に潜って採ってきてから、水面に戻ってお腹をテーブルにして食べる姿はかわいすぎて、もうなんと言ったらいいかわかりません。実はラッコの前足には小さなポケットがついていて、貝類などをそのポケットにしまっておけるので、一度の潜水でたくさん集めることができるのです。あー、かわいいぃ! かつてはメキシコからカナダ、果ては日本の沿岸まで生息していたラッコ。しかし1800年代に乱獲されほぼ絶滅寸前。カリフォルニア近海でも一時約50頭まで激減してしまいました。現在はおよそ2000頭いると推測されていますが、周辺でオイルタンカー事故が起きたら一気に全滅する可能性があるとされています。 さて、お次はトド。実は私は、彼らがトドなのか、アザラシなのか、アシカなのか、オットセイなのか、彼らの何が違うのか、あるいは各種混ざって集合しているのかよくわかっていないないのですが、夜街が静かになると聞こえてくる海の大合唱。はじめは何事かと思ってうちの猫といっしょにどきどきしていましたが、大きな犬が吠えているような特徴的な吠え声はかなり遠くまで届き、モントレーならではの風物詩と言えるでしょう。気持ち良さそうに薄目(時々片目!)をあけて頭だけだして水につかっている姿は、まさに温泉につかる禿げたヒゲおじさん。どこなく懐かしいような、、、。 トドは時々こちらに向かって手を振っているように見えますが、このジェスチャーは、実は前足で太陽の熱を吸収し、低温の水中で体温を保つためにしています。食事のメニューは魚のほかに、イカやタコが好きで、成体は体長2.5メートル、体重はメスで100キロ、オスは350キロ近くにもなります。 近くにいくと圧倒的な威圧感。一度ナミビアで小さなボートに乗っていたときにトドがひなたぼっこをしにボートに乗り込んできた事があって一瞬凍りつきましたが、その後は気持ち良さそうに目をつぶってひたすらじーっと座っていた(寝てた?)ので、結局抱きついていっしょに写真をとりました。ぬれているときはゴムのようにつるつるに見える毛皮ですが、乾いてくると細い毛がかなりの密度で分厚い脂肪の層の上に生えている事がわかります。ちなみに、モントレーで見かけるアザラシは背中に斑点模様のあるゴマフアザラシのようです。あぁ、ここはゴマちゃんの楽園。 そして忘れてはならないのがカマイルカ。モントレー湾のなかを縦横無尽に飛び跳ねています。カマイルカは何千頭もの群れを作って泳ぎ、病気やけがをした個体がいるとお互いに世話をします。このような大きな群れを作って行動しているため、非常に発達したコミュニケーション能力を持ち、個体認識のためになんと一頭づつそれぞれ違う口笛を吹きます!まだ幼いイルカは、ヒレを使って近くを泳ぐ大人のイルカとコミュニケーションをとります。 モントレーにはまだまだこの他にも野生動物たちがたくさん!そんな生き物たちを眺めながら自転車で海沿いをのんびり行けば、忙しいスケジュールの疲れもストレスも一気に吹き飛ばしてくれます!そんな大自然に囲まれたモントレーを一度見に来てくださいね。 (文責:森千代)

翻訳・通訳プログラムの魅力

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Nami Hijikata at 9:11 pm on Tuesday, September 27, 2011

モントレー国際大学院(Monterey Institute of International Studies, MIIS)の翻訳・通訳プログラムは、世界有数の翻訳・通訳者育成機関として知られ、“MIISマフィア”と呼ばれる数多くの卒業生が世界各国の第一線で活躍しています。 翻訳・通訳プログラムでは、翻訳・通訳(T&I)、会議通訳(CI)、翻訳(T)、翻訳・ローカリゼーション管理(TLM)の4種類の修士号を取得することができます。英語と組み合わせる言語は、日本語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語の中から1~2言語を選択します。 筆者は日本でフリーランス翻訳者として3年ほどの実務経験があったので、Advanced Entry(AE)という制度を使い、2年生に編入しました。あまり長く実務を離れることには不安があったので、AE制度を使うと1年で修士号を取得できることは、MIISを選択するうえで大きな決め手になりました。 1985年に開設された日本語コースは、現在1学年10人強の小所帯です。伸張著しい中国語コース(1学年60人ほど)に押され気味の感もありますが、実習が少人数で行われ、学生同士の仲も良く、勉強しやすい環境です。 日本語を母国語とする学生と、英語を母国語とする学生が一緒に勉強する、というのもMIISの特色です。今年の日本語コースの2年生13人のうち、7人は日本人、5人は米国人、そして1人は英日仏3カ国語を自在に操るフランス人です。1年生は多少米国人が多めですが、どの学年も英語ネイティブと日本語ネイティブのバランスがとれています。 翻訳者として働いていると、どうしても意味のつかめない表現に出くわすことが少なくありません。ネイティブスピーカーに確認しようにも、翻訳者に求められる緻密さをもって、微妙なニュアンスの違いまで説明してくれる相手はなかなかいないものです。 優れた翻訳・通訳者になる、という同じ志を持ち、在学中はもちろん卒業後もサポートしあえる仲間とめぐりあえること――それはMIISで翻訳・通訳を学ぶことの大きな魅力の1つといえるでしょう。 (文責:土方奈美)

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