安部望海 Panasonic Energy of North Americaでのインターンシップ ①

みなさんこんにちは!日本語プログラム翻訳通訳専攻2年生の安部望海です。この度は、私が夏休み期間中に派遣社員として勤務したPanasonic Energy of North Americaでの経験についてお伝えします。今回と次回のブログで、採用~実際の業務についてお話させていただきます。

採用が決まるまで

MIISの夏休みは3カ月と長いので、大学院とは違った環境でスキルを磨く大きなチャンスです。そのため1年生の多くは冬頃から夏のインターン先を探します。通訳・翻訳のインターンを受け入れる企業は少ないため、私は1月ごろから授業の合間を縫って短期契約社員の求人も含め、勤務先を探し始めました。

面接に臨む過程で学んだのは、通訳者としてのプロ意識の大切さです。日々大学院で様々なフィードバックを受けていると、自分の未熟さばかりに目がいってしまいがちですが、能力試験を含む面接の過程で、業務に対し能力が見合っているか否かは企業が決めることなんだ!と感じました。訓練中の学生気分は一度捨て、履歴書の作成や面接の練習を行うよう意識しました。

*F-1学生ビザで入国している留学生が米国で働くには、学校を通じてCPT(Curricular Practical Training)の取得が必要になります。CPTにより、専攻分野と関連のある職種で「研修」という名目で勤務が可能になりますが、実際の取得まで手続きに多少時間を要することがあります。夏休み中に米国での勤務を希望されるF-1ビザ保持者の学生さんは、手続き云々で躓いてしまわないよう要注意です。

いざ、ネバダ州リノへ出発!

無事採用が決まったリチウムイオン電池の生産会社、Panasonic Energy of North America(PENA)は、実は、MIISの先輩が過去に数年間勤務されていた企業だったことを知りました。先輩との面識はなかったのですが、教授を通じてご連絡させて頂いたところ、PENAでの業務についてのみでなく、在学時代のお話から現在の状況等についても、2時間以上に渡って、丁寧に色々と教えて下さりました。改めて、MIISで築ける繋がりは本当に温かいなぁ、私も将来同じような形で後輩の力になりたい、と思えた素敵な時間でした。

そしてとうとう、5月の期末試験もなんとか乗り切り、卒業される2年生にお別れを告げた翌日、私は勤務先のネバダ州・リノへと旅立つこととなったのです!次回は、実際の業務の話や、業務外のリノでの経験についてお伝えさせて頂きます。

先輩の卒業式では、同時通訳を務めさせていただきました。
出発前のPacific Groveの景色(Lover’s Point周辺)5月は毎年ice plantが咲き誇ります。

第63回米国翻訳者協会(ATA)カンファレンスに参加して

みなさん、こんにちは。今日は、先月ロサンゼルスでカンファレンスが開かれた米国翻訳者協会(ATA)についてご紹介したいと思います。ATAは米国最大の翻訳者・通訳者による職業団体で、100カ国以上、約8,500人の会員を擁しています。1959年に設立され、翻訳者、通訳者、教育者、プロジェクトマネージャー、ウェブやソフトウェアのデベロッパー、言語サービス会社(LSP)、病院、大学、政府機関などが名を連ねる団体です。翻訳者にとっては、ATAに登録すると仕事の依頼が入るため、フリーランスとして仕事を成功させるための重要な場となっています。

ATAは毎年アメリカの様々な都市でカンファレンスを開催し、多くの翻訳者、通訳者、業界専門家が集まります。本校MIISの在校生、卒業生が交流を深める場としても活用されています。また年間を通して、様々なワークショップ やセミナーも実施しています。ATAカンファレンスに今年初めて参加したMIIS一年生のSarah Blackwellさんに、実際の参加した感想を聞いてみました!

「今年のATAカンファレンスはカリフォルニア州ロサンゼルスで10 月13日から15日まで行われました。私がこの学会に参加しようと思ったのは、自分がまだ翻訳とローカリゼーションの初心者で、将来の仕事について方向性が決まっていないからでした。多言語の環境で様々なセッションに参加して、興味深かったです。

スピーカーの方は政治翻訳、メディアローカリゼーション、観光翻訳や人間工学的な書斎の作り方など、多様なトピックについて話していました。私にとってどれも、とても勉強になりました。そしてカンファレンスでお会いした方は皆さん親切で、朝食やネットワーキングイベントで他の参加者の方と話し、アドバイスをもらいました。これからもいい翻訳者になるための勉強を頑張っていきたいと思います。」

10月1日(土)に日本語プログラムの新入生歓迎会が開催されました!

キャンパスから歩いてすぐの距離にあるデルモンテ・ビーチ近くの地ビールのお店 Dust Bowl Brewing Co. で、日本語の翻訳や通訳、ローカリゼーション、そして日本語を勉強している学生達と教員が大勢集まり、ピザを食べながら楽しい時間を過ごしました。中にはベイエリアからわざわざ駆けつけてくれた学生さんもいました。

新入生の皆さんご入学おめでとうございます。MIISにようこそ!!勉強や練習、インターンシップ、就職活動など、在学中は一筋縄ではいかないチャレンジもたくさんあるかと思いますが、困った時は頼りになる2年生の先輩方、そして担当の教師にいつでも気軽に相談してくださいね!

また、私 Seamus Gildner(TLM専攻2年)、Kyle Chow(TLM専攻2年)、Ayumi Ann Neville(TLM専攻2年)、Jizong Yao(T&I専攻2年)が企画運営している MIIS Japanese Culture Club の紹介もさせてください。毎月対面やバーチャルで楽しいイベントを企画しているので、ぜひご参加ください!興味がある方はぜひTeamsのグループに入ってみてください。一緒にイベントを楽しみましょう!

では、今学期から一緒に頑張りましょう!

在学生インタビュー【小松原奈那子さん、ニック・コンチーさん、直美・ストックさん ダイキン社インターンシップについて】

今回は、昨年のインターシップについて、当時2年生の金千雪さんがまとめてくださった記事です。

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皆さんこんにちは!2年生の金千雪です。日本語プログラムで翻訳・通訳 (TI) を専攻しています。
今回は、2021年春学期終了後の夏休みに、テキサス州のウォーラーにあるダイキン・テキサス・テクノロジーパーク(DTTP)にてインターンシップをされた小松原奈那子さん (CI専攻2年生)、ニック・コンチーさん (CI専攻2年生)、直美・ストックさん (TLM専攻2年生) にお話しを伺いました。

—本日はお忙しい中ありがとうございます。はじめに、このインターンシップに応募した理由を教えてください。

奈那子さん: 私は大学院に入学した時点では翻訳・通訳の経験がなく、夏休みの間に実際の職場などを体験し、卒業後にむけて経験値を積んで視野を広げたいと思っていました。そこでダイキンの募集を見つけました。アメリカでの通訳は製造業が多いとも聞いていたので、ここでインターンができれば、通訳の現場としてどのようなものが多いのか知ることもできるのではないかと思い、応募しました。
ニックさん: 日本は製造業でよく知られており、英語圏で経営している会社もたくさんあるため、通訳・翻訳に対しての需要はこれからも変わらないはずです。私は将来、社内通訳またはフリーランスを目指していますが、どちらにしても製造業に関連した仕事をする可能性がかなり高いので、現場で製造業を勉強できたらもっともスキルアップにつながるのではと思って応募しました。
直美さん: 私はニックさんと違い、通訳・翻訳者を目指していませんが、このインターンシップを通してアメリカを拠点とする日本企業の視点を知りたいと思っていました。そして、日本語を使って通訳を学び、将来を切り開いていきたいと思い、このインターンシップに応募しました。

—具体的にどんなお仕事をしましたか?ニックさんはインターンシップの間テキサスに引っ越したそうですが、コロナ禍の影響で奈那子さんと直美さんはリモートからの参加だったと聞いています。その点何か違いはありましたか?

奈那子さん: 私はリモートでの参加でした。リモートで参加した理由はいろいろありますが、主な理由は私自身が日本からモントレーに来て一ヶ月ほどしか経っておらず、まだモントレーに慣れておらず、引越し作業も終わったばかりだったので、可能ならしばらくは移動したくなかったというものです。リモートだったのでニックさんとは違い、対面での通訳などができなかったので、やれることが比較的限られてしまったというのが素直な感想です。ですが、それでも役員の方が出席するZoom会議に定期的に立ち会わせていただいて、ダイキンの通訳チームの通訳を聞いたりすることで、実際の職場で求められるスキルについて学ぶことができました。また、会議の後には必ず通訳チームが質疑応答の時間を設けてくださったので、会議に立ち会って気になった通訳のやり方や、会議の内容について存分に聞いて学ぶことができました。
ニックさん: 私が今回テキサスに引っ越した主な理由は、対面式の通訳を試したかったからです。私たち1年生は昨年コロナ禍の影響でZoom上の通訳しかできなかったのですが、ウォーラーにある巨大なDTTP(ダイキン・テキサス・テクノロジー・パーク)では、初めて人の前に立って通訳することを体験できて、非常に嬉しかったです。
私たちは3人でZoomで行われた幹部ミーティングを見学したり、オンライン勉強会に参加していましたが、現場で大勢の作業者やうるさい機械に囲まれて通訳を体験できたのは私だけです。
ダイキンのインターンシップには毎年数十人もの参加者がいますが、そのほとんどがエンジニアリングを専攻にしている大学生です。インターンたちはDTTPの近くにあるアパートに住むこととなっているので、常に顔を合わせて情報交換やネットワーキングができたのも大きな利点の一つです。
直美さん: 私もリモートでの参加でしたので、私が経験できる仕事の種類は限られていました。しかし、私たちの見学が許可された会議が全てオンラインであったことや、上司との練習セッションがあったことは幸運でした。そうは言っても、テキサスに行っていたらダイキンでもっと有意義な体験ができたと思います。

—そこでニックさんへの質問ですが、テキサス州での生活はどうでしたか?

ニックさん: ヒューストンはテキサスの南東にあり、日本と似たような蒸し暑い夏が印象的です。そしてテキサスの大きな利点は、ガソリンや買い物など物価が基本的にカリフォルニアより全然安いということです。ただ、ウォーラーは田舎にあるため、車がないとなかなか生活ができない場所です。車でテキサスに引っ越したのは大正解でした!

ーインターンシップでの学びを聞かせてください。実際に働いてみて、普段の授業での通訳と何か違いはありましたか? また、直美さんはこのインターンシップ以前は通訳経験がなかったそうですが、今回を通してどう感じましたか?

奈那子さん: 一つ確実にこの先覚えておくべきだなと思ったのは、実際に喋る人は必ずしも正しい喋り方をするわけではないということです。当然のことですが、普通に喋っていると、人は基本的に話がそれたり、方言を使ったり、正しい文法ではなかったりと、教科書にはない喋り方をしてきます。普段の授業では、練られ、練習を重ねたスピーチなどが多いので、このような形の通訳はあまり経験してきませんでした。ただ実際にはこのように様々な喋り方に対応する必要性があると思うので、それに気付けたのはよかったです。
ニックさん: 授業では、全ての情報を正確に伝えることが重要とされますが、実際に現場で通訳してみたら、情報を伝えることだけではなく、コミュニケーションを支援することも通訳の大切な仕事だなと思いました。スピーカーが本当に言いたいことを捉えて、そしてこれを相手にわかってもらえるように伝えることには、人間関係に対しての観察力や柔軟性が求められます。
このような知識やスキルは授業で教えにくいので、やはり実際に現場での通訳に挑戦してみないとなかなか身につかないと思います。
直美さん: インターンシップの前は通訳の経験がなかったので、練習セッションを続けるのに苦労しました。経験不足にもかかわらず、私は新しい、価値のある知識を多く学びました。たとえば、通訳のためにメモを取る方法や、記憶の仕方を学びました。

—私もダイキンのインターンシップに興味があったので、オリエンテーションに参加したのですが、通訳者の育成に力を入れているとういう話が印象的でした。実際はいかがでしたか?

奈那子さん: 実際このインターンシップは、職務経験を積むというよりは、将来通訳者になるための育成をするという要素の方が強かったと感じます。特に序盤は現場にインターンを出したりはせず、通訳の練習会や業界の知識を教える説明会などが多かったです。また、インターンシップ中は通訳スキルを向上させるための目標を設定し、それの達成に向けて練習していました。なのでその目標に向けての進捗報告も度々行っていました。後半になるにつれて、翻訳などに携わらせていただくことも増えてきましたが、全体的に見るとやはり、育成するという方が全面に出ていた気がします。
ニックさん: そうですね、ダイキンは通訳者のための育成が充実しています。インターンの担当者の方は週に1〜2回、勉強会や説明回を行い、空調業界や日本の製造業について色々教えてくださいました。現場で通訳をしている時に、分からない単語やより深く知りたいコンセプトなどが出た場合、次の説明会でそれについて確認ができたのでとても便利でした。
また、このミーティングにはインターンだけではなく、正社員の通訳者も参加するので、その方々と話すことで社内通訳の仕事について色々学ぶことができました。
直美さん: 確かに、経験を積むことよりも、主にトレーニングに焦点を合わせていました。 そのため、企業で働くことにおいてのスキルはあまり学びませんでしたが、通訳の知識や職場環境の理解を深めることができました。

—これからダイキン社のインターンシップに応募する学生へのアドバイスや、読者へのコメントがあれば教えてください。

奈那子さん: ダイキンは通訳チームの方々がとても親切で、とても親身になってくださいながら通訳スキルの向上に向けていろいろと助けてくださいますので、とてもいい職場だと思います。また、ダイキンの施設は通訳ブースなども含め最新式なので、もし状況が許すのであればぜひ実際にテキサスに滞在してその場を体験してみて欲しいです。実際私はリモートでしたが、ダイキンの機材などに触れたり、通訳インターンとしてあまり多くに関われなかったのが心残りです。ですが、もしリモートでもなるべく参加できるようにダイキンの方々は最善を尽くしてくださるので、機会があれば無理のない範囲で頑張って欲しいです。
ニックさん: もし今後もリモート・インターンシップが提供されていても、できればテキサスに引っ越したほうがいいと思います。コロナ禍からの正常化が進むなか、対面式通訳の機会が増えると思われますし、現場を自分の目で見学することも非常に勉強になるので、対面式のインターンシップがおすすめです。
直美さん: ダイキンでの経験にとても満足しており、将来は喜んでダイキンに就職したいと思います。 現場で行われた学習体験の多くを逃したので、バーチャルではなく直接現地に行くことをお勧めします。

東京オリンピックの通訳現場から 2

今回は、日本語通訳チームのメンバー6人から寄せられたメッセージをご紹介します。

左上段から、エリカ・エグナー、ニコラス・コンチー、森千代、丹羽つくも、大社理恵、金千雪、小松原奈那子

★金 千雪(T専攻1年)

この夏、東京オリンピックのジュニア通訳を務めることができ、嬉しく思います。初めての逐次通訳の仕事で非常に不安でしたが、それ以上に多くのことを学べました。語彙力や知識を増やせたのはもちろんですが、一番大きな収穫は通訳者として「伝える」こととその責任を意識できたことだと思います。今までは動画を使って勉強してきたので、スピーカーが意思のある個体だという実感が薄かったのですが、色んな選手と監督の思いや覚悟、考えを現場で聞くことができ、それを伝える責任の重さと自分の未熟さを深く感じました。当たり前のことではありますが、初めて本当の意味でスピーカーの言葉を尊重できたと思います。また、応募を渋っていた時に背中を押してくれたり、シフトが少ない私に仕事を譲ってくれたり、自分の担当ではないスポーツでも練習に付き合ってくれたりと、素晴らしい仲間と先生に恵まれていることを改めて実感した1か月でした。

エリカ・エグナー(T専攻2019年卒)

東京オリンピックでジュニア通訳として働く機会を得たことを大変光栄に思っています。昔から大好きだったオリンピックへの愛情とMIISで身につけた技術をこの形で組み合わせられるとは、想像もしていませんでした。柔軟性も責任感も求められた今回のチャレンジを通して、ほとんど何も知らなかったスポーツのことをたくさん学び、長年尊敬してきた選手たちの言葉を世界に伝えることができました。ときには喜びで興奮した、ときには落ち込んだ監督や選手の言葉を適切に訳出する大きな責任を感じました。2年前にMIISを卒業してからほとんど通訳していない私は、緊張感を覚えることもありましたが、MIISの在校生・卒業生の応援と激励を受けて頑張ることができて、ありがたかったです。日本のスポーツの魅力を世界に伝えられる一生忘れられない素晴らしい体験でした。

小松原奈那子(TI専攻年)

今回、オリンピック記者会見の通訳をする機会を頂けてとてもいい経験になりました。私自身、翻訳通訳の経験がないまま大学院へ入学したため、練習ではない、授業でもない、しかもお金をいただいて披露する通訳というのはこのオリンピックの舞台が初めてでとても緊張しました。ですが、自分が練習してきたことを自信を持って思いっきり出せる場に立てた、一生に一度のような大イベントに携わる機会をいただけたこと、自分が幼い頃から見ていた選手・スポーツに対して通訳として関われた事実から緊張を余裕で上回るほど楽しかったです。また、今回のオリンピックはリモートでの通訳、しかも逐次通訳という初の試みで、私たちも会場側も手探りから始まり、お互いに連携して会見を成功へ導くという経験・プロセスはとても貴重なものだったと思います。普段からも運営側と連携を取ること、柔軟な対応が出来ることの重要性が深く身に染みました。この経験を通して自分にとって様々なものが見えてきたと思いますので、ここで感じたことを忘れずにしっかりと次へ繋げていきたいと思います。

ニコラス・コンチー(TI専攻1年)

今回リモート通訳としてオリンピックに参加できたことを本当に光栄に思っています。通訳を勉強し始めてから一年も経っていない未熟な私が、この歴史的な大会に通訳として参加して本当に大丈夫なのか不安もありましたが、それと同時に、通訳を必要とする記者会見参加者の皆さん、採用してくださった担当者の皆さん、そして通訳チームメンバーからの期待に応え、恩返しをしたい気持ちも強く感じていました。本番の環境で感じたやりがいと責任感は、今後の通訳キャリアにとって大きなモチベーションにつながると確信しています。監督や選手たちの言葉を借りれば、今回はチーム一丸で取り組み、最高の結果を残すことができたと思います。通訳チームの皆さん、本当にお疲れ様でした。3年後のパリ・オリンピックを目指して頑張りましょう!

大社理恵(CI専攻2021年卒)

今回はオリンピック史上初のリモート逐次通訳をするということで大変貴重かつ記憶に残る体験をすることができました。通訳者だけでなく、開催者側も、通訳ユーザー側も初めての試みということから通常のリモート通訳をするよりも会場にいる開催側のスタッフとの連携や不測の事態に備えての柔軟性と冷静な判断が必要となり、自身の通訳者としての質を試される良い経験になったと思います。監督や選手たちの試合の感想や想いを通訳することは普段通訳するビジネス会議とは異なり、とても新鮮で、刺激にもなりました。きまぐれから今回のオリンピックの通訳案件に応募しましたが、普通ならば聞くこと、見ることができない監督や選手の話やメディアとのやりとりを、聞くだけでなく通訳することができ本当に良かったです。

丹羽つくも(CI専攻1年)

ある会場にて、私たちリモート通訳は「天の声」と呼ばれていたそうです。実際の記者会見場にて、選手や監督のコメント、記者の方達の質問などを、リモート通訳の私たちがMicrosoft Teamsを介して逐次通訳をし、それが会場のスピーカーで流れることから、そのあだ名(異名?)が付きました。「天の声」。それは栄誉でもあり、責任でもありました。今まで全く手の届かない存在だった日本代表の監督や選手たちが私の声を聞いていると考えると、夢のようで、鳥肌が立ちました。その一方で、世界中の強豪チームと戦う人たちの言葉は全て重くて、同等の経験が全く無い素人の私にとって、彼らの発言の意味合いを汲み取って適切に訳出することは簡単ではありませんでした。また、通訳を必要とする記者の皆さんには私たちの訳出=スピーカーの言葉となるため、スピーカーの印象を天から操ることが出来るという重大な責任を感じました。日本中、世界中が注目する舞台で活躍するアスリートやコーチの言葉からインスピレーションを受け、他の通訳者や会場担当者の方々からも多くを学ぶことができ、大変貴重な機会だったことは言うまでもありません。

東京オリンピックの通訳現場から 1

皆様こんにちは。MIIS2013年卒(CI専攻)、現在は母校で日英通訳を教えている森千代と申します。今回は東京2020オリンピック競技大会で日本語通訳を担当させていただいた6人のチームメンバーと一緒に、私たちのオリンピック通訳体験談を備忘録、回想録のような形でお届したいと思います。多少長くなるかと思いますがお時間のある方はぜひ参考にしてみてください。

7月23日の開会式を待たずに20日から始まったオリンピック競技。8月6日までの17日間、私たち日本語通訳チームは野球(男子)、ソフトボール(女子)、サッカー(男女)、バスケットボール(男女)、ホッケー(男女)、ハンドボール(男女)の6つの競技に参加した日本代表チームの記者会見で、日英・英日逐次通訳を担当しました。

1)準備

まず準備ですが、各自の通訳シフトが決まった直後から約3週間、各競技のルールや選手について様々な動画素材を用いて、毎日2時間チームで逐次通訳の練習をしました。今回はオリンピック史上初めてMS Teamsで記者会見の会場とつなげて通訳をリモートで行うことになり、いつも本学の授業で使っているZoomとは勝手の違うプラットフォームに慣れるため、毎日の練習もTeamsを使って行いました。

資料としては、競技ごとのルールや団体名などを網羅したワードリスト、各競技に参加する各国の選手・監督・コーチの情報リスト、記者会見に参加する各国の主要メディアのリスト、7人の通訳全員のシフト時間や会場の詳細がわかるマスタースケジュール等を作成して、すべてGoogle Driveでリアルタイムで共有しました。

資料を万全に準備した初回の現場。Photo Credit: Nick Kontje

2)記者会見当日

私たちが担当した記者会見は、数回を除いて殆どが試合後記者会見だったため、質疑応答の内容を正確に訳出するには実際の試合を観る必要がありました。ところが競技によっては日本やアメリカの主要テレビ局で放映されていないものもあり、各自が担当するすべての競技をライブ中継で見ることができるようにチーム内で情報交換し、有料アカウントに申し込むなど複数の方法で競技を開始からすべてライブで観戦できるようにしました。試合が始まるとLINEを使って、どの国でどのチャンネルでライブ中継をしているか情報交換をしました。

試合中は各国代表チームで活躍した選手、試合経過や得点の方法、試合のハイライト場面などを手元で記録したり、各メディアが報道する試合速報や東京オリンピック公式ウェブサイトにリアルタイムでアップデートされる結果の詳細を読みながら、試合を追っていきます。経験を重ねるごとに、試合を観ていると記者会見ではおそらくこんなことが質問されるだろうとか、今日の記者会見に登場するのはこの選手だろうというような予測がつくようになりました。

試合終了15分前くらいには記者会見場にログインして、接続確認や音声チェックをします。その後、各会場のVMM (Venue Media Manager) と呼ばれる担当者にその日の記者会見に登場する代表チームの順番や選手・監督の名前、どの代表チームに対してどの言語通訳が必要になるかなどを確認します。その間も試合の最後の場面や最終結果を見逃さないように、手元の別デバイスで中継を見たり速報を読んだりしました。

試合終了後20分(それ以上のことも多々ありました)ほどで記者会見場に各国代表チームの選手や監督が到着し、記者会見が始まります。オリンピック記者会見の共通言語は基本英語ですが、メディアからの質問が代表チームの言語と異なる場合や、代表チームの回答が英語ではない場合には、チーム言語と英語との両方向をそれぞれの言語の通訳チームが逐次通訳しました。記者会見は短い場合で20分程度、長い場合は50分ほどだったと思います。

メディアからの質問が代表チームの言語と異なる場合や、代表チームの回答が記者会見の共通言語である英語ではない場合などには、リレー通訳をしました。記者会見は短い場合で20分程度、長い場合は50分ほどだったと思います。

通訳に慣れ資料が減った終盤の現場。Photo Credit: Nick Kontje

今回私にオリンピック通訳の依頼、そして通訳の数が足りないのでMIISの学生さんに声をかけてほしいという依頼が舞い込んだのは本番まであと6週間というタイミングでした。そこから急遽帰国を決め、帰国準備、PCR検査、帰国後2週間の自主隔離などバタバタしながらあっという間にオリンピック当日がやってきました。しかし、それよりも、今回のメンバーの中には日中フルタイムで社内通訳やインターンの仕事をし、その後にアメリカ時間の夜中や明け方に記者会見を担当するという、かなりのハードスケジュールをこなしたメンバーもいました。寝不足の続いた17日間だったと思います。本当にお疲れさまでした。

東京2020オリンピックはコロナ禍でのオリンピックということで、初めてリモート通訳を試みた、ある意味で歴史に残るオリンピックとなりました。コロナ禍という苦しい時間を世界中の人たちと共有し、一年間延期の後開催されたオリンピックだったこと、そして自分たちが通訳として各国代表チームの選手たちの声として世界へ向けてメッセージを伝えたことが相まって、かつて感じたことのないような深い感動を覚えた大会でした。選手や監督たちの通訳をしながら心が震え、涙が出そうになるのを必死に我慢しながら訳出したのは、私だけではないはずです。

このような貴重な大会に7人でチームワークを発揮することができたことは、素晴らしい夏の思い出になりました。また、毎日の練習や準備、そしてたくさんの記者会見の現場を通して、これからMIISの名を背負って立つプロ通訳を目指す学生さんたちの底力と可能性を垣間見ることができて、本当に頼もしく感じました。3年後のパリ2024オリンピックでまたチームを組むことができるように、これからも一緒に頑張っていきましょう!

次回は、日本語通訳チームのメンバー6人から寄せられたメッセージをご紹介します。

2020年キャリアフェアを振り返って

皆さん、こんにちは!2年生の奥山裕太です。数週間前に、毎年恒例のTILMキャリアフェアがMonterey Conference Centerで開催されました。

毎年キャリアフェアでは、主に1年生は夏の間のインターンシップを、2年生は卒業後の就職先を探すことが目的となるのですが、それと同時に多くの通訳・翻訳エージェンシーとのネットワーキングも兼ねているイベントです。当日はスーツ姿の学生が片手に履歴書と名刺を持ちながらあわただしく会場を行き来し、様々なブースを訪ねていました。

今年は30社近くの企業や国際機関が参加しています。また、その中でも主に Honda Kaihatsu Americas や Daikin North America が日本語プログラムの学生をリクルートしに参加しました。また今年は日本会議通訳者協会(JACI)も初参加となり、キャリアフェア前日には日本とアメリカの通翻訳市場について貴重なワークショップを開催していただきました(詳しくは前回のブログ記事をご覧ください)。その他にもキャリアフェアでは日本語話者を探しているエージェンシーが多いので非常に有意義な機会となりました。

私自身も昨年はこのキャリアフェアを通してDaikin North America での夏季インターンを経験し、今年は主に国務省やHonda Kaihatsu Americas の方からお話しを聞くことができました。学生の間はやはり学業と就活を両立させることが難しく、こういったキャリアフェアを学校側が主催することで学生が就活をスムーズに進めることができると実感しています。これからもこのキャリアフェアがさらに発展していき、MIISにおいてもっとも貴重なイベントであり続けることを願っております。

JACIワークショップが開催されました!

皆さん、こんにちは!2年生の奥山裕太です。この度2月27日にJACI(日本会議通訳者協会)によるワークショップが開催されました。

MIISにて初めて開催されたJACIワークショップですが、今回は日本とアメリカにおいてどんな通訳・翻訳の場があるのかについて、主催者であるJACIの関根マイクさんや、卒業生の方々からお話しいただきました。社内通訳としての道やフリーランスとしての道、政府関係や製薬業界の仕事など、卒業後には様々な可能性が広がっていることをまさに今活躍している先輩方から学ぶことのできた機会でした。

ワークショップでは、下記の卒業生の方々にご講演いただきました。

-粟屋アンさん

-ウッド佳世さん

-神野裕史さん

-森千代先生

-森田系太郎さん(JACI理事)

皆様お忙しい中ご協力いただき大変ありがとうございました。

米国務省でのご経験をお話しいただいたウッド佳世さん。

また今回は通訳を学ぶ1年生、2年生もワークショップの同時通訳を担当しました。練習を兼ねての同時通訳だったのですが、やはりいざ本番となると、緊張が高まり気が引き締まるため、普段の授業とはまた違った現場の空気を感じることができました。そのため、通翻訳業界についてさらに知識が深まるだけでなく、同時通訳のリアルな場を体験できた一石二鳥なイベントだったのではないかと思います。

この度は、このように貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。この場をお借りして、主催者の皆様ならびに卒業生の皆様にお礼申し上げたいと思います。また来年もこのように実りのあるワークショップを開催できることを楽しみにしております。

Fall Forum 2019 を通して

皆さん、こんにちは!2年生の奥山裕太です。先日の11月22日にMIISで毎年恒例の通訳イベント「Fall Forum 2019」が開催されました。今回は Fall Forum についてのブログです!

今年の Fall Forum

今年は、「Off To Work We Go」というテーマのもと、働き方や仕事の在り方について議論が行われました。オープニングセッションの後は、6つのパネルディスカッションに分かれて、「AIと自動化」、「職場における平等」、「ギグエコノミー」、「非公式経済と移住」、「仕事の意義」、「働く場所の変化」というトピックのもと白熱したディスカッションが行われました。 今年の Fall Forum では、日本語、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語の計6つの言語を含む多言語フォーラムで、通訳を学ぶ2年生が逐次通訳にて英語に訳しました。またオープニングセッションでは基調講演があったため、同時通訳の機会もあり、非常に充実したイベントだったのではないでしょうか。 日本語プログラムからは1年生もスピーカーとして2人参加したことで、日本語でのディスカッションも大いに盛り上がりました。

Fall Forum を終えて

私は今回、オープニングセッションの同時通訳とパネルを2つ通訳するという長丁場だったのですが、その中で沢山のことを学ぶことができました。まず同時通訳から始まったのですが、今回のオープニングセッションの基調講演が中国語でのスピーチだったため、まず中国語プログラムの学生が英語に訳すのを聞いてから英日で通訳するリレー通訳を行う必要がありました。リレー通訳ではいったん中英の通訳を挟むため、やはり普段の同時通訳よりもスピーカーから遅れてしまう懸念があり、いつも以上に言葉数を減らし、なるべくコンパクトに情報を伝える必要がありました。しかし自分でもなかなか訳出をコンパクトにできない場面があり、これからも表現力を増やしていかなければならないなと再確認できました。パネルディスカッションの逐次通訳では、他の言語プログラムの学生たちの通訳を聞くことができ、フィラーや言い換えがなく非常にスムーズな訳出に驚かされ、元のスピーチは理解できなくても、英訳を聞けば非常に分かりやすく、聞いていて心地よい訳出に感動しました。

同時通訳でも逐次通訳でも、自分はまだフィラーが入ってしまったり、言葉選びや表現に悩んでデリバリーがスムーズでないことがあるので、他の学生のようにスムーズな訳出を目指したいと思ったフォールフォーラムでした。

Fall Forum 2019 が開催されます!

11月22日にMIISで毎年恒例の通訳イベント「Fall Forum 2019」が開催されます。

今年は、「Off To Work We Go(七人の小人にちなんで)」というテーマのもと、働き方や仕事の在り方が今後どう変わるかを考察していきます。まずはゲストスピーカーによる基調講演から始まり、その後は6つのパネルに分かれてディスカッションを行います。

各パネルは以下のとおりとなります。

・AIと自動化(Artificial intelligence and automation of work)

・職場における平等(Equality in the working environment)

・ギグエコノミー(Gig economy)

・非公式経済と移住(Informal economy and migration)

・仕事の意義(Purpose of work)

・働く場所の変化(Evolution of where we work)

また Fall Forum は、通訳を学ぶ2年生が英語への逐次通訳を実践的に行える貴重な機会でもあります。今年は、中国語、フランス語、ドイツ語、日本語、ロシア語、スペイン語の6ヵ国語で通訳が提供されるのですが、日本語プログラムからは2年生が1人、通訳者として参加します。また1年生からも2名スピーカーとして参加します。

年1回のイベントであるFall Forum、テーマは仕事の未来となりますが、その中でも特にAIと自動化と聞くと通翻訳に携わる皆さまにとっては大きな関心があるトピックかと思われます。また現学生による通訳を見ることのできるまたとないイベントです。イベントの最後にはレセプションもありますので、お時間空いておりましたら、ぜひご参加ください。お待ちしております!