モントレーでの一年を振り返る

今回は、期末試験も始まり、もうすぐ二年生ということで、一年を振り返る回にしたいと思います。また、これから一年生がMIISに入学されるということもあり、事前にモントレーで何が出来るのか、お話しすることにします。   まずは勉強面。一学期目は様々なトピックに関して翻訳や通訳の練習をし、手広く浅く、翻訳とは何か、通訳とは何かを学ぶ、習うより慣れる日々でした。カバーした分野は観光、レシピ、政治、文化、経済などなど。僕は他にもTLM(翻訳ローカライゼーションマネージメント)のクラスを二つ(翻訳支援ツールとローカライゼーションマネージメントの授業)選択科目として取りました。元々はCI(会議通訳)の修士を考えていたので、これらの授業は必修ではなかったのですが、とても興味のあるトピックでしたので、履修しました。TLMの授業の良いところは、他の言語を学んでいる学生と一緒に授業を履修できることです。他の言語の通訳や翻訳のビジネス環境などを知る良い機会でもあるので、オススメです。また、将来授業で知り合った学生から仕事をいただくこともあるかもしれません。TLMの学生は翻訳マネジメントを学んでいるので、将来のクライアント候補なのです。   二学期目は翻訳と通訳のコースを全て履修すると、それだけで16単位に達してしまいます。僕もTLMの授業は一つも取れませんでした。また、二学期目は経済や金融関係にフォーカスした授業構成となるため、最近の出来事などの背景知識が大事になってきます。普段からニュースを読み聞きしている必要があります。池上彰さんの本や、柴田真一さんの『図解式金融英語の基礎知識』などを読んでおくと良いと思います。僕は週刊誌や本など比較的よく書けているものを写経すると表現力の向上に役立つと言われたので、数分だけでも日々ニューズウィークなどの文章を書き写すようにしています。   生活面の話もしたいと思います。とても苦労したのは、家探しです。僕は最終的にはルームメイトを見つけてふたり暮らしをしています。それも、3日で家は見つかるだろうと思って泊まっていたホステルから出ていかなくてはならない日にフェイスブックを通して出会ったルームメイトと住んでいます。ひとりで部屋を探すよりも気の合う友だちをまず探したほうが良いかもしれません。たとえ好条件の物件を見つけたとしても、ルームメイトと上手くいかないと生活は大変です。僕とルームメイトはお互い日本人で家のものは共通口座で買っています。まずは、先輩を見つけて部屋の空きがないかを聞くなどすると良いかもしれません。きっと親身になって助けてくれるでしょう。   あとは、健康管理ですね。日本食が食べたい場合は車を持っている人に頼んでサンノゼのミツワに連れて行ってもらうと良いでしょう。ミツワは日本の食品が買えるスーパーです。ジムやスポーツ施設は日本よりずっと安く、豊富なので、心配ありません。モントレーペニンシュラカレッジでは無料でジムやテニスコート等が一般に開放されています。テニスラケットも日本の半額程度で手に入ります。学校には卓球台もありますし、ズンバなども無料で出来ます。   これから二年生になる僕たちは新入生が入学されるのを楽しみにしていますし、内心自分たちが先輩でいいのだろうかなどと心配したりしています。一緒に切磋琢磨出来ればと思います。 先輩方とも同級生ともしばらくお別れです。皆さんが実り多き夏を過ごされることを心より祈っています。 「待てといふにとまらぬものと知りながらしひてぞ惜しき春の別れは」 読人しらず

デポジション通訳

Filed under: MIISについて,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Celine Browning at 9:06 pm on Sunday, April 28, 2013

今回は先週の土曜日に行われた2年生のデポジション(証言録取)通訳の授業についてお話しします。 デポジションとは、裁判に備えて法廷外で証人が宣誓して行なう証言の録取です。このような場では通訳の正確さと厳密さが特に問われます。日本語学科では、ほぼ毎年デポジション通訳の授業が行われています。今年は両学年とも人数が少ないことから、1年生が証人や弁護士の台詞を読む機会を頂きました。2年生は通訳者とチェッカーの役割を担当しました。以前このブログでもご紹介した武田珂代子先生の東京裁判の通訳で説明されたチェッカーの重要性も改めて認識しました。 2年生の期末試験およびプロフェッショナル試験を目前に控えたこの授業に参加するのは、私たち1年生にとってとても良い経験になりました。先輩方にとってはMIISでの勉強の締めのようなもので、間近で先輩方の通訳、ノートテーキング、チェック等を見ることができたのはとても勉強になりました。聞いていて問題が無かったと思う訳も、先生のコメントによるとヌケや付け足しがあるなど、気がつかなかった点が多数指摘されていました。このようなデポジションの場では、本当に一語一句正確に訳しなければいけない事の大切さを痛感しました。 先輩方が逐次も同時通訳も本当に立派にこなせているのを見ると来年の新入生に同じ姿を見せられるかが少し気になります…

TEDxMontereyでの日本語通訳

Filed under: MIISについて,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Satoko Kanamori at 10:20 pm on Monday, April 22, 2013

2013年4月13日にモントレー国際大学院の講堂で、TEDxMontereyというイベントが開かれました。TEDというのは日本でもお馴染みの講演会で、様々な分野(学術、テクノロジー、デザイン、エンターテイメントなど)についてプレゼンターが面白いアイディアや発見を説明してくれるイベントです。TEDxのxは、独自に企画されたという意味で、TED本体に似たような経験ができる場として各地で広まりました。   TEDxMontereyは、入場券を買って生で聴くこともできるのですが、当日、私はイベントのライブストリーミングで日本語の通訳を聴くことにしました。今回は、2年生のマット・コルピッツさんと森千代さんが同時通訳を担当しました。まず気づいたのが、通訳だけを聴く機会がこれまで少なかったということです。授業中は自分自身が通訳をしているので、必ず原文も聴いています。クラスメートの通訳だけを聴く場合もありますが、原文を考えずに通訳だけに集中するというのは、難しいものです。しかし、今回のTEDxでは、オリジナルのプレゼンは聞かずに通訳だけを聴くことにしました。2年生のお二人は、とても上手な通訳をしていました。文章構成もきれいで、プレゼンの中に出てくる専門用語も確実に押さえていました。オリジナルのプレゼンを聴かない分、通訳に頼り、通訳の重要性を改めて考えさせてくれる機会にもなりました。   TEDxMontereyは日本語だけではなく、中国語、韓国語、スペイン語、ドイツ語、フランス語の学生が同時通訳をしました。また、プレゼンのトピックも様々で、日本語通訳のお二人がカバーしたものは、種子銀行の写真撮影、アイデンティティ、アフリカの水問題、小魚や絵本の紹介でした。様々なトピックを取り上げるため準備も大変だと思いますが、準備の大切さも改めて痛感しました。来年はこのようなイベントで通訳ができるように励みたいと思います。

通訳クラスとの合同プレゼンテーション

Filed under: MIISについて,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Kentaro Tamai at 11:50 pm on Wednesday, April 10, 2013

皆さん、こんにちは。国際経営学(MBA)専攻の玉井です。今回はモントレー国際大学院の特徴的な授業の様子についてお話していきたいと思います。 MIISのMBAプログラムには、会計学、経済学、統計学のようなビジネス系の必修クラスの他に、外国語のクラスもプログラムに含まれています。通訳・翻訳や英語教授法を専攻していない学生は「English for Academic and Professional Purposes」という英語の授業を取ることが基本になっており、現在の受講生においては主に日本、中国、エジプト、サウジアラビアなど英語圏以外の学生がいます。この授業では英語論文の書き方やプレゼンテーションの仕方などを学ぶことができ、私のような英語圏の大学出身でなかったり英語をメジャーとしていなかった学生にはとても有意義なクラスとなっています。 私が今学期受けている英語の授業は「Intercultural Competence in the US and English Skills Development」といい、文化、人種、宗教、言語など異なる背景から生ずる問題について学ぶことを目的としています。先日4月5日、この授業においてプレゼンテーションセッションがありました。パネリスト6人がそれぞれのテーマに添ったプレゼンテーションを行い、その後パネルディスカッションや質疑応答が行われました。 今回のプレゼンテーションのテーマは「American Dream」だったのですが、 各々の発表内容としては、「メディアが与えるアメリカンドリームへの影響」「アフガニスタン移民としてのアメリカンドリーム」「アメリカと中国の成功に対する考え方の比較」「日本の英語教育に対する考察」などでした。プレゼンターの出身国も様々だったため、アメリカンドリームというテーマ一つでも異なる考え方やプレゼンテーションの手法を学ぶことができました。 このプレゼンテーションセッションのユニークな点としては、通訳クラスと合同で行ったということが挙げられます。MIISには会議通訳コースがあり、このようなクラスでは通訳クラスの生徒が同時通訳を行なってくれることがあります。今回のセッションではフランス語通訳クラスと合同で行い、6人のプレゼンターのうち3人が英語、3人がフランス語で発表を行いました。フランス語話者でない参加者はトランシーバーのような機械を装着し、会議場の後方にある専用ブースから同時通訳された英語を聞くことができました。 私自身は発表せず観客として参加したのですが、プレゼンターの内容や発表方法をメモしたり質疑応答時に質問をするなど、この貴重な機会を活用することができました。このようなプログラムを越えた合同スタイルの授業は、MIISの卒業生が国際ビジネスの世界や国連、国際機関のような環境で活躍していく上で、視野を広げる効果的なカリキュラムであると感じました。 4月も中旬に差し掛かり、1年目のプログラムもあと少しとなってきましたが、授業や日々の生活から留学生活を充実させたものにして行きたいと思います。

MIIS国際環境政策プログラム(IEP)について

Filed under: MIISについて — Kaori Fujiki at 9:06 pm on Tuesday, April 2, 2013

こんにちは。国際環境政策(以下、IEP)専攻2年生の藤木です。 今回は予告通り、IEPの具体的なクラスとその様子や、日々のスケジュール等をお届けします。 IEPのカリキュラムは、必修科目24単位、選択科目24単位及び外国語12単位の、合計60~64単位で構成されています。専門コースとして4コース(ビジネス・サステナビリティと開発、エネルギーと気候変動、自然資源政策とマネジメント、海洋及び沿岸資源管理)が設定されています。詳しい情報はこちらのリンクをご参照ください: http://www.miis.edu/academics/programs/environmentalpolicy/curriculum 必修科目には、「環境政策の為の基礎自然科学」「環境法と政策」等、環境政策を扱うにあたって必要な各分野の基礎を全般的にカバーするクラスが並びます。選択科目には、より専門性の高い科目が用意されています。例えば、私は先学期、ビジネス・サステナビリティと開発コース上にある「ビジネス・サステナビリティと社会」というクラスで、企業のサステナビリティ・アセスメント・プロジェクトとして、4人グループでデンマークの大手商船会社のアセスメントを行いました。アセスメントに必要な要素やツールを授業で学びながら、実際に関係者にインタビュー等をしてペーパーをまとめる、実践的で面白い経験ができました。 必須科目のクラスは15〜30人程度と比較的多人数で講義形式のクラスが多いですが、選択科目は8〜10人程度でディスカッションメインのセミナー形式クラスが大半です。2012年秋学期から、IEPとMBAのジョイント・ディグリー・プログラムが新しく創設され、IEPのクラスを受講するMBAの学生が大幅に増えました。その為、クラス毎の人数は以前より全体的に多くなっている傾向ですが、その分学生の意見の幅も広がり、クラス内でのディスカッション内容も、純粋な環境保護視点からビジネス寄りの視点まで、より多様になったというのが、個人的な見解です。 IEPの大半のクラスにおいて、成績評価はテストではなくペーパーと日々の宿題や授業参加によって行われます。プレゼンテーションが多いのも、IEPの特徴の様です。各クラス最低1〜2回は、個人又はグループでのプレゼンテーションが課されます。 IEP学生の日々のスケジュールは、アメリカの大学院生としてはごく平均的なものではないかと思います。私の1学期目のスケジュールは、月〜木に2時間授業が2コマずつあり、金土日はオフでした。月〜木は授業外時間をほぼ図書館で宿題に費やし、帰宅は通常夜10~12時頃でした。金土日は午前中寝坊して家事や買い出し等をしつつ、再び宿題の続きをする、といった感じでした。2学期目以降の平日も、授業以外はほとんど宿題かグループミーティングのどちらかをしていました。 私の場合、英語ネイティブスピーカーや帰国子女の方達と比べてリーディングのスピードが圧倒的に劣るため、日々大量のリーディングをこなすのに最初は特に苦労しました。英語との奮闘については、次回詳しく書きたいと思います。 最近モントレーはめっきり春らしくなり、ハイキング日和が続いています。写真は、モントレーから車で20分程のところにあるハイキングコースでの一場面です。 それではまた。

通訳・翻訳者にも息抜きは必要!〜健康管理について〜

Filed under: Free Time,MIISについて — Celine Browning at 11:36 am on Monday, March 25, 2013

皆様、やわらかな春の日差しがうれしい季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。モントレーで桜はもう満開を迎えました。 さて、キャリアフェアや中間試験が終わったということで、この度は健康管理についてお話させていただきます。 今学期から校内で多くのKeep Calm Wellness Series(平静を維持するための講座)を目にします。これは、学校が学生の健康を気遣って提供してくださっているプログラムです。具体的には、バランスを保つためのアドバイス、頭と体を一体化させるためのアドバイス、ストレス管理のためのアドバイス、平静を保つためのストレッチ講座のように分類されています。四つとも受講することが可能ならそれに越したことはありません。しかし、授業や個々別々の理由などで本校の学生は多忙です。ですので、一つの講座だけ受講しても最大の利益を得られるように工夫されています。(特に春学期は秋学期に比べて大変ということもあり、この講座は春学期に行われています。) そのほかにも、本学のウェブサイトには学生がどのように心や体の健康管理をするべきかのガイドラインが書いてあります。忙しい大学院生にとって欠かせないのはなんといっても運動です。ウェブサイトによりますと運動にはいくつかの利点があります。 1)気分の向上 2)体重管理 3)エネルギーレベルの増加 4)睡眠の質の向上 5)運動の楽しさ 等があります。確かに、気分も良くなく睡眠も充分に取れていなければ体や脳はフルに働きません。体重も増加しエネルギーも低下します。効率よく勉強するには毎日適度な運動が不可欠です。ここモントレーは自然環境に恵まれているので、軽いウォーキングやランニング、サイクリングやその他屋外の運動に最適です。もちろん、ジムやその他様々なダンスやエクササイズの選択肢も数多くあります。 次に重要なのは栄養です。近年、忙しい学生や社会人は朝食を食べない傾向が見られるようになってきています。しかし、朝食を食べなければ脳は目覚めません。食物繊維やカルシウムも不足しがちです。バランスのいい食生活を維持することは体重・健康管理、効率的な勉強にもつながりますし、バランスの取れたメニューを考えて料理をするのも息抜きの一種になります。さらに、よく忘れがちなのは水を飲むことです。食べるのと同じくらい,水を摂取することは大切です。健康を気遣いながら体の訴えることに敏感になることでストレスも減り、もう少しゆとりのある毎日が過ごせるのではないのでしょうか。不眠や睡眠不足などの解消法や、8時間の睡眠をとることの重要性なども同サイトに載っています。日頃の生活に生かしてみてはいかがでしょうか。 モントレーには世界的にも有名な水族館、モントレー美術館、カーメル・ミッション、歴史街道、その他様々な身近で簡単なレクリエーションにあふれています。ショッピングもアートからファッションまで様々です。サンフランシスコや和食材が購入できるサンノゼもそれほど遠くありません。少しの時間の管理や運動、ストレス解消を日々の生活に取り入れることでパターン化しつつある毎日も有意義なものに変化します。時間がないと決めつけず、一度試してみることをお勧めします。 春休みということもあり、私は今まで訪れたことのない、南部・ルイジアナ州に足を運びました。新しいところには発見が沢山あります。同じアメリカでも食生活、言葉遣い、文化が大きく異なり、教室では学べないことがたくさんありました。さらには同じカリフォルニア州南部のサンディエゴ郊外、デルマールにも行きました。同じ州でも北部、南部とで景色にも雰囲気にも違いが見られます。本学で学んでいる間、機会があれば国内の多様な文化や生活様式が体験できますので、勇気を出して遊びに行くのをお勧めします。 では、残りの数週間の学校生活を有意義で健康に良いものにできるように頑張りましょう!

2013年 キャリアフェア

Filed under: MIISについて,Professional Development,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Satoko Kanamori at 11:51 pm on Wednesday, March 20, 2013

2013年3月8日にモントレー国際大学院でキャリアフェアが行なわれました。大学院の近くにあるポルトラホテルの会議場で開かれ、100社の企業・国際機関等が参加しました。CIAからeBay、多くの翻訳会社などがブースを設置し、お話を伺う機会が与えられました。キャリアフェアの2週間ほど前から、学校でこのイベントのためのセミナーが多くあり、履歴書・面接対策セミナーなどに参加することができます。セミナーでは、就職アドバイザーからどの企業に回ればいいかなどの助言を得たり、他の生徒と面接の練習をしたりと内容は様々です。 キャリアフェア当日は、スーツ姿の生徒が履歴書を片手にぞろぞろとホテルに向かいます。アメリカは日本と比べると堅苦しくない部分が多いとは言え、日本語翻訳・通訳科の生徒の場合、アメリカに拠点のある日本企業の人と会うことが多いので、日本式の就職活動にも似ているところはあります。 1年生は、インターンシップに申し込む時期なので、キャリアフェアの週に開かれる企業のプレゼンテーションに参加します。キャリアフェア当日は、自分の決めた企業のブースを回り、履歴書・名刺を渡して自己紹介し、仕事内容などの説明を受け、質問などをします。その場で企業側が翌日に面接をしたいと希望することもあります。2年生も同じようなことをするのですが、インターンシップよりも主に卒業後の就職活動をする機会として活用します。 日本語翻訳・通訳科のインターンシップ・就職先は翻訳会社を除くとそこまで多くはないのですが、今回は、5つの企業が積極的に日本語プログラムの生徒をリクルートしていました。特許や自動車からゴルフまでと仕事内容も様々ですし、インターシップの場合は、夏休み中に翻訳か通訳、どちらを集中してやりたいのかを決めなくてはいけません。 また、キャリアフェアにおいて重要なのが、下調べです。どの企業がどのような生徒を採用したいのかを調べ、それが自分、そして自分のやりたいことと一致しているのかを見極めるのは、非常に大切です。様々な企業が参加するため、キャリアフェアはモントレー国際大学院が企画する極めて有意義なイベントの一つです。

一年生の逐次通訳実践〜武田珂代子先生による講演会を控えて

Filed under: MIISについて,Professional Development,T&I Student Life — Celine Browning at 10:36 pm on Sunday, February 17, 2013

春まだ浅いこのごろですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 さて、前回は二学期についての記事でしたが、今回は来週予定されている武田珂代子先生の講演会について書きたいと思います。 まずは、武田先生の簡単なご紹介です。武田先生は現在、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科教授としてご活躍されています。先生のご専門は、通訳翻訳研究で、ご自身は本学の通訳・翻訳学科を卒業されています。1994年から本学で教鞭をとられ、その間、本学教員でもいらっしゃるアンソニー・ピム教授の下、スペインのロビラ・イ・ビリジリ大学で博士号を習得されました。 さて、このたびのご講演は、武田先生の博士論文のテーマでもありました「東京裁判における通訳」についてです。今回はなんと私たち一年生に通訳の機会が巡ってきました。一年生がこのような講演の逐次通訳を本学で行うのは初めてのことです。これまで二回ほど二年生の先輩方の逐次通訳を見る機会がありました。その二年生の前や先生方の前で通訳に挑戦するのは、いくら私たちが将来プロを目指しているといえども、かなりの緊張を強いられるものです。 来週に向け、通訳担当者の私たちは様々な準備をしています。例えば、武田先生についてのリサーチは言うまでもありません。先生についてのご紹介などのとき、知識不足で正確な訳ができなくては話になりません。次に,英語と日本語で先生の著書を読むことも必須です。これは、先生が使われる東京裁判関連の用語を両言語で把握しておくためです。これらの単語をまとめた用語集も作成します。さらに、インターネットなどで調べられる範囲で東京裁判や通訳、そのほか関連性のある内容にも一通り目をとおしておきます。 先生のご講演は来週の金曜日です。ですので、次回のブログはもう一人の通訳を担当する一年生の事後発表になるかと思います。私たちはまだ経験の浅い一年生ではありますが、またとない機会をいただいた以上、恥をかかないよう頑張りたいと思います。 では、次回をお楽しみに…

メガコンセク授業

Filed under: MIISについて,T&I Student Life — Shinichiro Tanaka at 8:53 pm on Saturday, November 24, 2012

皆さんこんにちは。今回はMIISならではのメガコンセク(合同逐次通訳)授業について話したいと思います。 メガコンセクとは、他言語の通訳生と一緒に通訳の演習を行うという授業です。具体的には、各言語2人または3人のグループとして参加し、別言語の同規模グループとお互い英語以外の発言を英語に通訳し、それをまた別のスピーカーの言語に通訳していくというリレー通訳方式の授業です。 どのような感じで授業が進行したかは下記の図をご参照ください。今回僕は2対2でスペイン語通訳の方々と通訳の練習をしたので、そのときの様子を図にしました。 今回面白かったのは、自分自身が2人の通訳者に通訳してもらえるという点ですね。自分が話すときはノートとらなくて良いのだなと思ってほっとしていました(笑)。それと、普段は日本語から英語への通訳でワンクッションおくだけなのが、今回はスペイン語も混じっていたので2クッションあったのが面白かったですね。タイムラグが普段より長かったのですが、通訳が淡々と訳していたので安心して話せました。スピーカーと通訳者の信頼関係も大事だと感じました。普段から一緒に授業をしている仲間なので、安心して任せられます。 あと、興味深かったのは文化的な違いです。スペイン語圏の文化のようなのですが、話している間によく「ちっ」と舌打ちするのですね。これはどうやら今考えていますというメッセージらしく、悪気は全くないようです。そして、特に直すようなものでもないらしいということにびっくりしました。日本だと結構不快に思われる方も多いと思いますので。逆に、日本語で南アメリカとスペインのスペイン語の違いという風に話したとき、相手側にラテンアメリカです、と訂正されました。メキシコの方だったので、メキシコは北アメリカに属しているため、これは失礼だったと感じました。スピーカーが南アメリカと言っていたので訳としては良かったのですが、他国の人と仕事をする場合は相手に失礼のないように言葉を選ばないといけないと痛感しました。 このように、MIISにはいろんな国の通訳者が集うので、その特徴を生かした教育を受けることができます。今後もこの恵まれた環境を生かし、がんばって精進していきたいと思います。 モントレーの海岸です。アザラシが気持ちよさそうに寝そべっています。適度に散歩をしたり、ジムに通うなどして毎日を健康に過ごしたいと思っています。

フォール・フォーラム

Filed under: MIISについて,Professional Development — Celine Browning at 12:12 am on Tuesday, November 20, 2012

皆様、秋も深まり冬が近づきつつありますが、いかがお過ごしでしょうか?ここモントレー国際大学院では、先日フォール・フォーラムというイベントが開催されました。 フォール・フォーラムとは、主に通訳・翻訳課程の2年生が中心となって行うパネルディスカッションです。しかし、一般的なパネルディスカッションとはやはり少し違います。なぜなら、本学の学生が7言語で話される内容を英語に逐次通訳するという一面があるからです。この機会を通して1年生や学外の人が本学の通訳・翻訳課程の内容や質の高さを知ることができ、2年生は卒業してプロになる前の本格的な実績を積むことができます。本学の通訳・翻訳学科以外の学生も通訳がどのように異文化間コミュニケーションを可能にするのかがわかります。この催しは普段あまり関わりを持たない学科間の交流の場にもなります。 今回のフォーラムのテーマはスポーツでした。健康、経済、文化、ジェンダーなどの様々な観点からスポーツが論じられました。三つのパネルディスカッションがあり、テーマは次の通りでした。 1.Sports and Health: Run for Your Life! 2.Sports and Money: A Zero Sum Game? 3.Sports and Culture: Must have Balls to Play? スピーカーにはもちろん通訳・翻訳学科の学生もいますが、スペイン出身の元アスリートの地質学者や、本学科のセネガル出身の教授、MBA課程の学生、ロシア出身のフリーランス翻訳者、国際環境政策学科のセネガル出身の学生(フランス語)、さらには中国出身の国防総省語学研修所(DLI)の教授などが参加されました。 たとえば二つ目のパネルでは、中国語>英語>スペイン語>英語>ドイツ語>英語>中国語の通訳が行なわれました。まず、モデレーターの中国語の質問を中国語科の学生が英訳します。それにスペイン語のスピーカーが答え、スペイン語科の学生が英訳します。さらにドイツ語の質問が続き、それがまた英訳され、最後には中国語のスピーカーが回答するといった具合です。 このフォーラムを通じて最も目についたことは翻訳・通訳学科での各言語ごとのスタイルの違いです。たとえば、日本語のスピーカーや通訳者の場合はやはり、動作や話し方の格調の高さに、特に注意が払われます。逆にスペイン語の場合は、スピーカーの話す速度がとても速く、カジュアルに感じます。手の動きも話者、通訳者の両者ともに惜しみなく導入し、話者の話し方を再現する通訳者もいました。ロシア語の場合は静かで落ち着きがあり、身振り手振りもありませんでした。とてもプロ意識の高い学科だと実感しました。中国語は本学で最も学生数の多い分野ですが、内容、話し方ともにとても質が高いものでした。 一つ気づいた重要な点は、通訳者が笑顔で話すと気分良く聞くことができるということです。 アイコンタクトについても、常にではなくてもある程度の間を置いて客席を見ることにより、聞いている側は親近感を覚えます。もう一つ重要な点は、通訳者が適切な訳語を考え出せない時でも、わからない事を声や態度で示さず、堂々といかにも自信のあるように話せば聴衆の信頼を損なわないという事です。同じように、たとえば通訳者が服をいじったりペンを回したりすると、聞いている側は不安を覚えてしまいます。このような多言語の通訳を見ることにより、様々な真似るべき点、注意すべき点を再認識することができました。 このように本学では1年を通して逐次、同時通訳の本格的な実践を積む様々な機会があります。春学期にはTEDxトークというイベントがあるので、報告をどうぞお楽しみに。

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