モントレーでの一年を振り返る

今回は、期末試験も始まり、もうすぐ二年生ということで、一年を振り返る回にしたいと思います。また、これから一年生がMIISに入学されるということもあり、事前にモントレーで何が出来るのか、お話しすることにします。   まずは勉強面。一学期目は様々なトピックに関して翻訳や通訳の練習をし、手広く浅く、翻訳とは何か、通訳とは何かを学ぶ、習うより慣れる日々でした。カバーした分野は観光、レシピ、政治、文化、経済などなど。僕は他にもTLM(翻訳ローカライゼーションマネージメント)のクラスを二つ(翻訳支援ツールとローカライゼーションマネージメントの授業)選択科目として取りました。元々はCI(会議通訳)の修士を考えていたので、これらの授業は必修ではなかったのですが、とても興味のあるトピックでしたので、履修しました。TLMの授業の良いところは、他の言語を学んでいる学生と一緒に授業を履修できることです。他の言語の通訳や翻訳のビジネス環境などを知る良い機会でもあるので、オススメです。また、将来授業で知り合った学生から仕事をいただくこともあるかもしれません。TLMの学生は翻訳マネジメントを学んでいるので、将来のクライアント候補なのです。   二学期目は翻訳と通訳のコースを全て履修すると、それだけで16単位に達してしまいます。僕もTLMの授業は一つも取れませんでした。また、二学期目は経済や金融関係にフォーカスした授業構成となるため、最近の出来事などの背景知識が大事になってきます。普段からニュースを読み聞きしている必要があります。池上彰さんの本や、柴田真一さんの『図解式金融英語の基礎知識』などを読んでおくと良いと思います。僕は週刊誌や本など比較的よく書けているものを写経すると表現力の向上に役立つと言われたので、数分だけでも日々ニューズウィークなどの文章を書き写すようにしています。   生活面の話もしたいと思います。とても苦労したのは、家探しです。僕は最終的にはルームメイトを見つけてふたり暮らしをしています。それも、3日で家は見つかるだろうと思って泊まっていたホステルから出ていかなくてはならない日にフェイスブックを通して出会ったルームメイトと住んでいます。ひとりで部屋を探すよりも気の合う友だちをまず探したほうが良いかもしれません。たとえ好条件の物件を見つけたとしても、ルームメイトと上手くいかないと生活は大変です。僕とルームメイトはお互い日本人で家のものは共通口座で買っています。まずは、先輩を見つけて部屋の空きがないかを聞くなどすると良いかもしれません。きっと親身になって助けてくれるでしょう。   あとは、健康管理ですね。日本食が食べたい場合は車を持っている人に頼んでサンノゼのミツワに連れて行ってもらうと良いでしょう。ミツワは日本の食品が買えるスーパーです。ジムやスポーツ施設は日本よりずっと安く、豊富なので、心配ありません。モントレーペニンシュラカレッジでは無料でジムやテニスコート等が一般に開放されています。テニスラケットも日本の半額程度で手に入ります。学校には卓球台もありますし、ズンバなども無料で出来ます。   これから二年生になる僕たちは新入生が入学されるのを楽しみにしていますし、内心自分たちが先輩でいいのだろうかなどと心配したりしています。一緒に切磋琢磨出来ればと思います。 先輩方とも同級生ともしばらくお別れです。皆さんが実り多き夏を過ごされることを心より祈っています。 「待てといふにとまらぬものと知りながらしひてぞ惜しき春の別れは」 読人しらず

デポジション通訳

Filed under: MIISについて,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Celine Browning at 9:06 pm on Sunday, April 28, 2013

今回は先週の土曜日に行われた2年生のデポジション(証言録取)通訳の授業についてお話しします。 デポジションとは、裁判に備えて法廷外で証人が宣誓して行なう証言の録取です。このような場では通訳の正確さと厳密さが特に問われます。日本語学科では、ほぼ毎年デポジション通訳の授業が行われています。今年は両学年とも人数が少ないことから、1年生が証人や弁護士の台詞を読む機会を頂きました。2年生は通訳者とチェッカーの役割を担当しました。以前このブログでもご紹介した武田珂代子先生の東京裁判の通訳で説明されたチェッカーの重要性も改めて認識しました。 2年生の期末試験およびプロフェッショナル試験を目前に控えたこの授業に参加するのは、私たち1年生にとってとても良い経験になりました。先輩方にとってはMIISでの勉強の締めのようなもので、間近で先輩方の通訳、ノートテーキング、チェック等を見ることができたのはとても勉強になりました。聞いていて問題が無かったと思う訳も、先生のコメントによるとヌケや付け足しがあるなど、気がつかなかった点が多数指摘されていました。このようなデポジションの場では、本当に一語一句正確に訳しなければいけない事の大切さを痛感しました。 先輩方が逐次も同時通訳も本当に立派にこなせているのを見ると来年の新入生に同じ姿を見せられるかが少し気になります…

TEDxMontereyでの日本語通訳

Filed under: MIISについて,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Satoko Kanamori at 10:20 pm on Monday, April 22, 2013

2013年4月13日にモントレー国際大学院の講堂で、TEDxMontereyというイベントが開かれました。TEDというのは日本でもお馴染みの講演会で、様々な分野(学術、テクノロジー、デザイン、エンターテイメントなど)についてプレゼンターが面白いアイディアや発見を説明してくれるイベントです。TEDxのxは、独自に企画されたという意味で、TED本体に似たような経験ができる場として各地で広まりました。   TEDxMontereyは、入場券を買って生で聴くこともできるのですが、当日、私はイベントのライブストリーミングで日本語の通訳を聴くことにしました。今回は、2年生のマット・コルピッツさんと森千代さんが同時通訳を担当しました。まず気づいたのが、通訳だけを聴く機会がこれまで少なかったということです。授業中は自分自身が通訳をしているので、必ず原文も聴いています。クラスメートの通訳だけを聴く場合もありますが、原文を考えずに通訳だけに集中するというのは、難しいものです。しかし、今回のTEDxでは、オリジナルのプレゼンは聞かずに通訳だけを聴くことにしました。2年生のお二人は、とても上手な通訳をしていました。文章構成もきれいで、プレゼンの中に出てくる専門用語も確実に押さえていました。オリジナルのプレゼンを聴かない分、通訳に頼り、通訳の重要性を改めて考えさせてくれる機会にもなりました。   TEDxMontereyは日本語だけではなく、中国語、韓国語、スペイン語、ドイツ語、フランス語の学生が同時通訳をしました。また、プレゼンのトピックも様々で、日本語通訳のお二人がカバーしたものは、種子銀行の写真撮影、アイデンティティ、アフリカの水問題、小魚や絵本の紹介でした。様々なトピックを取り上げるため準備も大変だと思いますが、準備の大切さも改めて痛感しました。来年はこのようなイベントで通訳ができるように励みたいと思います。

東京裁判に関する講演の逐次通訳

Filed under: Professional Development,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Shinichiro Tanaka at 9:32 pm on Sunday, February 24, 2013

先週の予告通り、今回のブログは講演の逐次通訳について書きたいと思います。 2月22日、武田珂代子先生による東京裁判に関する講演の逐次通訳を同級生と担当させていただきました。内容は武田先生のご著書『東京裁判における通訳』に沿ったもので、中でも通訳の三層構造にフォーカスが当てられました。ご著書自体が非常に面白かったので、内容を楽しみながら準備をすることができました。東京裁判では、日本人、日系人、白人といった異なるグループの人々が、通訳、通訳を監視するモニター、言語の専門家全体を統括する言語裁定官として、通訳作業をそれぞれ担当していました。これには社会的、文化的背景が絡んでおり、敗戦国の日本人に頼ることを避けるため、アメリカ国民の白人が、たとえ日本語がおぼつかなくても言語裁定官として居なくてはならなかったといった点など、非常に興味深い話が書かれていますので、通訳を目指している方や、東京裁判についてご興味のある方は、ぜひ武田先生のご著書をお読みください。 今回は事前にパワーポイント資料をいただくこともでき、十分に準備することができたので、当日はそれなりにスムーズに通訳をさせていただくことができました。いただいたフィードバックは好意的で、大変嬉しく思いましたが、一年生なので少し手加減していただいたのかなと思います。それでも、個人的にはとりあえず出来るだけのことはしたと手応えを感じています。ご著書も何度も日本語と英語で読みましたし、東京裁判に関する動画などを見たりもしました。パワーポイント資料のサイトラも何回かして、自分だけでもプレゼンできるようにしました。やってみてわかったことは、他の授業の予習や復習ももっとやれることがあるはずだという点です。ただ、健康などを害してしまうと元も子もないので、程よいバランスを見出していきたいです。 今日は先生方並びに先輩方がいらっしゃっていたため、通訳を判断していただくという点では、素晴らしいオーディエンスの方々に恵まれました。一応大学時代も人前で通訳する機会はあったので、緊張しすぎることはなかったのですが、人に伝えるという意識をしっかり持つ余裕がもう少しあればよかったなと思います。観客を見るということや、落ち着いてフィラーなどをなくすということに意識を向けることができたらと思います。しかし、普段小さなクラスで通訳をするのと比べ、より大きなオーディエンスに向けて話す場合は視線のあり方や声の張り方などが違うということを改めて実感できたのは良かったです。クラス内の仲間内で練習するだけですと、何のために通訳をするのかという意識がでてこないので、こういう機会があるというのは素晴らしいことだと思います。 今回の企画を可能にしてくださった武田先生ならびにMIISの先生方、先輩方、同級生に改めて感謝の意を述べたいと思います。みなさま、本当にありがとうございました。 ちなみに、講演の当日、MIISの図書館で行われているブックセールが全品無料になりました。通訳者、翻訳者の勉強は永遠に終わりません。これだけ本が手に入ると嬉しいですね。

一年生の逐次通訳実践〜武田珂代子先生による講演会を控えて

Filed under: MIISについて,Professional Development,T&I Student Life — Celine Browning at 10:36 pm on Sunday, February 17, 2013

春まだ浅いこのごろですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 さて、前回は二学期についての記事でしたが、今回は来週予定されている武田珂代子先生の講演会について書きたいと思います。 まずは、武田先生の簡単なご紹介です。武田先生は現在、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科教授としてご活躍されています。先生のご専門は、通訳翻訳研究で、ご自身は本学の通訳・翻訳学科を卒業されています。1994年から本学で教鞭をとられ、その間、本学教員でもいらっしゃるアンソニー・ピム教授の下、スペインのロビラ・イ・ビリジリ大学で博士号を習得されました。 さて、このたびのご講演は、武田先生の博士論文のテーマでもありました「東京裁判における通訳」についてです。今回はなんと私たち一年生に通訳の機会が巡ってきました。一年生がこのような講演の逐次通訳を本学で行うのは初めてのことです。これまで二回ほど二年生の先輩方の逐次通訳を見る機会がありました。その二年生の前や先生方の前で通訳に挑戦するのは、いくら私たちが将来プロを目指しているといえども、かなりの緊張を強いられるものです。 来週に向け、通訳担当者の私たちは様々な準備をしています。例えば、武田先生についてのリサーチは言うまでもありません。先生についてのご紹介などのとき、知識不足で正確な訳ができなくては話になりません。次に,英語と日本語で先生の著書を読むことも必須です。これは、先生が使われる東京裁判関連の用語を両言語で把握しておくためです。これらの単語をまとめた用語集も作成します。さらに、インターネットなどで調べられる範囲で東京裁判や通訳、そのほか関連性のある内容にも一通り目をとおしておきます。 先生のご講演は来週の金曜日です。ですので、次回のブログはもう一人の通訳を担当する一年生の事後発表になるかと思います。私たちはまだ経験の浅い一年生ではありますが、またとない機会をいただいた以上、恥をかかないよう頑張りたいと思います。 では、次回をお楽しみに…

2学期目突入!

Filed under: T&I Student Life — Satoko Kanamori at 10:19 pm on Sunday, February 10, 2013

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。1ヶ月半の長い冬休みも終わり、2学期に突入しました。そこで、今回は、1学期と2学期の勉強内容の違いについてお話ししたいと思います。 2学期は、1学期に比べるとより具体的な内容のもの(翻訳関連の授業はすべて金融・経済)になったので、さらに難しく、勉強しなければいけないことも増えます。また、通訳のほうは、同時通訳の授業が始まりました。1学期に始めた逐次通訳と違い、同時通訳は原文を聞き、理解し、頭の中で訳し、口に出すという行為を瞬時に行なわなければいけないため、練習を重ね、慣れることが大切です。私は先日、同時通訳を始めたばかりなので、今は「大変」という感想しか持っていません。それが、時間と共に「楽しい」に変わってくれればいいのですが、それには努力が必要です。 そこで様々な練習方法があるのですが、私達がやっているのは、シャドウイング、クイックレスポンス、聞きながら数字を数えるなどの並行作業の練習、一文または区切りのいいところで訳す記憶力の訓練です。これらの練習法と同等に大事なのが、良い文章を読んだり聞いたりすることです。今学期に入って痛感するのが、内容がわかっていないと上手く訳せないということです。仮に訳せたとしても、不自然な訳になったり、違う用語を選択してしまったりと失敗が増えてしまいます。日々の積み重ねが一層、大事になってくるのです。 勉強についてばかり書きましたが、勉強の間の息抜きも大切です。ジムに行ったり、友達とおしゃべりをしたり、お菓子を作ったりと勉強とは別の時間を作ることも大学院生として必要です。 以上のことを踏まえて、2学期も楽しく過ごしたいと思います。

メガコンセク授業

Filed under: MIISについて,T&I Student Life — Shinichiro Tanaka at 8:53 pm on Saturday, November 24, 2012

皆さんこんにちは。今回はMIISならではのメガコンセク(合同逐次通訳)授業について話したいと思います。 メガコンセクとは、他言語の通訳生と一緒に通訳の演習を行うという授業です。具体的には、各言語2人または3人のグループとして参加し、別言語の同規模グループとお互い英語以外の発言を英語に通訳し、それをまた別のスピーカーの言語に通訳していくというリレー通訳方式の授業です。 どのような感じで授業が進行したかは下記の図をご参照ください。今回僕は2対2でスペイン語通訳の方々と通訳の練習をしたので、そのときの様子を図にしました。 今回面白かったのは、自分自身が2人の通訳者に通訳してもらえるという点ですね。自分が話すときはノートとらなくて良いのだなと思ってほっとしていました(笑)。それと、普段は日本語から英語への通訳でワンクッションおくだけなのが、今回はスペイン語も混じっていたので2クッションあったのが面白かったですね。タイムラグが普段より長かったのですが、通訳が淡々と訳していたので安心して話せました。スピーカーと通訳者の信頼関係も大事だと感じました。普段から一緒に授業をしている仲間なので、安心して任せられます。 あと、興味深かったのは文化的な違いです。スペイン語圏の文化のようなのですが、話している間によく「ちっ」と舌打ちするのですね。これはどうやら今考えていますというメッセージらしく、悪気は全くないようです。そして、特に直すようなものでもないらしいということにびっくりしました。日本だと結構不快に思われる方も多いと思いますので。逆に、日本語で南アメリカとスペインのスペイン語の違いという風に話したとき、相手側にラテンアメリカです、と訂正されました。メキシコの方だったので、メキシコは北アメリカに属しているため、これは失礼だったと感じました。スピーカーが南アメリカと言っていたので訳としては良かったのですが、他国の人と仕事をする場合は相手に失礼のないように言葉を選ばないといけないと痛感しました。 このように、MIISにはいろんな国の通訳者が集うので、その特徴を生かした教育を受けることができます。今後もこの恵まれた環境を生かし、がんばって精進していきたいと思います。 モントレーの海岸です。アザラシが気持ちよさそうに寝そべっています。適度に散歩をしたり、ジムに通うなどして毎日を健康に過ごしたいと思っています。

MIISでの第一学期

Filed under: MIISについて,T&I Student Life — Celine Browning at 8:17 pm on Monday, October 15, 2012

秋が深くなって参りました。皆様いかがお過ごしですか?会議通訳課程一年のブラウニングです。今回は私のモントレー国際大学院での専攻についてお話したいと思います。 私は人生のほとんどを日本で過ごしたアメリカ人です。高校での三年間と大学時代の交換留学以外は全て日本の学校で教育を受けました。私は日本で国際関係学の学位を取得し、ドイツで異文化間紛争管理論の修士を修得しました。子供の時に母親の為に通訳をしていたくらいで、それほど通訳には興味を持っていませんでした。しかし、人権や紛争問題を専攻していくうちに、これらの問題を扱う通訳になりたいという思いが芽生え、モントレー国際大学院を受験する事にしました。 会議通訳課程という事からもちろん私は日本語と英語の通訳・翻訳の授業を受講しています。本学では、第一言語(A言語)、第二言語(B言語)、第三言語(C言語)と言語が分かれており、二言語のみの場合はA言語からB言語、あるいはB言語からA言語へと通訳や翻訳をするように指導されています。しかし私はC言語で中国語も専攻しています。このように会議通訳課程で三言語を専攻する場合、C言語については、A言語方向へのみ通訳の勉強をします。これは言語能力を考慮して決められたことです。 三つの言語を勉強できる事によって本学の様々な学科の授業のあり方を比べる事ができました。やはり言葉や文化によって着目する点が異なるようです。中国語の授業では第一回目の授業から中国政治や経済についての通訳を勉強しています。新聞記事であったり、多国籍会議の資料であったり、教材は様々です。その上、中国語の場合は英語に訳する上でどのように原文の冗長さ(中国語的な表現スタイル)を改善するかにも着目します。   日本語や英語の場合は特に一つの分野に限らず、レシピや政治家のスピーチ、環境問題、祝辞や弔辞など、教材は実に多種多様です。また、各学科で教えられているノートテーキングの方法も言語や教授によりバラエティが見られます。クラスや教授によってメモ帳のページの分け方の指示が異なっていたり、記号や表記法も様々です。しかし中国語科で紹介された技や記号を別の言語でも活用出来るという事は非常に便利です。日本語と英語の場合も同じ事が言えます。どのクラスでも一貫してノートの簡潔さと解りやすさが一番強調されています。そのなかでクラスや自分のノートのほとんどが、オリジナル言語にかまわず日本語で取られている事にびっくりしました。多分平仮名が書きやすいからなのでしょう。   しかし、今まで考えた事のなかった問題にもぶつかりました。中国語を習っていた時は日中辞典を使って勉強していたので、MIISで英語に訳する時に直接英語に訳するのではなく、一旦日本語に直さなければいけない事に気がつきました。本来ならあまり気にならないのですが、サイトトランスレーションなど時間に制限のある時など、特に正確な訳を心がけなければいけない時に不便だと感じます。おかげで新しく中国語を英語で考える力が付きました。このように今まで気がつかなかった事も発見できる機会が沢山あります。 確かに三つの言語を均等に勉強するのはとても大変な事ですが、翻訳や通訳という言語が異なっていても統一性のある分野を三つの言語と文化の観点から新たに接する事が出来る機会を与えられたことを非常に嬉しく思っています。

モントレーお役立ち情報

Filed under: Life in Monterey,T&I Student Life — Keitaro Morita at 10:11 am on Tuesday, April 24, 2012

新しい街に移り住んだとき、それまで住んでいた街のようには勝手が行かずに困った覚えはありませんか?森田は昨年の8月に東京都練馬区からこちらモントレーに移り住んだのですが、地元密着型の情報源があまりなく、街を開拓し切るまでに時間がかかりました。ですので不便な思いをすることもしばしばでした。 そこで、潜在的なMIISの学生さんである皆さんのために、今回はモントレーのお役立ち情報をそっと教えますね。(尚、日本の食材を購入できるお店や日本食が提供されている食事処については、棚田周子さんが執筆した4月8日付の本ブログ「モントレーで買える日本食材」をご参照ください。) 銀行 海外生活を始める際に行わなければならないことの1つが銀行口座の開設。学校近くにある銀行には「Bank of America」と「WELLS FARGO」の2つがあります。いずれも学校から徒歩5分圏内。両銀行ともに「サービスがよい」と側聞しています。 郵便局 海外にいると時として大切な人に手紙を送りたくなるものです。学内にも郵便局がありますが、15時過ぎには閉まってしまいます。そんなときには近くの郵便局へ。学内の郵便局では扱えない郵便物も扱ってくれます。職員の方も親切ですよ。 病院 海外に住む際に気がかりなのが病院。緊急の場合には「Monterey Bay Urgent Care」に行ってみるのも手です。学校から徒歩で10分ほどですし、国民皆保険のないアメリカの医療費は日本のそれと比べて高いと言われますが、このセンターの医療費はそれほど高くないとも聞いています。 薬局 病院と来れば次は薬局ですね。アメリカで処方箋を扱ってくれるお店と言えばやっぱりチェーン店の「Walgreens」。薬を処方してもらえるのみならず、ジェネリック薬品の豊富な品ぞろえを誇ります。加えてパスポート用の写真も撮ってもらえますし、お菓子、飲み物、日用品まで何でもそろっています。アメリカ版のマツキヨ、といったところでしょうか。 ジム 通訳、翻訳は体力勝負。特にフリーランスの場合、風邪でも引いて仕事に穴を開けたら後がありません。そこで大切になってくるのが体力作り。学校から5分程度のところに僕も会員になっている「Monterey Sports Center」があります。特に3カ月会員や6カ月会員になれば日本のジムの半額程度の料金で利用することができます。ジム施設は充実しており、ランニングマシーンや筋トレ用器具に加え、温水プールや体育館も併設。体育館ではバスケットボールやバレーボール、卓球、バドミントンなどができます。またジムのプログラムも種類が豊富で、ヨガやズンバもできますよ。 テニスコート テニス好きな私は週1程度でテニスをしています。場所はジムの横にある「Monterey Tennis Center」。クラスメートとプレーしたり、またFacebookで呼びかけてMIISの他のプログラムの学生とダブルスをしたりすることも。プレー代は「1回5ドルで時間制限なし」と格安。スタッフの方も気さくなのでテニスをする方にはお勧めです。 マッサージ店 日本では「犬も歩けば接骨院に当たる」と言ってもいいほどマッサージ業がさかんです。しかしここはアメリカ。接骨院自体が存在しません。しかし決して楽ではない学業の中、肩が凝ることもしばしば。そんなときに僕が行くのが「ComFOOT Spa」です。学校から3分のところにある中国系マッサージ店で、価格は1時間25ドルと高くはなく、チップを払っても30ドル。疲れた体におススメの癒し系スポットです。 美術館 疲れた体にはマッサージですが、疲れた心はどうほぐしたらいいのでしょう。そんなときには「monterey museum of art」がいいかも知れません。有名な芸術家の作品が飾られている訳ではありませんが、地元の画家や写真家によるモントレーの自然や一昔前のモントレーの街並みをモチーフとした作品が展示されています。静寂の空間が癒されたい心にぴったりです。 図書館 留学先では卒業後はその土地を去らなければならないことが大半なので、なるべくモノは持ちたくないもの。本はそんなモノの1つです。そこで頼りになるのが図書館。学校の図書館に加え、公立の図書館「Monterey Public Library」が学校の近くにあります。読みたい本があればAmazonで買う前にぜひこちらへ。地元の老若男女と触れ合うこともできます。 映画館 週末には息抜きがしたいですよね。息抜きのオプションの1つが映画観賞。モントレーの主要な映画館は2つあります。1つは学校近くの「THE OSIO CINEMAS」。日本で言う単館系映画館、といったところでしょうか。カフェに併設の小ぢんまりとした映画館で、有名な映画からドキュメンタリー、B級映画まで様々なジャンルの映画が上映されています。一方、もう1つの映画館は少し離れたDel Monte Center内にある「Century Cinemas」。この映画館では対照的に有名どころの映画が多く上映されているように感じます。その日の気分に合わせて2つの映画館を使い分けてみてください。 飲食店 意外に(?)かなりの数の飲食店が存在しています。学校の近くに限って言えば、その大半はAlvarado Street周辺に集中しています。日本料理、中国料理、韓国料理、レバノン料理、ギリシャ料理、タイ料理、メキシコ料理、イタリア料理、アメリカ料理……様々な国・文化の飲食店がひしめきます。またファストフード店としては「SUBWAY」「Jamba Juice」「Taco Bell」、また少し離れた場所に「マクドナルド」があります(景観に配慮してかトレードマークの黄色のM字が黒のM字になっているので要注目)。カフェについてはお馴染みの「Starbucks」を始めとしMIISの学生がタムロする「Plumes」、また少し離れたところに「east village」があります。いずれのお店も“ググれば”すぐに場所が分かると思います。 ヘアサロン 日本は理容技術が進んでいるので、アメリカの都市に住む場合、優れた腕をもったヘアスタイリストをみつけられるかどうか気になるところ。僕が通っているのは女性も男性もOKな「Euphoria」。1年半前にできたばかりの新しいヘアサロンで、スタッフの方々も気のいい人ばかり。日本風のサービスに近いサービスが受けられます。 以上、MIISの学生生活で役立ちそうな情報を集めてみました。モントレーでの学生生活が描きやすくなったでしょうか。この街は治安がよく、フレンドリーな方ばかりが集まった国際色あふれるコミュニティです。皆さんもMIISの学生になって、このすばらしいコミュニティの一員としてその国際性に貢献してみませんか?

医療通訳の舞台裏

Filed under: T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chiyo Benjamin at 11:07 pm on Monday, April 16, 2012

皆さんこんにちは。前回の法廷通訳ワークショップに引き続き、今回は私が3月に参加したカリフォルニア州医療通訳学会についてご紹介したいと思います。   私は、カリフォルニア州医療通訳学会 (California Healthcare Interpreting Association, CHIA) に所属していますが、学会発表に参加したのは初めてで、今年の学会はバークレーで行われました。比較的規模の小さい学会で、ブースの参加は医療通訳・翻訳エージェントや医療通訳スケジュール管理ソフト会社など10社くらいでした。発表会場は3つあり、それぞれの部屋でプレゼンテーションやワークショップが行われ、参加している通訳者が各自自分の興味のある会場に行って話を聞きました。この点は他の学術分野の学会と全く同じでした。 この学会に参加するまで、医療分野の翻訳経験は多少あったものの、医療通訳者が現場で実際どのような仕事をしているのかについては想像の域を出ませんでした。2月の就職フェアのときにスタンフォード大学付属病院の通訳チームによる発表を聞いたことがあるくらいだったので、現役の通訳者たちの体験談や、政府の資格試験について、またフリーランス通訳としてスケジュール管理の工夫、通訳能力を高めるためにどのような努力をしているかなど、医療通訳という仕事を身近に感じることのできる学会でした。   医療通訳は、患者の次の受診が決まった時点で手配される場合の他、救急救命室に運ばれてきた患者の通訳を依頼されるなど、緊急性の高い状況も発生します。この学会で面白いと思ったのは、そのような緊急性を要する医療通訳手配の性質上、病院側と通訳側、また間にエージェントが入る場合にどのように正確かつ効率的にスケジュールを組むか、ということが一つの共通課題になっていることでした。病院のデータベースと連携して、患者の予約が入るとオンタイムで通訳者に依頼の連絡が入るシステムを紹介する発表が複数あり、意外な感じがしたと共に、それが誰にとっても切実な課題であることを実感しました。   スタンフォード大学付属病院ではスペイン語通訳チームは24時間体制で常時病院内に待機しているそうで、医師や看護師と共に、患者のニーズに対応しているそうです。患者さんにとってはどれほど心強いかわかりませんね。しかしそのせいか、通訳者は患者さんから医学的なアドバイスを求められることも多いらしく、そういう場合に素人アドバイスは絶対にしないこと「専門家ではないので私にはわかりません。でも担当医に聞きたいことがあったら、何でも通訳します。」と答えるのが大切だということでした。 医療通訳は患者に同伴して手術室に入ることもあり、血液や薬品の匂いや、うめき声などが苦手な人にはつらいこと、痛みや麻酔のため罵る人が多いこと、そして何をどこまで通訳するかについてもテーマになっていました。スペイン語は世界で少なくとも21カ国で話されており、英語では一つの同じ言葉でも、患者の出身国によって全く異なるスペイン語表現があることが多く、しばしば誤解・誤訳の原因になるそうです。地球上に日本語圏がとあと20カ国もあったらどんな違った表現があるのだろう、と思うと不思議な感じがしますね。性器や性病などに関する用語も、文化によっては通訳者(特に女性の場合)が恥ずかしがってきちんと訳さないために、医師と患者のコミュニケーションに問題が生じる場合もあるようでした。   カリフォルニア州ではスペイン語、中国語、ロシア語、ベトナム語等のニーズが高いようで、実際スタンフォード大学でも日本語通訳のニーズは低いらしく、過去の日本語インターンもあまり通訳の練習にはならなかったそうです。私も夏のインターンシップに応募しましたが「せっかく来てもらってもおそらく日本語通訳の練習をする機会は殆どないから」、「日本語枠よりも中国語枠の競争率の方がかなり高かったから」という理由で去年までは日本語1枠、中国語2枠だったのが、今年は3枠全て中国語に回されてしまいました。現場のニーズがない、という理由でこのまま日本語のインターンシップがなくなってしまわないことを心から願うばかりです。   いずれにしても医療通訳の仕事は専門性が高いので、これからますます勉強し専門知識を強化すると共に、モントレー卒業までに資格試験を受けようと思っています。

Next Page »