MIISでの第一学期

Filed under: MIISについて,T&I Student Life — Celine Browning at 8:17 pm on Monday, October 15, 2012

秋が深くなって参りました。皆様いかがお過ごしですか?会議通訳課程一年のブラウニングです。今回は私のモントレー国際大学院での専攻についてお話したいと思います。

私は人生のほとんどを日本で過ごしたアメリカ人です。高校での三年間と大学時代の交換留学以外は全て日本の学校で教育を受けました。私は日本で国際関係学の学位を取得し、ドイツで異文化間紛争管理論の修士を修得しました。子供の時に母親の為に通訳をしていたくらいで、それほど通訳には興味を持っていませんでした。しかし、人権や紛争問題を専攻していくうちに、これらの問題を扱う通訳になりたいという思いが芽生え、モントレー国際大学院を受験する事にしました。

会議通訳課程という事からもちろん私は日本語と英語の通訳・翻訳の授業を受講しています。本学では、第一言語(A言語)、第二言語(B言語)、第三言語(C言語)と言語が分かれており、二言語のみの場合はA言語からB言語、あるいはB言語からA言語へと通訳や翻訳をするように指導されています。しかし私はC言語で中国語も専攻しています。このように会議通訳課程で三言語を専攻する場合、C言語については、A言語方向へのみ通訳の勉強をします。これは言語能力を考慮して決められたことです。

三つの言語を勉強できる事によって本学の様々な学科の授業のあり方を比べる事ができました。やはり言葉や文化によって着目する点が異なるようです。中国語の授業では第一回目の授業から中国政治や経済についての通訳を勉強しています。新聞記事であったり、多国籍会議の資料であったり、教材は様々です。その上、中国語の場合は英語に訳する上でどのように原文の冗長さ(中国語的な表現スタイル)を改善するかにも着目します。

 

日本語や英語の場合は特に一つの分野に限らず、レシピや政治家のスピーチ、環境問題、祝辞や弔辞など、教材は実に多種多様です。また、各学科で教えられているノートテーキングの方法も言語や教授によりバラエティが見られます。クラスや教授によってメモ帳のページの分け方の指示が異なっていたり、記号や表記法も様々です。しかし中国語科で紹介された技や記号を別の言語でも活用出来るという事は非常に便利です。日本語と英語の場合も同じ事が言えます。どのクラスでも一貫してノートの簡潔さと解りやすさが一番強調されています。そのなかでクラスや自分のノートのほとんどが、オリジナル言語にかまわず日本語で取られている事にびっくりしました。多分平仮名が書きやすいからなのでしょう。

 

しかし、今まで考えた事のなかった問題にもぶつかりました。中国語を習っていた時は日中辞典を使って勉強していたので、MIISで英語に訳する時に直接英語に訳するのではなく、一旦日本語に直さなければいけない事に気がつきました。本来ならあまり気にならないのですが、サイトトランスレーションなど時間に制限のある時など、特に正確な訳を心がけなければいけない時に不便だと感じます。おかげで新しく中国語を英語で考える力が付きました。このように今まで気がつかなかった事も発見できる機会が沢山あります。

確かに三つの言語を均等に勉強するのはとても大変な事ですが、翻訳や通訳という言語が異なっていても統一性のある分野を三つの言語と文化の観点から新たに接する事が出来る機会を与えられたことを非常に嬉しく思っています。

モントレー国際大学院を選んだ理由

Filed under: MIISについて,Path to MIIS — Satoko Kanamori at 9:42 pm on Sunday, October 7, 2012

皆さんこんにちは。翻訳・通訳専攻一年の金森です。今回は、私がなぜモントレー国際大学院に来たかについてお話したいと思います。

私はいわゆる帰国子女で海外生活が長く、高校からアメリカンスクールに行き、大学もニューヨークで過ごしました。以前から翻訳者・通訳者になりたいと思い、大学を卒業した後に本格的に翻訳・通訳の勉強ができる学校を調べました。大学4年生の夏休みには、日本で様々な翻訳・通訳養成学校を訪れ、どのような勉強、研修をするのかについて調べました。この時わかったことが、日本での翻訳・通訳養成学校に通っている人たちは仕事をしていて、仕事が終わった後や週末に養成学校に通うので、一般的な「学生」とは違うということです。コースもTOEFLのスコアやレベルごとに分かれているので、大学院のように2年間で総合的にスキルを磨くのではなく、短期間で集中的にスキルを習得するということです。また、日本での養成学校は日本語が母国語前提なので、私のように英語で生活することが多い人たちや英語ネイティブの人たちにはふさわしい環境ではないかもしれません。

また、大きな違いは、モントレー国際大学院では日本語ネイティブも英語ネイティブも同じ教室で勉強するので、英語ネイティブの人に日英の翻訳・通訳の間違いを指摘してもらうことができたり、言語のニュアンスなどを話し合ったりすることもできます。養成学校と違い、2年間かけてじっくり翻訳・通訳を学ぶので、授業の外でもお互いに練習できるという点でも異なります。また、日本語だけではなく、フランス語や中国語、ドイツ語など7カ国語もの翻訳・通訳の学生がいるので、多くの言語でリレー通訳の練習ができ、異なる文化を間近で感じることができます。これは、翻訳・通訳以外にも重要なスキルだと思います。

アメリカの大学院でも翻訳・通訳、特に日本語のプログラムがあるところは限られています。モントレー国際大学院は、翻訳と通訳両方のプログラムがある他、学校としての実績も非常に高いです。就職率も高く、2年間かけてプロの翻訳者・通訳者になる研修を受けます。もし翻訳・通訳の勉強を本格的にしたいのならば、モントレー国際大学院はいかがでしょうか?

世界知的所有権機関 夏期フェローシップ

Filed under: Internships,Professional Development — Chiyo Benjamin at 3:04 pm on Wednesday, October 3, 2012

皆さんこんにちは。会議通訳専攻2年の千代です。モントレー国際大学院では新学期が始まってはや6週間が経過し、T&I日本語学科の学生は日々忙しく勉強や練習に励んでいます。今日は私が夏の間3ヶ月フェロー翻訳者として働いていた世界知的所有権機関(WIPO、以下ワイポ)での特許翻訳フェローシップの仕事についてご紹介したいと思います。

これはワイポのホームページからの抜粋ですが、ワイポは、スイスのジュネーブに本部を置く国連の専門機関で、1970年に設立されました。WIPOは、加盟国が知的財産権の保護を目的とした規則や実務を制定・調整するためのフォーラムとしての役割を果たしています。多くの先進国では何世紀も前から知的財産を保護する制度がありますが、その一方で、新興国および発展途上国では、現在、特許や商標、著作権の法制度・体制を構築する過程にあります。

 

ワイポには世界中から国際特許申請書類が送付されてくるわけですが、外国語で書かれた申請書類のうち、特許内容の要約(abstract)の部分は全てまず英語へ、その後フランス語へ翻訳されます。また特許申請をする前に、各国の特許庁が各申請内容を過去に特許を受けている発明と照らし合わせて、新規性(novelty)、進歩性(inventive step)、産業上の利用可能性(industrial applicability)を有しているかを審査し、その結果を報告書(report)にまとめるのですが、この報告書の内容も英語に翻訳されます。つまり、ワイポの日英翻訳者はこの要約と報告書を日本語から英語に翻訳するのが主な仕事です。

 

ワイポのフェローシップに応募するためには、まず翻訳試験を受け、試験に合格すると個人面接があります。一旦フェローシップが決定したら、夏休みの最初から最後まで3ヶ月間まるまるジュネーブに滞在しフルタイムで仕事をします。私の場合、面接の結果が出発の2−3週間前までわからなかったので、正直ドキドキしました。もしワイポがだめだったら夏の間どうしよう、という不安もありましたが、どうしてもワイポで仕事をしたかったので、他のインターンシップをいろいろ探さず、祈るような気持ちで結果を待ちました。

 

5月の頭にようやくOKの返事が来て、その3週間後には人生初めてのスイス、ジュネーブへ向かう飛行機に乗りました。サンフランシスコで飛行機に搭乗したとたんに発熱し、そのまま2週間近くひどい気管支炎をわずらい、しかも住む部屋が見つからず3週間ホテルを点々としながらの通勤など、落ち着くまでの最初の一ヶ月は大変でした。何よりも感謝だったのは、クラスメートのリンと一緒に採用されたことです。彼と相談しながらいろいろ決めることができたのは非常に大きな支えでした。ワイポにはMIIS出身の翻訳者さんがたくさんいますが、それでも最初の1ヶ月は、一人きりでは絶対に乗り越えられなかったと思います。

ワイポでのインハウス翻訳の最大のメリットとしては、一日8時間集中して机に向かったあとは、夕刻から解放され、週末も締め切りに追われることなく完全に自由という点でした。ジュネーブにある国連機関のインターンはほとんど無給の場合が多いようですが、ワイポの仕事は給与、保険、交通費ともに破格の待遇です。まずは翻訳試験にチャレンジしてみるといいと思います!

 

それでは次回はワイポでの具体的な翻訳やトレーニングの内容についてご紹介しますのでお楽しみに!

 

O Canada! Eh?

Filed under: Professional Development — Chiyo Benjamin at 3:43 pm on Monday, May 14, 2012

皆さんこんにちは。今回で私のブログも今年度最後となりました。今までハワイ、カリフォルニア、日本の通訳資格等について書いてきたので、今回は私がモントレーに来るまで住んでいたカナダの資格試験について少しご紹介したいと思います。

 

まず、カナダの西海岸に位置するブリティッシュ・コロンビア州について少しご紹介します。ブリティッシュ・コロンビア州は山、川、海の大自然に囲まれた緑豊かなところで、最大の街は最近冬期オリンピックが開催されたバンクーバーです。バンクーバーは人口の約7割が英語を第二言語として話すといわれ、街で会う人の多くが英語のノンネイティブ・スピーカーです。北米大陸西海岸の都市のなかでも特に国際色豊かな街で、世界トップクラスのスキーリゾート、ウィスラーのあるところ、といえばすぐにわかる方もいるかもしれません。州都ビクトリアは、バンクーバーからフェリーで1時間ちょっとのところに浮かぶバンクーバー島の南端にあり、こじんまりとした英国風の美しい街並みが印象的です。パシフィック・グローブやペブル・ビーチの落ち着いた雰囲気によく似ています。バンクーバー島は一年を通してカナダで最も温暖な気候と、中央部にある世界的に有名なブッチャート・ガーデン、北部の手つかずの大自然で知られています。

 

カナダはアメリカに比べて就労ビザが取得しやすく、ワーキングホリデービザの他、学生ビザで留学している配偶者がいれば無制限で仕事ができ、カナダの大学(特に博士号など専門技術や知識、資格を持っている場合)には、ケースにもよりますが早い場合は申請後半年位で永住権がとれる場合もあります。ですから、卒業後の仕事を探している方(そしてアウトドアが何より好き!という方)はアメリカだけに限らず、カナダも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

さてカナダ、あるいはブリティッシュ・コロンビア州で通訳、翻訳の仕事をするにはどんな資格が必要か調べてみると、カナダ全国の翻訳者、通訳者、ターミノロジストからなるCTTIC (Canadian Translators, Terminologists and Interpreters Council)、そしてそのブリティッシュ・コロンビア州の支部であるSTIBC (Society of Translators and Interpreters of British Columbia)が実施している資格試験が中心になっているようです。

 

まずSTIBCの法廷通訳資格試験は毎年2月に行われ、団体に加盟しているメンバーで、カナダ国内の裁判所でプロとして2年以上経験がある人に受験資格が与えられます。試験の形式は、筆記試験と口頭試験に分かれており、筆記試験に合格した場合のみ口頭試験に進むことができます。筆記試験には法律関係の文書の翻訳技術、専門用語の知識、法律に関する知識、そして倫理の4つの分野が含まれます。口頭試験はサイトと逐次を両方向へ、同通は英日で行われます。筆記試験、口頭試験ともに全てのセクションを最低70パーセント以上で通過しなければなりません。

 

次はカナダ全国レベルの資格試験ですが、これはSTIBCなど全国の地方支部ですでにメンバーになっているプロの翻訳者、通訳者対象にCTTICが実施する試験です。CTTICも筆記試験と口頭試験に分かれていますが、筆記試験を受けるには4年以上フルタイムのプロ翻訳者+倫理試験に合格している、あるいは、言語学、翻訳、通訳の学位をすでに取得している+1年以上フルタイムの翻訳者であることなどが受験の際の条件になります。1年間の仕事量の具体的な目安としては英語の場合11万ワード、日本語なら3万ワードを翻訳していることが条件だそうです。私も早速これまでの仕事をカウントしてみようと思いますが、MIISで学生をしながらこれだけのノルマをクリアするのはなかなか難しいと思います。

 

CTTICが実施している試験は翻訳、会議通訳、法廷通訳、ターミノロジストに分かれています。それぞれの試験の詳細については団体ホームページにてご確認下さい。この団体のメンバーになるには資格試験を受けて会員登録をする他に、仕事を探す目的で試験は受けずに会費だけを払ってアソシエートメンバーとして団体を利用している人もいるようです。これはアメリカのATA (American Translators Association)と似たようなシステムになっており、ATAは学生の場合だと80ドルの会費を払うと様々なキャリア情報にアクセスすることができます。こちらも詳しくはATAのホームページをご覧下さい。

 

MIISを卒業後、どこかの会社の専属翻訳者や通訳者になる場合をのぞいて、フリーランスで働いて行こうと思ったら、自分の腕一本で小さな会社経営をしているのと同じことです。CTTICやATAのようなプロの翻訳者、通訳者から構成される団体の会員登録をしてキャリアを積み上げて行くことが大切になってくるそうです。またこのような資格試験に合格していることは、自分の実力を客観的に示す目安として役に立つばかりでなく、巷に溢れる翻訳者・通訳者との「差別化」にもなるのではないでしょうか。ただでさえ忙しいMIISの勉強の合間にどうやってこのような資格試験勉強の時間と体力をひねりだすか、まずそこが一番のチャレンジになりそうですが、努力の積み重ねがいつかきっと実を結ぶ時が来ると信じてがんばりましょう!

 

日本から持ってきた方が良いもの

Filed under: Life in Monterey — Chikako Tanada at 1:28 pm on Sunday, April 29, 2012

今秋入学予定のみなさんの中には、そろそろ荷造りについて考え始めている方もいるかも知れません。未開の地に行く訳ではないので、大体の生活必需品はこちらで手に入ります。日本語の書籍や日本製のものが必要な場合は、オンラインショッピングを利用したり、サンノゼあたりまで行けば買うことが出来ますが、やはり値段は日本の倍以上だったりすることもあります。今回は、先輩やクラスメイトに聞いた「日本から持ってきた方が良いもの」をご紹介したいと思います。

 

電子辞書

授業ではノートパソコンを持ち込むので、オンライン上の辞書を使用することもできますが、学校ではネットワークがダウンしてしまいネットが使えなくなるという事態もあります。電子辞書はこちらでも購入出来るようですが、種類があまりなく、値段も高いようです。なので、まだ電子辞書をお持ちでない方は、日本で購入してくることをおすすめします。私を含め、大体のクラスメイトはCASIO EX-wordシリーズか、セイコーの電子辞書を持っています。

 

文房具

筆記具は断然日本製という声がありました。もちろん、こちらでもノートやペンはありますが、アメリカ製のノートは薄っぺらく、ペンは書きづらいものが多いです。日本製のペンも売っていますが、日本から輸入しているので値段は割高です。スーツケースに余裕があれば、使い慣れたペンやノートを持ってくることをおすすめします。また、ちょっとしたお礼状などを書きたい時に、こちらには気の利いた便箋や封筒などがないという意見もありました。お礼状を書く機会などは人それぞれですが、和柄の一筆箋などを持ってきておくと、何かの時に役立つかもしれません。

 

経済本

1年生の二学期目のテーマは経済です。冬休み中にほとんどの人が経済本を読んで予習しますが、サンノゼにある紀伊国屋で購入すると値段は日本の二倍ほどで、品数も貧弱です。日本のアマゾンで購入できますが、関税と送料を払うと、かなりの額になります。もし、冬休み中に日本に帰国するつもりがないなら、何冊か経済本を持ってきておくことをおすすめします。ちなみに、私が先輩から教えてもらって重宝している本は柴田真一の『図解式 金融英語の基礎知識』です。同じ著者の『金融英語入門』は今学期の英日翻訳の先生からのおすすめです。

 

衣類

MIISのホームページの写真を見ると、カリフォルニアは暖かくて晴れていて…というようなイメージですが、日本人にとってモントレーの夏は肌寒いです。夏でも半袖だけで出歩くことはほとんどなく、常に何か羽織るか上着を持ち歩いています。冬はダウンジャケットを着るくらい寒い日もあります。なので、冬物のコートやセーター、春夏の羽織ものを何着か持ってくることを強くおすすめします。必要であればこちらで買うことも出来ますが、日本人女性でかなり小柄の方はぴったりのサイズも見つけるのは難しいと思います。言うまでもありませんが、洋服のデザインと質は日本製には敵いません。女性の少数意見としてストッキングがありました。もちろん、ストッキングも日本製が良いのですが、こちらでストッキングを履く機会は2月のキャリアフェアくらいかと思います。アメリカのストッキングでも1日くらいであれば事足りると思います。なお、キャリアフェアの際はスーツ着用ですので、スーツを持参されることもお忘れなく。

 

常備薬

ご存知かと思いますが、こちらの市販薬はかなり強いです。また、医療費の高いアメリカでは日本のようにすぐに病院に行けません。学期の中盤や冬場は学校内で風邪が流行ります。私もこちらの風邪薬を試しましたが、指示された量より少なめに服用しても胃が痛くなり大変でした。頭痛薬や風邪薬、目薬などのちょっとした常備薬は使い慣れたものを日本から持って来た方が良いです。これは個人的な意見ですが、こちらにはビオフェルミンのような整腸剤がないようですので、お腹の弱い方はビオフェルミンを持ってくることをおすすめします。

 

メガネ・コンタクトレンズなど

もちろん、こちらでもメガネやコンタクトを購入出来ますが、コンタクトレンズ等を購入するための眼科の受診は、AIUなどの留学生用保険ではカバーされません。よって、全額自己負担です。また、こちらでメガネやコンタクトレンズを作ると、日本の眼科で作るよりも度数を強めにされることが多いようです。必要な方は、新しメガネやコンタクトレンズを日本で新調してきた方が良いかもしれません。私はハードコンタクトレンズを使用しているのですが、目薬も含めてケア用品はすべて日本から持ってきたものを使っています。こちらでも探せばケア用品があるのかも知れませんが、レンズに合わない洗浄・保存液を使ってレンズが曇ったりすると困るので、こちらのものは一切使っていません。

 

化粧品

化粧品は女性に限りますが、やはり日本人の肌に合うものは日本の化粧品です。こちらでも日本で販売されているClinique、Estee Lauderなどの海外ブランドの化粧品がありますが、日本にあるものとは若干成分が違うため、肌荒れを起こしてしまう場合もあるようです。敏感肌でお化粧をされる方や化粧品にこだわりがある方は、直接肌につける化粧水、乳液などの基礎化粧品とファンデーションなどは数ヶ月分だけでも日本から持ってきた方が良いかもしれません。これは個人的な意見ですが、こちらでは日本のようなメイク落としがありません。特にオイルのメイク落としは日本食材のスーパー以外で売っているのを見たことがありません。オイルクレンジング派の方は、日本から持って来た方が良いです。ちなみに、がっつり毎日メークをしている学生は日本人と韓国人くらいですが…。

 

その他

少数派の意見として、カイロ、歯磨き粉やデオドラント、あぶらとり紙がありました。モントレーでカイロを使うくらい寒い日はあまりありませんが、寒がりの方や冷え性の方は日本から持ってきた方が良いかもしれません。こちらのカイロは使用中に中身が漏れて手が真っ黒になってしまうことがあるようです。また、アメリカ人のクラスメイトからはアメリカの歯磨き粉やデオドラントなどは日本に比べて成分が強いため、日本人には合わないかもしれないと言った声もありました。あぶらとり紙はこちらでも売っているようですが、値段が高く、あぶらとり紙を置いているお店が少ないようです。

 

以上が先輩・クラスメイトに聞いた日本から持ってきた方が良いものです。先にも書きましたが、値段が割高でも、大抵のものはこちらで手に入りますので、あまり心配なさらないで下さい。また、日本語T&Iの先生方や学生はみんな親切ですので、こちらに来てからどこで何を買えば良いのか分からない場合は、遠慮せずに聞いて下さい。

 

モントレーお役立ち情報

Filed under: Life in Monterey,T&I Student Life — Keitaro Morita at 10:11 am on Tuesday, April 24, 2012

新しい街に移り住んだとき、それまで住んでいた街のようには勝手が行かずに困った覚えはありませんか?森田は昨年の8月に東京都練馬区からこちらモントレーに移り住んだのですが、地元密着型の情報源があまりなく、街を開拓し切るまでに時間がかかりました。ですので不便な思いをすることもしばしばでした。

そこで、潜在的なMIISの学生さんである皆さんのために、今回はモントレーのお役立ち情報をそっと教えますね。(尚、日本の食材を購入できるお店や日本食が提供されている食事処については、棚田周子さんが執筆した4月8日付の本ブログ「モントレーで買える日本食材」をご参照ください。)

銀行
海外生活を始める際に行わなければならないことの1つが銀行口座の開設。学校近くにある銀行には「Bank of America」と「WELLS FARGO」の2つがあります。いずれも学校から徒歩5分圏内。両銀行ともに「サービスがよい」と側聞しています。

郵便局
海外にいると時として大切な人に手紙を送りたくなるものです。学内にも郵便局がありますが、15時過ぎには閉まってしまいます。そんなときには近くの郵便局へ。学内の郵便局では扱えない郵便物も扱ってくれます。職員の方も親切ですよ。

病院
海外に住む際に気がかりなのが病院。緊急の場合には「Monterey Bay Urgent Care」に行ってみるのも手です。学校から徒歩で10分ほどですし、国民皆保険のないアメリカの医療費は日本のそれと比べて高いと言われますが、このセンターの医療費はそれほど高くないとも聞いています。

薬局
病院と来れば次は薬局ですね。アメリカで処方箋を扱ってくれるお店と言えばやっぱりチェーン店の「Walgreens」。薬を処方してもらえるのみならず、ジェネリック薬品の豊富な品ぞろえを誇ります。加えてパスポート用の写真も撮ってもらえますし、お菓子、飲み物、日用品まで何でもそろっています。アメリカ版のマツキヨ、といったところでしょうか。

ジム
通訳、翻訳は体力勝負。特にフリーランスの場合、風邪でも引いて仕事に穴を開けたら後がありません。そこで大切になってくるのが体力作り。学校から5分程度のところに僕も会員になっている「Monterey Sports Center」があります。特に3カ月会員や6カ月会員になれば日本のジムの半額程度の料金で利用することができます。ジム施設は充実しており、ランニングマシーンや筋トレ用器具に加え、温水プールや体育館も併設。体育館ではバスケットボールやバレーボール、卓球、バドミントンなどができます。またジムのプログラムも種類が豊富で、ヨガやズンバもできますよ。

テニスコート
テニス好きな私は週1程度でテニスをしています。場所はジムの横にある「Monterey Tennis Center」。クラスメートとプレーしたり、またFacebookで呼びかけてMIISの他のプログラムの学生とダブルスをしたりすることも。プレー代は「1回5ドルで時間制限なし」と格安。スタッフの方も気さくなのでテニスをする方にはお勧めです。

マッサージ店
日本では「犬も歩けば接骨院に当たる」と言ってもいいほどマッサージ業がさかんです。しかしここはアメリカ。接骨院自体が存在しません。しかし決して楽ではない学業の中、肩が凝ることもしばしば。そんなときに僕が行くのが「ComFOOT Spa」です。学校から3分のところにある中国系マッサージ店で、価格は1時間25ドルと高くはなく、チップを払っても30ドル。疲れた体におススメの癒し系スポットです。

美術館
疲れた体にはマッサージですが、疲れた心はどうほぐしたらいいのでしょう。そんなときには「monterey museum of art」がいいかも知れません。有名な芸術家の作品が飾られている訳ではありませんが、地元の画家や写真家によるモントレーの自然や一昔前のモントレーの街並みをモチーフとした作品が展示されています。静寂の空間が癒されたい心にぴったりです。

図書館
留学先では卒業後はその土地を去らなければならないことが大半なので、なるべくモノは持ちたくないもの。本はそんなモノの1つです。そこで頼りになるのが図書館。学校の図書館に加え、公立の図書館「Monterey Public Library」が学校の近くにあります。読みたい本があればAmazonで買う前にぜひこちらへ。地元の老若男女と触れ合うこともできます。

映画館
週末には息抜きがしたいですよね。息抜きのオプションの1つが映画観賞。モントレーの主要な映画館は2つあります。1つは学校近くの「THE OSIO CINEMAS」。日本で言う単館系映画館、といったところでしょうか。カフェに併設の小ぢんまりとした映画館で、有名な映画からドキュメンタリー、B級映画まで様々なジャンルの映画が上映されています。一方、もう1つの映画館は少し離れたDel Monte Center内にある「Century Cinemas」。この映画館では対照的に有名どころの映画が多く上映されているように感じます。その日の気分に合わせて2つの映画館を使い分けてみてください。

飲食店
意外に(?)かなりの数の飲食店が存在しています。学校の近くに限って言えば、その大半はAlvarado Street周辺に集中しています。日本料理、中国料理、韓国料理、レバノン料理、ギリシャ料理、タイ料理、メキシコ料理、イタリア料理、アメリカ料理……様々な国・文化の飲食店がひしめきます。またファストフード店としては「SUBWAY」「Jamba Juice」「Taco Bell」、また少し離れた場所に「マクドナルド」があります(景観に配慮してかトレードマークの黄色のM字が黒のM字になっているので要注目)。カフェについてはお馴染みの「Starbucks」を始めとしMIISの学生がタムロする「Plumes」、また少し離れたところに「east village」があります。いずれのお店も“ググれば”すぐに場所が分かると思います。

ヘアサロン
日本は理容技術が進んでいるので、アメリカの都市に住む場合、優れた腕をもったヘアスタイリストをみつけられるかどうか気になるところ。僕が通っているのは女性も男性もOKな「Euphoria」。1年半前にできたばかりの新しいヘアサロンで、スタッフの方々も気のいい人ばかり。日本風のサービスに近いサービスが受けられます。

以上、MIISの学生生活で役立ちそうな情報を集めてみました。モントレーでの学生生活が描きやすくなったでしょうか。この街は治安がよく、フレンドリーな方ばかりが集まった国際色あふれるコミュニティです。皆さんもMIISの学生になって、このすばらしいコミュニティの一員としてその国際性に貢献してみませんか?

医療通訳の舞台裏

Filed under: T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chiyo Benjamin at 11:07 pm on Monday, April 16, 2012

皆さんこんにちは。前回の法廷通訳ワークショップに引き続き、今回は私が3月に参加したカリフォルニア州医療通訳学会についてご紹介したいと思います。

 

私は、カリフォルニア州医療通訳学会 (California Healthcare Interpreting Association, CHIA) に所属していますが、学会発表に参加したのは初めてで、今年の学会はバークレーで行われました。比較的規模の小さい学会で、ブースの参加は医療通訳・翻訳エージェントや医療通訳スケジュール管理ソフト会社など10社くらいでした。発表会場は3つあり、それぞれの部屋でプレゼンテーションやワークショップが行われ、参加している通訳者が各自自分の興味のある会場に行って話を聞きました。この点は他の学術分野の学会と全く同じでした。

この学会に参加するまで、医療分野の翻訳経験は多少あったものの、医療通訳者が現場で実際どのような仕事をしているのかについては想像の域を出ませんでした。2月の就職フェアのときにスタンフォード大学付属病院の通訳チームによる発表を聞いたことがあるくらいだったので、現役の通訳者たちの体験談や、政府の資格試験について、またフリーランス通訳としてスケジュール管理の工夫、通訳能力を高めるためにどのような努力をしているかなど、医療通訳という仕事を身近に感じることのできる学会でした。

 

医療通訳は、患者の次の受診が決まった時点で手配される場合の他、救急救命室に運ばれてきた患者の通訳を依頼されるなど、緊急性の高い状況も発生します。この学会で面白いと思ったのは、そのような緊急性を要する医療通訳手配の性質上、病院側と通訳側、また間にエージェントが入る場合にどのように正確かつ効率的にスケジュールを組むか、ということが一つの共通課題になっていることでした。病院のデータベースと連携して、患者の予約が入るとオンタイムで通訳者に依頼の連絡が入るシステムを紹介する発表が複数あり、意外な感じがしたと共に、それが誰にとっても切実な課題であることを実感しました。

 

スタンフォード大学付属病院ではスペイン語通訳チームは24時間体制で常時病院内に待機しているそうで、医師や看護師と共に、患者のニーズに対応しているそうです。患者さんにとってはどれほど心強いかわかりませんね。しかしそのせいか、通訳者は患者さんから医学的なアドバイスを求められることも多いらしく、そういう場合に素人アドバイスは絶対にしないこと「専門家ではないので私にはわかりません。でも担当医に聞きたいことがあったら、何でも通訳します。」と答えるのが大切だということでした。

医療通訳は患者に同伴して手術室に入ることもあり、血液や薬品の匂いや、うめき声などが苦手な人にはつらいこと、痛みや麻酔のため罵る人が多いこと、そして何をどこまで通訳するかについてもテーマになっていました。スペイン語は世界で少なくとも21カ国で話されており、英語では一つの同じ言葉でも、患者の出身国によって全く異なるスペイン語表現があることが多く、しばしば誤解・誤訳の原因になるそうです。地球上に日本語圏がとあと20カ国もあったらどんな違った表現があるのだろう、と思うと不思議な感じがしますね。性器や性病などに関する用語も、文化によっては通訳者(特に女性の場合)が恥ずかしがってきちんと訳さないために、医師と患者のコミュニケーションに問題が生じる場合もあるようでした。

 

カリフォルニア州ではスペイン語、中国語、ロシア語、ベトナム語等のニーズが高いようで、実際スタンフォード大学でも日本語通訳のニーズは低いらしく、過去の日本語インターンもあまり通訳の練習にはならなかったそうです。私も夏のインターンシップに応募しましたが「せっかく来てもらってもおそらく日本語通訳の練習をする機会は殆どないから」、「日本語枠よりも中国語枠の競争率の方がかなり高かったから」という理由で去年までは日本語1枠、中国語2枠だったのが、今年は3枠全て中国語に回されてしまいました。現場のニーズがない、という理由でこのまま日本語のインターンシップがなくなってしまわないことを心から願うばかりです。

 

いずれにしても医療通訳の仕事は専門性が高いので、これからますます勉強し専門知識を強化すると共に、モントレー卒業までに資格試験を受けようと思っています。

モントレーで買える日本食材

Filed under: Life in Monterey — Chikako Tanada at 9:49 am on Sunday, April 8, 2012

海外生活で恋しくなるものと言えば、何と言っても日本食だと思います。モントレーには何件か日本食レストランがありますが、味がイマイチだったり、なかなかアルバイトが出来ない留学生は、財布の紐を締めなければならなかったりと、頻繁に外食できません。そうなると、日本食が食べたくなった時は、やはり自分で作るしかありません。そこで、今回は日本の調味料や食材が買えるモントレーのお店についてご紹介します。

 

Troia’s Market

350 Pacific St, Monterey, CA 93940

(831)375-9810

学校から1ブロックほど北に歩いた所にある小さなマーケットです。キャンパスから徒歩圏内にある日本食材を取り扱うお店の中では、品揃えが多い方です。かどやのごま油、キッコーマンの醤油、みりん、めんつゆ、ほんだし、カレーのルー、のり、わさび、乾麺、納豆、ちょっとした冷凍食品やおせんべいやチョコなどの菓子類、梅酒などが置いてあります。

 

Ocean Sushi Deli

165 Webster St, Monterey, CA 93940

(831)645-9876

キャンパスから徒歩8分ほどのところにある、食堂のような感じの小さな日本食レストランです。品数は少ないですが、レジ付近にカレーのルーやお茶漬けの素、そば、漬け物、チョコ、飴、おせんべいなどの菓子類、大福、アイスクリームなどがあります。日本食レストランとしても、日本人の間では好評です。

 

Whole Foods Market 

800 Del Monte Center, Monterey, CA 93940

(831)222-1600

ご存知の方も多いかと思いますが、アメリカでは有名なオーガニックのスーパーマーケットです。アジア系食材のコーナーに醤油やみりんなど日本の調味料が若干あります。また、野菜のコーナーで時々もやしが売っていることもあります。学校から徒歩20分ほどのところにあるので、散歩がてら歩くには良い距離かも知れません。

 

Asian Market

3056 Del Monte Blvd, Marina, CA 93933

(831)384-3000

韓国マーケットなので韓国の品物が多いですが、Troia’s Market よりも断然豊富な日本食材を取り揃えています。みそ、醤油などの基本的な調味料はもちろんのこと、冷凍食品、納豆、野菜、お菓子など色々買うことができます。徒歩では行けませんが、車がなくてもバスで行くことも可能です。

 

私が実際に行った訳ではないのですが、同級生や先輩によると、Save Martのアジア系食材のコーナーには日本食材が結構あるそうです。また、First Oriental Market (Kim’s Oriental Marketとも呼ばれているようです)でも日本の調味料やお米などが買えるようです。どちらも徒歩圏内ではありませんが、Asian Marketよりも近く、バスで行くことができます。

 

以上が学校から徒歩またはバスで行ける距離にある日本食材が買えるお店です。モントレーから近いとは言えませんが、車で1時間ほどのサンノゼまで行くと、以下の日系スーパーでたいていの日本食材や日本の日用品が手に入ります。

 

私の普段の買い物は、学校から一番近いTrader Joe’sで乳製品や卵、にんじん、じゃがいも、玉ねぎなどの常備野菜と果物を買い、納豆が食べたくなったらTroia’s Marketへ行き、白菜、かぼちゃなどの日本の野菜は毎週火曜日に開催されているファーマーズマーケットで手に入れています。醤油や調味料などは Asian Marketでまとめて買うか、サンノゼの方まで行く機会があれば、ミツワに行っています。調味料などの値段は日本の値段の1.5〜2倍くらい(たとえば、かどやのごま油はで約150gの小瓶で約3.5ドル、キッコーマンのみりんは500mlで約5.5ドル、3パックの納豆は約2.5ドル)です。

 

モントレーに到着直後は何かとバタバタしたり、地理に不慣れなだったり、日本食材を買い揃える余裕がないかもしれません。スーツケースに余裕があれば、こちらですぐには買えなそうな日本の調味料やよく使うものを持ってくるのも手かもしれません。ただし、肉エキスが含まれている調味料は空港の税関で没収されるようですのでご注意下さい。

Summer Internship

Filed under: MIISについて,T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Keitaro Morita at 10:55 pm on Monday, April 2, 2012

インターンシップ――1年生と2年生の間にある約3カ月の夏休みはこれに始まりこれに終わると言われます。1年次に身に付けた通訳・翻訳のスキルを実際の職場環境で試し、同時にそれを通じてさらにスキルを伸ばせる、という弁証法的な機会になっています。

モントレー国際大学院(MIIS)へ進学をお考えの皆さんは学業のみならずインターンシップにも興味をお持ちだと側聞しています。ですので、今回のブログではこのインターンシップについて書いてみたいと思います。

と言ったものの、森田はAdvanced Entryという制度を使って2年次から学業を始めたため夏休みのインターンシップを経験していません。そこで実際にインターンシップを経験した敬愛するクラスメート・津崎由佳子さんにお願いをし、インターンシップの現場についてインタビュー形式で答えてもらいました。以下、その一問一答です。

―本日は貴重なお時間をありがとうございます。2011年の夏休みにスタンフォード大学病院でインターンシップをされたそうですが、まずはなぜインターンシップをしようと思ったのか教えていただけますか。
「アメリカで一定期間にわたって働いた経験がなかったので、卒業後にプロの通訳者・翻訳者として仕事をしていく際の第一歩になればと思って応募しました。またアメリカの職場においてコミュニケーションがどのように行われているのかは学校では学ぶことができません。現場を知る、という意味でも応募しました。同時に、英語力にさらに磨きをかけたいというのも理由の1つでした。」

―なるほど。ではなぜスタンフォード大学病院を選んだのでしょうか。
「1つ目の理由は通訳のインターンシップができるためです。翻訳のインターンシップとは異なり、現状では通訳のインターンシップの数は限られています。2つ目の理由は国境なき医師団に関わっていたこともあって医療の現場に興味を持っていたからです。そして3つ目の理由は卒業された先輩から勧められたためです。」

―選考過程について教えてください。
「2月中旬に履歴書、志望動機書、推薦状の3点を提出しました。2月末のMIISのキャリアフェアには毎年スタンフォード大学病院も参加していますが、その日の夕方に説明会があり、翌日に面接を受けました。その後、数週間で合格のお返事をいただきました。」

―では同病院のインターンシップの制度の詳細を教えていただけますか。
「スタンフォード大学病院のインターンシップは4本の柱で成り立っています。全体オリエンテーションを受けた後、①シャドーイング ②通訳 ③翻訳 ④自主研究 に取り組みます。①のシャドーイングとは、通訳の練習方法としてのシャドーイング(テキストを見ずに流れてくる音声を聞きながら影のように後についてその音声を声に出す)のことではなく、〈影のように他の通訳者について回る〉ことを指します。他の通訳者に同行することで様々な現場を体験することができます。これは②の通訳の段階に入る前の事前準備としても行われます。②の通訳については、まず〈1人立ち〉する前に経験者による指導が行われます。通訳経験が豊富なスタッフがインターン生に同行し、通訳の進め方を医師にどのように説明するのか、患者が肌をさらす場面で通訳者はどのように振る舞うのか、などを教授します。また必要な場合にはフィードバックや修正が入ったりします。その後に〈1人立ち〉して通訳業務を行うことになります。③の翻訳についても実際に翻訳を行い、それに対して経験者からのチェックが入ります。④の自主研究は、その日や翌日の業務に関連した事項を大学図書館などを利用して自主的に学習することを指します。単語力や背景知識の強化が目的です。」

―インターンシップはどのような感じでしたか。
「インターンシップを修了するためには22日間で192時間の業務をこなす必要があります。インターンシップでは給与と食事クーポンが支給されます。実際に日本人の患者さんを通訳する機会は2~3回程度でしたが、授業とは全く異なる現場において初めて通訳を体験することで自分のスキルが役立つことを実感し、やりがいを感じると同時に自信をつけることもできました。病院という特殊な場所の実情を知り、限られた時間の中での効率的な仕事の進め方を学び、加えて医療や製薬という通訳ニーズの高い分野の知識を得ることで将来に役立つスキルを獲得することができました。さらには人間として成長する機会にもなったと思います。」

―では最後に後輩の皆さんにスタンフォード大学病院のインターンシップを勧めて(笑)ください。
「絶対にお勧めです。通訳経験がそれほど積めない、という理由で敬遠する学生もいると聞きます。しかし上述のような事柄を体験できるのみならず、MIISの卒業生が多く勤務しているのでネットワークづくりにもなりますし、MIISを卒業すればプロとしてあれだけの仕事ができるんだ、と実感することにもつながります。私自身も大変刺激を受け『もっと勉強しなくては』という気にさせられました。通訳の最中にクライアントの反応を直に目にすることができることも醍醐味です。さらには英語ネイティブではないインターン生にとっては英語力をさらに高める機会にもなります。目先のことを考えるのではなく、キャリアという大きな視点からみれば得るものは大きい、と言い切ることができます。」

―ありがとうございました。

ところでその津崎さんからお知らせがあります。前回の森田のブログでも言及したTEDxが4月13日(金)9:00~16:00[注:カリフォルニア時間(太平洋標準時)]にMIISのあるモントレーにやってきます(http://www.tedxmonterey.org/about/)。テーマは“Sea Change”。このテーマをめぐって海と深い繋がりを持つ多様なプレゼンターたち(http://www.tedxmonterey.org/presenters/)がスピーチを行います。ウェブサイトには次のようにあります。

“TEDxMonterey ‘Sea Change’ will explore our diverse human connections with the land and the sea in order to inspire innovative conservation measures, dynamic discussions, and heightened awareness.” (TEDxモントレーのテーマは「海変」。革新性のある保全策や活発な議論、意識の高揚を目指し、人間と陸・海との多様な関係性を模索します。[森田試訳])

津崎さんはこのTEDxMontereyの通訳責任者を務められています(http://www.tedxmonterey.org/the-sea-change-team/;下の方に津崎さんの写真あり)。そして津崎さんを中心に日本語プログラム・会議通訳専攻の学生4人(森田もその1人)がセッション2、セッション3で通訳を行うことになりました。そしてその通訳はインターネットを通じて世界中に配信されます(http://www.tedxmonterey.org/livestream/;通訳を聞くには一番下までスクロールダウン)。時間は現地時間でセッション2が13:00~14:30、セッション3が15:00~16:30の予定です(尚、時間が変更になる場合がありますのでお聞きになる前に再度ウェブサイトをご確認ください)。

最後に津崎さんからのメッセージです。「時差などで難しい方もいらっしゃるかも知れませんが、ぜひ私たちの通訳を聞いていただければ幸いです。」

法廷通訳への道

Filed under: T&I Student Life,翻訳・通訳・ローカリゼーション管理 — Chiyo Benjamin at 10:42 am on Tuesday, March 27, 2012

皆さんこんにちは。今回はホノルル市内のハワイ州最高裁判所で行われた、法廷通訳のワークショップについてご紹介したいと思います。これはハワイ州内8島にある裁判所で法廷通訳をする通訳者が全員参加義務のあるワークショップで、一年に一度だけ3月に開講されます。朝7時半集合で、夕方の5時まで裁判所内の一室に缶詰で行われ、ハワイ州の裁判所システムの仕組みから、法廷通訳の就業倫理、責任、役割等について学びます。その後通訳について背景知識のない人にために、同時通訳、逐次通訳、サイトトランスレーションについての説明と、言語ごとのグループに分かれてロールプレイも行われました。ロールプレイでは裁判中に起こりうる様々な状況にプロとしてどのように対処すべきかを練習し、フィードバックをもらいました。

参加者の言語は、スペイン語、中国語、ベトナム語、日本語、ロシア語、ドイツ語、タガログ語、イロカノ語の他、マーシャル語やチューク語の話者もいました。インストラクターはハワイ大学の翻訳・通訳センターで法廷通訳のクラスを教えている教授、カピオラニカレッジで手話 (American Sign Language) の法廷通訳と医療通訳のクラスを指導している先生、そして州裁判所で実際に通訳コーディネーターをしている方の3人でした。

ここでいう法廷通訳とは、英語を母語としない被告の人権と知る権利を守るために州裁判所に雇われる通訳者のことです。法廷通訳が他の通訳と違うのは、話者のフィラー(well, let me see, um…など)、感情やトーンを、可能な限り全て忠実に再現する点だそうです。例えば被告が証言台に立って発言するときに、記憶が曖昧など様々な理由で迷いながら発言したり、内容を変えて言い直したりしたものは、全て通訳で再現して、法廷の公式な記録に残す必要があるからです。ただ、被告の感情につられて泣いたり怒ったり、大げさなジェスチャーを繰り返す必要はありません。今学期、同時通訳のクラスでスピーカのフィラーや無駄な繰り返しを省いてまとめ、聞きやすい訳を出すということを習いましたが、法廷通訳では通訳者が訳した言葉の文字通り「全て」が被告の証言として記録に残るため、通訳者は言葉こそ違うものの、話者になりきってなるべく忠実に発言を再現するという作業をしなければならないのです。通訳者は被告の発言の内容はもちろん、感情を声のトーンで表現する他、法廷で使われる様々なレジスターも勝手に変更することはできません。被告の罵り言葉も、判事の読み上げる判決文も、話者による原文のレジスターを正確に反映して通訳することが重要だそうです。通訳中は被告、判事、弁護士、証人の言葉を再現する者として全てFirst person “I”で訳しますが、通訳者が自分のアイデンティティーに戻って話をする場合は混乱を避けるため”I”ではなくて、” The interpreter” と言うことで聞き手のため、また公式の記録上も区別する必要があることも学びました。

またこのワークショップでは言語そのもののテクニックだけでなく、プロとして通訳者がすべきこと、避けるべきことも細かく指導されました。通訳中に誰かの声が小さすぎて聞こえないときどうするか、クライアントである被告が「私はどう答えればいいですか?」と頼ってきたらどうするか、どういう状況下で同通と逐次通訳を切り替えるか、陪審員との関わり方、被告と知り合いだった場合どうするか、弁護士や判事に「○○を被告に説明してください」と言われたらどうするか、審議前に過去の裁判記録や資料をどこで入手するか、どのタイミングで検察側に事前に調書に目を通させてもらえるように頼むか、通訳ミスに気がついたときにどうやって審議の流れを中断せずに訂正するか、通訳としてメディアや陪審員からの質問へどう対応するか等々かなり具体的かつ実践的なスキルを学びました。

3人のインストラクターが何度も念を入れていて印象的だったのが、法廷内での携帯電話の使用についてでした。最近携帯電話はオンライン辞書を使うなど様々な目的で使われますが、いかなる目的であっても、携帯を触っているだけで判事、弁護士、Bailiff(廷吏)など法廷内にいる関係者にかなり悪い印象を与えるので、通訳任務についている間は携帯の電源は切り、絶対にかばんから出さない、あるいは始めから法廷にもちこまないように、と言われました。現役の法廷通訳をしているインストラクターは、法廷内で携帯を取り出すだけでも関係者に不快感を与え、プロとしての意識が低いと思われ次回から依頼が来なくなるのを避けるため、法廷には辞書のみを持ち込み、パソコンと携帯は持ち込まないそうです。ちなみに、場所にもよると思いますが、ハワイ州の最高裁判所では法廷の見学をする際も、殆どの場合パソコン、携帯、カメラ、ビデオ、ボイスレコーダーの持ち込み禁止、飲食はもちろん口の中のガムも禁止、居眠りも厳禁だそうです。基本的に持ち込んでいいのはノートとペンだけ、と言っていました。

ハワイ州の法廷通訳になるにはまず米国での労働資格があり、犯罪歴チェックを通過することが必要です。一年に二度行われる筆記試験に合格してから一年に一度の口頭試験を受験し、どちらも合格すると試験の結果によってレベル別に分けされます。ハワイ州の日本語法廷通訳には2ランクありますが、これによって時給が決まります。その後現役の通訳者の仕事を見学し、実際の仕事に望みます。経験が浅いうちは、信用できる通訳者がどうかを確認するため、法廷で学歴や職歴について判事や弁護士に公式に諮問されることもあり、それらの質問にきちんと答え法廷通訳として能力があることを示さなければいけないそうです。ちなみに連邦政府の法廷通訳資格試験は現在スペイン語とナバホ語のみだそうですが、こちらの口頭試験の合格率は8パーセント以下という難関だそうです。

今回のワークショップはかなり情報量が多く大変でしたが、非常に実りの多い素晴らしい学びでした。これから更に気を引き締めてモントレーで修行を積んで行こう、と改めて思いました。とこのワークショップの参加を快く承諾してくださった先生方、本当にありがとうございました。

 

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